
学科の特色
機械、電気、物理、化学、数学、情報といった領域の枠を超える新たな技術が次々と誕生しています。このような時代において、モノやシステムの機能を最大限に発揮させ、発生する問題を解決するには、理工融合による「複合知」を駆使し、これまでにないアプローチを実現する能力が求められます。機能創造理工学科は人間・環境への支援を基盤として、新しい物理現象の発見や応用の可能性を考え、新しい機能の創造、創出を探究する学科です。物理学、数学などの理学と、材料、デバイス、電子機器、エネルギー、機械システムなどの工学を融合的に学び、産業技術と自然科学との調和を実現する創造性の豊かな人材を育成します。
研究事例
・新しい浮上システムのユニークな研究で在学中に特許取得も
車両の天井にある電磁石と軌道の鉄レールとの間に磁力線を通さない超伝導バルク体を置くと、車両は落下せず浮いたままを維持できます。この原理をベースに独創的な着想で研究を進める学生が多く、在学中に特許を取得した学生もいます。
・機械工学を医学に応用し脳損傷の発症リスクを減らそう
物理や数学の知識をもとにした数値解析を用いて、事故時の体の動き・変形を算出することで損傷部位やその程度を予測できます。機械工学だけではなく、医学など多岐の分野の知識も身につけることができます。
・宇宙の原始物質の解明を目指して
物理学の知識を駆使して、ビッグバン直後に宇宙を満たしていた物質の振る舞いを探っています。実験で作られた数兆度に達する物質をコンピュータ上で再現することから、数値計算のテクニックも身に付けることができます。
カリキュラムの特徴
1年次に広範な基礎科学と科学技術への見識を身につけ、2年次からは「理工基礎科目」をベースに、主に物理学・機械工学・電気電子工学の基礎を学習、あわせて科学技術に関する英語習得にも注力します。2年次の秋学期に「機械工学」「電気・電子工学」「物理学」の学問体系(系1〜3)に基づく3つのコースから専門を選択します。「エネルギーの創出と利用」「物質の理解と材料・デバイスの創成」「ものづくりとシステムの創造」の3つのキーテーマ(A〜C群)を選び、教養を広めることも可能です。3年次からはより専門性の高い演習や実験などへと学びを発展させ、さらに希望者は1年早く研究活動を体験できるリサーチトライアルが履修できます。4年次からは研究室に所属し、それぞれのテーマで研究活動に取り組みます。
※科目の詳細については、シラバスをご覧ください
科目紹介
- 熱エネルギー変換
エンジン、ガスタービン、コンプレッサーなどの性能特性をはじめ、熱エネルギーが動力に変換されるプロセス、エネルギー効率を左右するパラメーターなどについて理解を深めます。
- パワーエレクトロニクス
電車、ロボットなどのモーター駆動、再生可能エネルギーなど、あらゆる装置に使用されている電力用半導体を用いた電力変換制御技術(パワーエレクトロニクス)を学ぶ授業です。
- 低温・超伝導物性学
低温物理学の基礎を学び、低温環境での輸送現象、超伝導の理解を深めます。また超伝導材料の知識を習得し、次世代エネルギーを担う工学的応用についても学んでいきます。
- エネルギーと材料
火力・原子力発電、水素エネルギーなどの極限環境で使用される金属材料の基礎と、その土台となる基礎学問( 熱力学、化学平衡、反応速度、材料強度・破壊、電気化学 )を交互に学びます。
- 光エレクトロニクス
光エレクトロニクスは LED や太陽電池など、いまや社会に不可欠な技術です。講義ではシステム構成と動作原理、その要素技術である光デバイスや物理現象と、その社会的役割なども学びます。
- 量子統計力学
低温での物質、ミクロな物質の理解に必要不可欠な、量子力学に従う粒子集団の扱い方を学びます。金属や半導体など具体的な例をあげ、物質の理解を深めます。
取得可能な教員免許と教科
- 中学校教諭1種(数学、理科)
- 高等学校教諭1種(数学、理科、工業)
取得資格
- 電気主任技術者
- 第一級陸上特殊無線技士
- 第三級海上特殊無線技士
- 危険物取扱者(甲種)受験資格
学芸員課程が履修できます。
教育の目的・方針
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物理学、数学への深い理解を基礎に、材料、デバイス、エネルギー、機械、システムに関する知識を習得することによって、まったく新しい価値や機能を生み出す能力を養うこと
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科学技術上の諸問題の解決に貢献するために、幅広い教養とゆるぎない専門知識を背景に、柔軟な発想でそれらを応用・発展させることのできる人材を養成すること
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本学科では、科学・技術に関する確固たる基礎知識を持ち、新たな物理的価値観の獲得や機能の創造に繋がる独創的技術の開発に貢献できる人材の養成を目的として、学生が卒業時に身につけているべき能力や知識を次のように定めています。卒業要件を満たせば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。
