理工学専攻化学領域

化学分野の研究を通した自立研究能力と学識の養成

化学領域は、分子構造と理論分子設計に関する研究、同位体、地球化学に関する研究、天然有機化合物に関する研究、遷移金属錯体、超分子試薬に関する研究などを通して、各分野で自立して研究活動を行える研究能力と学識を養うことを目的としています。大学院生は物理化学、無機化学、分析化学、有機化学および錯体化学の5分野のいずれかに所属し、所定の科目を履修しながら指導教員のもとで論文作成のための研究を行います。また理工学専攻では社会人入試制度を設け、社会人が学ぶ環境も整えています。

カリキュラムの特徴

博士前期課程は2年間での修了を原則とし、講義科目と演習科目を設置しています。この課程の修了には30単位の修得と修士論文の作成が必要です。修士研究は論文と口頭発表を行い、3名以上の審査委員によって審査されます。

博士後期課程では、上智大学の前期課程修了者の場合は必要な単位の大半をすでに取得しているので、博士論文の作成に専念できます。化学領域の修了者は前期、後期ともに多くが企業の研究部門や国公立・私立大学の教員、独立研究機関の研究者、国家・地方公務員などとして研究に携わっています。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(理学)
  • 博士後期課程:博士(理学)

取得可能な教員免許・免許教科

  • 中学校専修(理科)
  • 高等学校専修(理科)

化学領域の特色

優秀者は2年で学位取得

博士後期課程では、3年間での学位の取得が通常ですが、特に優秀な場合は2年次修了で学位の取得が可能となっています。

応用化学領域との連携

化学領域と応用化学領域との間には「理学と工学の融合」という上智大学理工学部設立の基本精神に立脚した連帯が保たれ、講義科目の交流、研究協力、論文発表会、設備・機器の共同利用が行われています。

生物科学領域・物理学領域との連携

天然有機化合物や遷移金属錯体について、細胞を使った生理活性や生体認識試薬としての評価など、生物科学領域との技術連携による研究協力、設備・機器の共同利用が行われています。また、気体の分子構造の理論解析や金属多核錯体の混合原子価状態の評価など、物理学領域の先端計測装置を利用した共同研究などを通して、技術交流、研究協力が行われています。

修了生の最近の主な研究テーマ

  • LC-MS/MSによるdesmosine研究: もやもや病バイオマーカーと卵殻膜
  • 草津白根山の火山活動に伴う山頂火口湖および周辺温泉の水質変動機構
  • 還移金属多核錯体の合成と特性反応
  • ボロン酸を認識部位に有するシクロデキストリンナノゲルの設計と機能評価
  • 金ナノ粒子複合体電極を用いた電気化学的細菌検出センサーの開発
  • Theoretical Analysis of the Kinetic Isotope Effect on Carboxylation in RubisCO
  • 蛍光プローブとしての利用を目指した2-ジメチルアミノキナゾリン類の合成と機能評価
  • チャンバー実験再現モデルの開発と還元的条件下における硫黄同位体濃縮の解析
  • 1-Pentanethiol のフーリエ変換マイクロ波分光

教育の方針

博士前期課程

本領域では、化学および関連分野の発展に寄与し、専門知識を用いて人間社会の発展や地球環境の保全に貢献できる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 自分の専門分野以外の自然科学分野あるいは社会科学分野との学際分野も含め広範に学ぶことにより修得される、基礎科学が人間社会や地球環境に与える影響などを多面的にとらえる力
  2. 化学および伝統的学問体系に応じた関連分野(物理化学、無機化学、分析化学、有機化学、環境科学)において最先端で活躍できる専門知識、真理の探究および人類の発展や幸福に寄与する創造的な研究開発を行う力
  3. グローバル化の進展に対応するため、社会で活躍できるレベルの英語力
  4. 研究論文や研究発表において、自分の研究を論理的かつ適切・明快な表現を用いて公表する力

博士後期課程

本領域では、化学における高度な専門性を身につけ、人間社会や地球環境に与える影響を総合的にとらえる学際性を持ち、自立して研究開発を遂行できる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 自分の専門分野だけでなく、関連する学際分野なども含め広範に学ぶことによって修得される、自然科学における基礎科学が人間社会や地球環境に与える影響を多面的にとらえる力
  2. 化学および伝統的学問体系に応じた関連分野(物理化学、無機化学、分析化学、有機化学、環境科学)において最先端で自立的に活躍できる専門知識、真理の探究および人類の発展や幸福に寄与する創造的な研究開発を行う力
  3. グローバル化の進展の先頭に立ち、国際社会にて独立して活躍できるレベルの英語力
  4. 専門性が高く独創性のある研究を自ら行い、研究成果を広く社会に発信するとともに、学術的意義の高い博士論文を完成させる力

