ウクライナの大学と緊急期の教育継続をテーマにオンライン合同ゼミを実施しました

今年4月から5月にかけて、総合人間科学部教育学科の小松太郎教授が指導する科目「国際教育開発学演習」において、ウクライナの都市リビウに位置するウクライナ・カトリック大学(UCU)とオンラインで合同ゼミを行いました。上智大学からは教育学科3年生と4年生の計10名、UCUからは安全保障科目を履修する学生18名が参加し、「緊急期の教育継続」というテーマのもと計3回にわたってセッションが実施されました。

オンラインで海外大学との交流をおこなうCOIL型教育という手法がとられた

実施に当たっては、小松太郎教授とUCUのDmytro Sherengovsky教授が打ち合わせを重ね、両学生の学習環境や意欲関心などを確認し合い、テーマや授業内容を決めました。参加した学生は、紛争や自然災害、感染症拡大下でいかに教育を継続できるかといった点について、それぞれの国や個人の体験、既存の研究成果を基に議論し、最終セッションの後には共同で小論文を執筆しました。

ウクライナの悲惨な現状も伝えられた

上智から参加した学生は、「戦争の只中にある若者がどう学んでいるのか、なぜ学んでいるのか知る貴重な機会となった」と振り返り、UCUの学生は「自分は以前、大学に入ったら海外に留学することを夢見ていた。ウクライナでは今、男性は国外に出ることは出来ない。そんな中で今回は日本の大学の学生と繋がれて嬉しかった」と感想を述べました。両学生にとって、今回の合同ゼミは地理的・文化的・歴史的に異なる二つの国の間にも共通する課題があること、互いの国や個人の体験から学ぶことが多くあることを理解する貴重な機会となりました。

小松教授は「国境を越えて学生が協働して作業に取り組み、グローバル社会に必要な異文化協働能力を身に着ける学びの形態であるCOIL(Collaborative Online International Learning: 国際協働オンライン学習)は、物理的に訪問することが不可能もしくは困難な土地の大学とも直接つながり、学生同士が協働し学ぶ機会を提供しうる。3回目のセッションでは、その前夜に空襲警報が鳴ったためか、参加出来ないUCUの学生が数名いた。急遽、新しいグループを作り内容も修正してディスカッションを行った。こういった経験も、世界で起きていることを肌感覚で知る機会となった」と振り返っています。


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上智大学 Sophia University