応用データサイエンス学位プログラム
昨今、膨大なデータの蓄積と活用が可能となり、それに応じてさまざまな分析手法が提供されてきました。
しかしながら、分析から得られる結果は、立場や状況、目的によって異なる解釈ができるだけでなく、根拠と手段の組み合わせによって意味も価値も意識も変わってきます。そのため、過度な抽象化や定性的な判断から、単純化しすぎた考察が導き出される可能性もあります。さまざまな要因が絡む実社会では、考察の断定はできず、多くが類推にならざるを得ない側面もありますが、より振れ幅の少ない定量的結論を導き出すためには、データサイエンスの基礎力として、理工学系や社会科学系の確固たる理論も身につける必要があります。
また、実務においては、データに表れない要因や背景を踏まえた判断を求められることが多々あります。さまざまな選択を想定し、適切な判断を導くためには、実践的な知識と経験も欠かせません。
理論に偏りすぎては理想となり、実践に偏りすぎては根拠に欠けますが、これらはバランスの問題ではなく、階層的に積み上げられなければならないものと考えています。上智大学大学院では、礎として理論を修め、さらに実践的な学びを積み上げていくことを重視しています。
カリキュラムの特徴
連係研究科から応用データサイエンス学位プログラムに参画するアカデミック系専任教員は主に学術的な観点から指導を行い、実務系専任教員は修士課程修了後、実社会における即戦力として活躍するための実践力に重点をおいた指導を行います。演習を中心とする「実習科目」、データサイエンスの基礎から応用までを広く学ぶ「選択科目」、データサイエンスに加え経営学などの学術的知見の幅を広げ、深めていく「連携科目」によって、即戦力としてデータ活用社会を牽引する実務家に必要な素養を身につけます。専任教員以外にも、企業から派遣される講師による科目を多数配置するほか、2年次には企業の現場で学びを深めるインターンシップ科目も開講します。
授与学位
- 修士(応用データサイエンス)
応用データサイエンス学位プログラムの特色
インターンシップ
理論の深い理解と応用力の醸成には、社会のケースに置き換えたり、実経験と照らし合わせたりする過程が不可欠です。
本学には、さまざまな経験を積んできた幅広い年齢層の学生が在籍していますが、データサイエンスとは縁遠い職種の者や、社会人経験を経ずに学部卒から当プログラムに進学した者もいます。社会経験の少ない学生であっても、机上の知識を実戦的な技能に昇華することができるよう、学びの機会の一つとして、カリキュラムにインターンシップ( 選択科目 )を取り入れています。
特定課題
「 演習 A 」と「 演習 B 」の2つの演習指導を受けながら、修士課程の成果物として、特定課題の作成が課されます。
「 演習 A 」では、学術的な観点から指導を受け、特定課題の学術的な質を担保することを目的とし、「 演習 B 」では、実社会での応用・展開を可能とする実務的な観点から指導を受け、特定課題の実践面における質( 実社会での活用に照らした有用性や妥当性 )を担保することを目的とします。
教育の目的・方針
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応用データサイエンスおよび関連分野の発展に寄与するとともに、データサイエンスに係る専門知識を実社会に応用・展開して、現代社会における多様な課題の解決に取り組み、人間社会の発展に貢献できる高度専門職業人の養成を目的とする。
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本学位プログラムでは、応用データサイエンスおよび関連分野の発展に寄与するとともに、専門知識を実社会に応用・展開し、データサイエンスを用いて人間社会の発展に貢献できる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。
- 応用データサイエンスおよび関連分野において最先端で活躍できる専門知識を身につけるとともに、新手法の開発や新分野の開拓をできる力
- 自らの専門分野に加え、それ以外の自然科学あるいは社会科学との学際分野も含めて広範に学ぶことにより、データサイエンスが人間社会や地球環境に与える影響などを多面的に捉える力
- 専門分野に関する課題について、データの収集,分析,活用まで幅広く実行できる力
- 自らの研究成果を論理的に整理して的確に伝え、特定課題研究としてまとめる力
- 研究課題の達成を通じて、実社会においてグローバルレベルで即戦力となり、データ活用社会を牽引する力
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本学位プログラムでは、ディプロマ・ポリシーに沿って、データサイエンスを様々な分野に応用し、データ活用社会を牽引する力を養成するために、データサイエンスの基礎知識やスキルおよびリテラシーや学術的な視点、実務に活用・応用できる実践力を習得するための幅広い専門科目を配置して、以下のようにカリキュラムを編成している。
- データサイエンスの基礎から実践まで幅広い分野を俯瞰し、本プログラムで学ぶ内容の理解を促すための必修科目として「応用データサイエンス特論」を1年次春学期に配置する。
- データサイエンスの基礎スキルやリテラシーの習得とあわせ、データを扱う上で配慮すべき倫理的側面の理解を促す講義・演習科目を1年次に配置する。
- データサイエンスおよび関連分野に関する学術的な視点や専門知識および実務で応用するための視点やスキルを習得する講義科目を1年次に配置するとともに、それらの視点や知識・スキルを実社会で活用する力を養う必修科目として「導入演習」を1年次秋学期に配置する。
- データサイエンスを応用した実例を体感し、データの収集,分析,活用等の実践力を習得するための実践系講義科目およびインターンシップ、学術的な応用力を養成するための様々な学問分野における分析手法や応用事例を学ぶ連携科目を2年次に配置する。
- 特定課題作成と口頭報告の能力を習得するための必修科目として、学術的なアプローチによる指導を行う「演習A」、それと並行して実社会での動向や事例を踏まえた指導を行う「演習B」を2年次に配置するとともに、両科目を横断する形での合同研究報告会を実施する。
- 研究を現実の社会問題に応用する力を習得するため、各専門科目においてディスカッションや演習を取り入れるとともに、関連学会への参加を促進する。
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本課程は、次のような資質と意欲をもつ学生を求めています。
- データサイエンスに係る専門知識を積極的に活用し、現代社会における多様な課題の解決に取り組み、応用データサイエンスによって人間社会の発展に貢献できる学生
- 応用データサイエンスの知識・技術を用い、実践的データを活用した新たな分野を社会で開拓・発展させようという意欲をもっている学生