人間形成の学問ともいえる教育学は、人の成長・発達に関連するすべての事象を研究対象とし、そうした諸現象を思想、歴史、社会学、心理学、比較、実践、政策といった多様な視点から考察し、意義づける総合的学問です。教育学専攻では教育哲学、日本教育史、教育方法学、教育社会学、学校教育学、学校臨床社会学、比較国際教育学、国際教育開発学の8つの専門領域を研究する教員が、理論と実践の両面にわたって研究を行いながら、国際化時代に求められる現実科学としての教育学を究めています。
カリキュラムの特徴
博士前期課程は大学院生の専門分野に応じて、研究の基礎的資質を育て高めることを重視しています。指導にあたっては特殊研究分野に偏ることがないように8領域全体に目を配り、多面的に研究方法が修得できるように配慮しています。2年次春学期には修士論文の中間発表が行われ、全教員から指導と助言を受けます。
博士後期課程では、専門分野を深く掘り下げた研究に取り組み、課程博士論文の完成を目指します。そのために指導委員会が編成され、論文作成に向けた指導が行われます。2009〜2011年度に各1名、2012年度に2名、2014年度に2名、2017、2018年度に各1名、2021年度に1名、博士号を授与しました。また学会での発表に向けた細やかな指導も行われています。なお、教育学専攻では英語による修学も可能です。
授与学位
- 博士前期課程:修士(教育学)
- 博士後期課程:博士(教育学)
取得可能な教員免許・免許教科
- 中学校専修(社会)
- 高等学校専修(地理歴史・公民)
※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能です。
教育学専攻の特色
教育の根源を問う
教育に関する根源的・本質的な諸課題に対して、日本ならびに西欧の歴史的、哲学・思想的な知の蓄積に基づき、積極的に対峙し、探究しています。
国際的な視野に立つ
グローバル化する今日の多様な社会における教育の理念的・実践的なあり方に関して、欧米諸国のみならずアジア諸国や開発途上国の経験を取り込みながら、国際的な視野のもとで研究・教育に取り組んでいます。
研究と実践を架橋する
教育学の社会的な意義や今日的な役割について多角的に考察するとともに、 研究と実践を架橋することを目指しています。
学びの場の多様性を確保する
英語による科目の開設、他研究科とのクロス・リスティング、国連大学の委託聴講生制度等の活用により学びの場の多様性を確保しています。
修了生の最近の主な研究テーマ
- マダガスカルの若者ボランティアの特徴、動機とキャリア形成 ― ローカルNGO TeachFor Madagascarを事例として ―
- 地域の教育構造と私立中学校選択の相互作用 ― 「脱出(Exit)」・「意見表明(Voice)」・「忠誠(Loyalty)」モデルによる検討 ―
- 現代中国におけるゲイ男性のセクシュアル・アイデンティティの構築に関する研究 ― 中学・高校における学校経験に着目して ―
- 中学校の小中学校における学びの創造と教育改革の展開 ― 協同学習(対話教学)のデザインを中心に ―
- 平和で持続可能な社会を構築するためのSocial, Emotional, and Ethical Learning ― 学校教育における社会性と情動の学習と倫理教育の新たな可能性 ―
- 中国における大学生の大学院進学選択に対する動機に関する研究 ― 社会階層の影響に着目して ―
- カント啓蒙概念のうちに見る教育の可能性の研究 ―「 成年状態」の批判哲学的再構築と「抵抗」をめぐって ―
- 1990年代以降のヨーロピアン・シティズンシップ教育の展開 ― イングランドと欧州評議会の政策・カリキュラムを中心に ―
教育の方針
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博士前期課程
本課程では、教育学の領域における幅広い学識と基礎的研究スキルを身につけ、人間の尊厳を守りつつ、教育を通じて現代社会の課題解決に取り組むことができる人材の養成を目的として、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。
- 社会のさまざまな事象についての情報収集力
- 柔軟で多角的な思考力・分析力
- 他者への共感と多様な集団との協働によって生み出す創造力
- 問題解決のための実行力
- 研究を適切に実行し、その成果を学術論文としてまとめる力
博士後期課程
本課程では、研究者として教育学の領域における幅広い学識と高度な研究スキルを身につけ、人間の尊厳を守りつつ、教育を通じて現代社会の課題解決にリーダーシップを発揮して取り組むことができる人材の養成を目的として、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。
- 社会のさまざまな事象についての情報収集力