博士前期課程

化学および関連分野の発展に寄与し、人間社会の発展や地球環境の保全に貢献できる力を涵養するため、化学領域や他領域の科目を受講し、研究指導を受けさせる。

 

  1. 化学領域以外の領域、および理工共通領域の科目を受講することにより、自分の専門領域以外の分野について広く知識を得させる。
  2. 化学領域が提供する物理化学、無機化学、分析化学、有機化学、錯体化学、環境科学などに関する科目を受講し、これらについて専門知識を得させる。また、特定のテーマについて研究を行い、このテーマと周辺について深い専門知識を得るとともに、研究の進め方、まとめ方、研究倫理などを学ばせる。
  3. 科学技術英語や英語で行われる科目の受講、研究成果の英語発表、英語論文の執筆などにより、英語力を向上させる。

博士後期課程

化学における高度な専門性と関連分野の広範な知識を有し、自立して研究開発を遂行できる力を涵養するため、演習を受講し研究指導を受けさせる。

 

  1. 自分の専門分野以外の学際分野などの学術論文や解説書などを精読することにより、これらの分野について広く知識を得させる。
  2. 自分の専門分野において教員の研究指導を受けながら集中して研究を遂行し、このテーマと周辺について深い専門知識を得るとともに、研究の進め方、まとめ方、研究倫理などを学び、研究の集大成として博士論文を提出させる。
  3. 得られた研究成果を国内外にて英語で発表し、また英語論文を執筆投稿し、必要に応じて海外の研究機関にて研究を行い、これらにより英語力を積極的に向上させる。

博士前期課程

本領域は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 化学分野で勉学を行い、研究を遂行することに意欲的である学生
  2. 化学分野で勉学を行い、研究を遂行するために必要な物理化学、無機化学、有機化学などに関する基礎学力を有している学生

博士後期課程

本領域は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 化学分野にて、自立して創造的な研究開発を遂行することに意欲的である学生
  2. 化学分野にて、自立して創造的な研究開発を遂行するために必要な専門知識と英語力を有している学生

教員一覧

臼杵 豊展 教授

研究分野 [ 天然物化学・有機化学・ケミカルバイオロジー ] 多彩な生物活性を有する天然有機化合物について、有機合成化学やケミカルメディシンなどの観点から、さまざまな研究プロジェクトを展開している
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木川田 喜一 教授

研究分野 [ 火山化学・環境分析化学 ] 化学的手法による火山噴火予知と火山活動モニタリング。エアロゾルの微量元素・同位体組成を指標とする大気環境動態評価
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久世 信彦 教授

研究分野 [ 物理化学・分子分光学 ] 気体電子線回折、マイクロ波分光、振動分光、量子化学計算による分子構造と物性の研究。光電子分光や電波天文観測の共同研究

鈴木 由美子 教授

研究分野 [ 有機合成化学・有機触媒化学・創薬化学 ] 医療やライフサイエンス分野への貢献を目指した有機合成化学研究。有機分子を触媒とする新規反応や合成法の開発
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長尾 宏隆 教授

研究分野 [ 物質変換反応場となる遷移金属錯体の創製 ] 窒素化合物や二酸化炭素などを有用な物質へ変換する反応場となる遷移金属錯体を創製する。物性や電子状態の制御、および複合的反応系の利用により、目的とする化合物に最適な反応場を構築する
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南部 伸孝 教授

研究分野 [ 理論化学・分子設計 ] 地球化学・分子生物・物質科学など様々な分野で観測される複雑な化学現象を、コンピュータを用いた仮想実験を仕立て「観える化」に挑戦する
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橋本 剛 教授

研究分野 [ 分析化学・錯体化学・超分子化学 ] 細菌や生体関連分子をターゲットとして、分子認識部位を持つ超分子複合体や金属錯体を開発し、分光学的測定や電気化学測定により評価する
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冬月 世馬 准教授

研究分野 [ 大気化学・大気モデリング ] 理論化学計算と紫外線スペクトルなどを用いて分子の反応速度定数を求め、大気化学モデリングのデータを集めて惑星大気の研究を行う
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三澤 智世 准教授

研究分野 [ 遷移金属錯体の合成と反応開発 ] 多核構造の遷移金属錯体の創製と、錯体上での分子・イオンの変換反応の開発および反応過程の理解を目指した研究
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上智大学 Sophia University