- 自然科学分野などの理工学の基礎を学ぶことにより、科学・技術の諸問題に対応する幅広い能力
- 物理学、機械工学、電気・電子工学を体系的に学ぶことにより、新たな物理的価値観の獲得や機能の創造に貢献する能力
- 「エネルギーの創出と利用」、「物質の理解と材料・デバイスの創成」、「ものづくりとシステムの創造」の切り口で物理学、機械工学、電気・電子工学を学ぶことにより、独創的技術の開発に貢献する能力
- 学修した内容を理論・技術的に応用展開することにより、科学・技術の諸問題を解決する力を身につけ、独創的な研究を推進し、科学・技術のさらなる発展へ貢献する能力
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本学科では、物理学や数学への深い理解を基礎に、「機械工学」、「電気・電子工学」、「物理学」の学問体系と「エネルギーの創出と利用」、「物質の理解と材料・デバイスの創成」、「ものづくりとシステムの創造」というキーテーマを融合した知識(複合知)を身につけ、社会に貢献する能力の養成を目指しています。これにもとづいたディプロマ・ポリシーに沿って、次のようにカリキュラムを編成しています。
- 全学共通科目と語学科目を通して、幅広い教養やグローバルな視野を広げる科目、英語科目、キリスト教的ヒューマニズムを理解する科目を学修し、国際化の進展に対応できる素養を修得させる。
- 理工共通科目Ⅰ群を通して、科学・技術の諸問題に対応する幅広い能力を養成するため、物理学、化学、生物学など自然科学全般、および数学、情報学など理工学の基礎を修得させる。
- 物理学、機械工学、電気・電子工学などに関する理工学の基礎を幅広く学び、さらに学科コア科目および学科専門科目などの講義および実験・演習科目を通して、物理学、機械工学、電気・電子工学分野の中から希望の分野を選択し、それぞれの分野をより体系的に修得することで、新たな物理的価値観の獲得や機能の創造に貢献できる能力を養成する。同時に、英語で理工学の基礎を理解するために、科学技術英語を修得させる。
- 学科コア科目および学科専門科目などの講義・実験・演習科目を通して、「エネルギーの創出と利用」、「物質の理解と材料・デバイスの創成」、「ものづくりとシステムの創造」の切り口で講義と実験・演習科目を選択することも可能とし、実社会において物理学、機械工学、電気・電子工学を駆使して応用・展開する学際的な力を修得させる。
- 卒業研究を通して、先端分野を理解するとともに、成果発表を行い、研究者としての素養を修得し、学修した内容を理論・技術的に応用展開する能力を修得させる。
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本学科は、幅広い教養とゆるぎない専門知識を背景に、柔軟な発想でそれらを融合し、科学・技術上の諸問題の解決への貢献を可能にする学生を受け入れます。
- 高等学校の数学、理科、英語の授業内容を十分に理解している者
- 論理的な思考力や幅広い視野、コミュニケーション能力を持つ者
- 機能創造理工学科が担う物理学、機械工学、電気・電子工学を自ら幅広くかつ深く学ぼうとする積極性と、修得した学問・技術によって卒業後に社会へ貢献しようとする強い意志を持つ者
教員一覧
足立 匡 教授
研究分野 | 新奇な量子物質の合成と、輸送特性・ミュオンスピン緩和法を用いた超伝導および新機能材料のメカニズムの解明を目指した実験研究 |
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大槻 東巳 教授
研究分野 | 専門は物性理論。低温における量子輸送現象について理論的に研究 |
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高井 健一 教授
研究分野 | 専門は材料工学。金属材料中の水素存在状態、水素脆化について研究 |
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長嶋 利夫 教授
研究分野 | 計算力学を用いた破壊シミュレーションの研究 |
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平野 哲文 教授
研究分野 | ハドロン物理学、特にクォークグルーオンプラズマの理論的研究 |
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Edyta DZIEMINSKA 准教授
研究分野 | 航空宇宙工学・数値流体力学、デトネーションの基礎、デフラグレーションからデトネーションへの遷移 |
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