- 柔軟で多角的な思考力・分析力
- 他者への共感と多様な集団との協働によって生み出す創造力
- 問題解決にリーダーシップを発揮して取り組む実行力
- 自立的に研究を遂行し、新たな知見を学術と政策・実践にもたらす力
- 研究成果を適切にまとめ広く社会に発信する力
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博士前期課程
本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。
- 博士前期課程では、講義・演習・研究指導を組み合わせたカリキュラムを作成している。「講義」では、教育学の当該領域(教育哲学、教育史、教育社会学、国際教育学など)における主要テーマについて理解する。「演習」では、特定トピックについての議論による理解の深化や、調査研究スキルの獲得を目指す。また、自研究科内の他専攻開設科目や、8単位まで他研究科開設の科目を履修することも出来る。これらの科目を受講することにより、社会のさまざまな事象に関する情報収集力、そして幅広い学識と柔軟かつ多角的な思考力・分析力を身につける。
- 前期課程では、英語による科目を開設し、他研究科とのクロス・リスティング、国連大学の委託聴講制度等を活用することで、学びの場における多様性を確保する。さらに、国内外でフィールド体験・研修を実施する。留学で卒業のための単位を一定数取得することもできる。これらにより、他者への共感力と創造性、そして問題解決のための実行力を磨く。
- 課程履修期間中は、指導教員および必要に応じて複数の教員から個別に指導を受けることで、研究能力を向上させる。学生は、2年次の春学期に研究概要を提出し、中間発表会において口頭で説明する。教育学専攻の所属教員および他の大学院生から研究内容についてのフィードバックを得ることで、研究論文の質を高める。
博士後期課程
本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。
- 教育学専攻の博士後期課程では、関連領域の講義・演習科目を開設する。これらの科目では、領域における基礎的事項を確認すると同時に、特定のトピックについて少人数クラスで議論を行い、その理解を深める。また、これらの科目履修により、研究実践スキルの向上、および自身の研究計画の精緻化を図る。
- これらの科目に加えて、学生は、博士論文作成のための論文演習・研究指導科目を履修させる。課程履修期間を通じて、指導教員から博士論文執筆や研究成果の発信(学術誌への投稿、学会での口頭発表など)についての個別指導を受けさせる。
- さらに、専任教員3名からなる指導委員会が設置され、修学期間中の研究指導を受けることが出来る。指導委員会のメンバーは、学生の研究課題や調査研究手法を考慮して構成される。この体制により、学生は、多様な角度から指導を受けながら、研究と博士論文の執筆を進めることが出来る。講義・演習科目の履修と研究指導を有機的に結び付けたこれらの学びにより、専門分野における情報収集・分析能力、および研究能力を獲得し、自立した研究者としての能力を身につけさせる。
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博士前期課程
本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。
- 人間の尊厳を尊重する姿勢をもち、人の成長や学びを支える教育、ならびにそれをとりまく社会との関係性に対して、強い関心を持つ学生
- 研究を遂行していく上で必要な基礎学力を有し、学ぶことへの意欲が高い学生。「基礎学力」には、情報を幅広いソースから収集・分析し、自身の考えや研究成果を広く伝えるための外国語運用能力を含む。以上の関心と資質を有する学生であれば、学部での専攻は問わない。
- また、社会人入試を実施して、現職教員や社会経験を有する人への教育・研究支援を行うほか、留学生の受け入れも積極的に行うなど、多様な人材が各人の経験を生かして共に学びあう研究環境の中で、他者との協調や連携を図ることのできる学生
博士後期課程
本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。
- 人間の尊厳を尊重する姿勢をもち、人の成長や学びを支える教育ならびにそれをとりまく社会との関係性に対して、強い関心を持つ学生
- 博士課程での研究を遂行していく上で必要な基礎的能力を有し、学ぶことへの意欲が高い学生
- 「基礎的能力」には、情報を幅広いソースから収集・分析し、自身の考えや研究成果を広く社会に伝えるための外国語運用能力を含む。以上の関心と資質を有する学生であれば、本専攻博士前期課程を修了した者に限らず、国内の他大学院ならびに留学生を含めた海外の大学院博士前期課程(修士課程)の修了者を受け入れる本
