学長メッセージ

「何と出会い、何を学ぶか。
自分で選んだ先にある可能性の扉」

上智大学長 曄道佳明 

大学での学びに対して、皆さんはどのような期待を持っているでしょうか。関心や興味のある学問分野に対する深い探究、仲間や教職員との豊かなコミュニケーション、心身を強くする課外活動など、その対象は、無限に見出すことができます。その期待に対しては一つの選択を求められているわけではなく、幾重にも軸を作ることができます。何と向き合い、何に挑戦するかは、皆さんの選択に委ねられているのです。

大学時代に、何を学び、どこに出向き、何と出会い、どう行動したかという経験、これらは決してプログラムとして用意される道筋ではなく、皆さん自身がデザインし、挑戦し、展開するものです。そしてこれこそが、皆さんの個性を育む最大の軌跡となり得るのです。同じように見える一つの経験でも、皆さんそれぞれに別々の個性が育まれていきます。その経験の動機から結果に至るまでを、どう受け止め、次へのステップをどう見出すか、これらは限りなく“ 個性的な成長プロセス”と言えるでしょう。

このように考えると、大学という学びの場は、皆さんにとってより広く、深く、多く選択の機会が提供されていることが必要と思われます。私は、今の皆さんに想像すらできていない、異質との出会いに期待します。その対象は多岐にわたります。学問の深さ、異文化における多様な価値観、グローバル社会の現在の在り様、他者の信念や志など、皆さんが挑戦的に取り組むことによって得られる「何か」を求める機会を追い求めていただきたいと思います。

今、私たちの社会は、人類史上でも稀にみる大きな転換点にあると言えます。瀕死の状態の地球環境、グローバル社会に現存する格差、複雑に交錯する国際関係、技術革新がもたらす私たちの新たな生き方、長寿化・少子化による新たな社会課題など、社会のどの側面を取っても待ったなしの課題解決が求められています。しかしながら、その解決にあたっても正解は一つではないでしょう。どのような解を求めるのか。それは私たちの選択でもあります。私たちにどのような選択肢があり、そこから何を選択し、今後の人間社会の方向性を決めていくのか、皆さんは大事な局面で主役を担う世代と言えます。

多くの社会課題に敢然と立ち向かう術と勇気を育み、皆さん自身の人生の豊かさと社会の正しい在り方を求める価値観を醸成する、上智大学はそんな大学でありたいと思います。そのために、皆さんの皆さんらしさを、そして個性を育てるキャンパス環境を発展させていくことに注力していきます。多様性や異質を歓迎し、他者に思いを寄せながら社会で役割を果たすSophianを目指して共に学びませんか?

[プロフィール]

1962年生まれ。2004年上智大学理工学部教授、2005年学生センター長、2010年入学センター長、2011年学務担当副学長、2014年グローバル化推進担当理事補佐、2015年国際協力人材育成センター長等を経て、2017年上智大学長に就任。

上智大学 Sophia University