高エネルギー原子核衝突反応における 超低運動量粒子の起源を新たに特定しました

クォーク・グルーオン・プラズマの解明へ一歩前進

理工学部機能創造学科の平野 哲文教授と、博士後期課程3年の金久保優花さん(現ユヴァスキュラ大学 博士研究員 兼 上智大学 理工共同研究員)、国際教養大学の橘 保貴助教の研究グループは、高エネルギー原子核衝突反応(用語解説1)における非常に小さな運動量を持つ粒子の起源を新たに特定しました。超高温物質「クォーク・グルーオン・プラズマ」(用語解説2)の物性を解明するうえで、この非常に小さな運動量の領域における粒子が重要な役割を果たすことが分かりました。

研究成果の詳細については、プレスリリースをご覧ください。
プレスリリース(875.66 KB)


【用語解説】

  1. 高エネルギー原子核衝突実験
    原子核を光速の99%以上に加速し、衝突させることにより、その大きな運動エネルギーの一部を熱エネルギーに転換し、素粒子極限物質「クォーク・グルーオン・プラズマ」の物性の解明を目指す実験。CERN(欧州原子核研究機構)の大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider: 略してLHC)やブルックヘブン米国立研究所の相対論的重イオン衝突型加速器(Relativistic Heavy Ion Collider: 略してRHIC)などで主に行われている。
  2. クォーク・グルーオン・プラズマ
    物質の基本構成要素である「クォーク」とそれらの間に力を伝える「グルーオン」からなる温度にして数兆度の達したプラズマ状態。ビッグバンから約10マイクロ秒後の宇宙初期に宇宙全体を満たしていた。
  3. ハドロン粒子
    クォークやグルーオンから成る強い相互作用をする複合粒子。クォークやグルーオンがカラー荷を持っているのに対し、それらが複数集まることでカラー荷が中性(白色)になった状態。
  4. 破砕現象
    カラー荷を持ったクォークやグルーオンに付随する強い場から、複合粒子であるハドロンを生成する過程。

上智大学 Sophia University