教員一覧
相澤 真一 教授
研究分野 | [ 教育制度の変化と社会的意味変容の比較歴史社会学的研究 ] 社会の中で学校制度が広まっていくことによって、学歴や試験、教育知識などが持つ社会的意味がどのように変容するのかを研究している。著書:『〈高卒当然社会〉の戦後史』(共著)、High School for All in East Asia(編者)など |
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上野 正道 教授
研究分野 | [ 学校教育学、教育哲学・思想史 ] グローバル化時代の学校の公共性と民主主義の思想と実践について研究している。その中で、欧米や東アジアにおける学びと学校改革の可能性を探っている。著書:『学校の公共性と民主主義』、『民主主義への教育』、Democratic Education and the PublicSphere など |
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小松 太郎 教授
研究分野 | [ 開発途上国における教育諸課題の研究 ] 開発途上国や紛争後社会の教育政策・行政制度、教育と平和構築の関係性、国際教育協力のあり方について政治学や社会学的に研究している。著書:『教育で平和をつくる』、『途上国世界の教育と開発』(編著) |
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酒井 朗 教授
研究分野 | [ 教育における排除と包摂をめぐる教育臨床社会学 ] 不登校、不就学、中途退学などの事象を社会的排除と包摂の観点から捉えるとともに、問題に対処するための学校間の連携にも関心を持っている。著書:『教育臨床社会学の可能性』、『進学支援の教育臨床社会学』(編著) |
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杉村 美紀 教授
研究分野 | [ 人の国際移動と社会文化変容に関する比較教育研究 ] グローバル化や国際化に伴う社会の多様化と統合をめぐる教育政策の比較研究、および国際連携による国際高等教育、教育交流に関する研究。著書:『移動する人々と国民国家』(編著)、『多文化共生社会におけるESD・市民教育』(共編著) |
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奈須 正裕 教授
研究分野 | [ コンピテンシー・ベイスの教育方法学 ] 学習心理学を基盤に、子どもの有能さを十全に実現するカリキュラムと学習指導法の開発研究をしている。著書:『「資質・能力」と学びのメカニズム』『次代の学びを創る知恵とワザ』 |
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湯川 嘉津美 教授
研究分野 | [ 日本幼児教育史の研究 ] 日本における幼児教育の成立と展開を跡付けながら、幼保一元化、幼児教育義務制、幼小連携・接続の在り方について検討している。著書:『日本幼稚園成立史の研究』、『ペスタロッチー・フレーベルと日本の近代教育』(共著) |
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鈴木 宏 准教授
研究分野 | [ 平和教育の原理の構築を目指した教育哲学研究 ] グローバル化が進む中で、平和という理念の意義を改めて問い直し、これからの時代に求められる平和教育のあり方を哲学的に探究している。著書:『カントの批判哲学の教育哲学的意義に関する研究』 |
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Maria MANZON 准教授
研究分野 | [Comparative Education] Globally inclusive histories of comparative education,Asian contributions in relation to women’s ways of knowing,parental involvement spirituality and values education. Religion,education and sustainability: comparative perspectives. Publications: Comparative Education: The Construction of a Field; Origins and Traditions in Comparative Education (ed.); Comparing Places. |
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