上智大学アフリカ・ウイークス2019実施報告

5月13日から25日まで、「上智大学アフリカ・ウイークス」が開催されました。この企画は、成長著しいアフリカ地域と将来深く関わる可能性の高い若い世代に対して、アフリカ地域への理解を促進し連携を深めていくための取り組みとして行っているもので、今年が3回目となります。

 

シンポジウムや講演会など5つの企画に多彩なゲストが登壇したほか、学生による写真展や学食とのコラボレーション企画も実施され、上智大学学生のほか他大学生や高校生も多数来場しました。

アフリカを知る、共にグローバル社会を創る

16日、アフリカ経済やアフリカにおける国際協力のあり方を多角的に考えるシンポジウムが、2号館17階国際会議場にて開催されました。冒頭の挨拶に曄道佳明学長が登壇し、上智大学のアフリカへの取り組みを紹介しました。

シンポジウムでは、豊田通商株式会社エグゼクティブ・アドバイザーの服部孝氏が「アフリカの成長力と課題」「課題に対応する新ビジネスの萌芽」「当社アフリカ事業の方向性とVISION」の3つの切り口で基調講演を行いました。

アフリカの魅力を紹介

続いて、本田文子経済学部経済学科准教授をモデレーターに、アフリカ開発銀行アジア代表事務所所長の横山正氏と国際協力機構アフリカ部計画・TICAD推進課専任参事の吉澤啓氏をパネリストに加えて、パネルディスカッションが行われました。それぞれがアフリカの魅力を3つのキーワードで紹介するなど、活発な議論が交わされました。

■南スーダンにおける平和の再興

20日、独立を果たした後も内紛が続き、ようやく和平合意が成立しつつある南スーダンについて、現在抱える課題とその改善策を考えるシンポジウムが行われました。

冒頭、前駐南スーダン日本国大使で、現アフリカ開発会議(TICAD)担当大使である紀谷昌彦氏が、8月に横浜で開催される第7回アフリカ開発会議を前に、日本とアフリカの関係を考えるシンポジウムが上智大学で開催される意義を語っていただきました。

南スーダンと回線をつないで討論

次に、国連訓練調査研究所(UNITAR)広島事務所長の隈元美穂子氏から、UNITARが実施している、南スーダンの若手実務者を対象としたマネジメントやリーダーシップに関する研修プログラムについて説明がありました。

続いて、同プログラムに参加した南スーダンのエマニュエル・アユメ・ベンジャミン大統領室外交部長とクリスチナ・ピタ・ルクドゥ司法省法律実践官の2人が、南スーダンからインターネットを介して参加。同国の現状と今後の課題について説明するとともに、今後の国づくりについて熱く語りました。

アフリカ民話への、異文化からのアプローチ

21日、アフリカの民話を題材とした講演会が開催されました。永井敦子文学部フランス文学科教授が講師を務め、瀧本くるみさん(神学部神学科3年)が民話朗読を行いました。

永井教授は、アフリカ各地の民話と日本の民話を比較しながら話を進めました。そして、異文化社会で生まれた民話を読むことにより、「人間に共通する感情を実感する」「異文化社会に住む人の世界観・人間観を知る」「自分の国や地域の文化に外からの視点で接近する」「違いが優劣ではないことを自覚し建設的な相互理解が可能になる」という4つのポイントを示して講演を締め括りました。

アフリカ民話を解説する永井教授

Youthが繋ぐ日本と現代アフリカ

25日、「アフリカの人々とどのような社会を創っていくのか」をテーマに、アフリカ出身の上智大学OBと学生が語り合うシンポジウムが開かれました。

最初に、前駐日ベナン大使のゾマホンD.C.ルフィン氏(2006年総合人間科学研究科社会学専攻博士後期課程満期退学)が、これまでの経験を振り返り、「立派な国際人になるには、立派な市民であること、そのためには自国の歴史と海外のことを知ることが大事である」と訴えました。

ゾマホン氏とトークセッション

続いて、「私が歩いたアフリカ」と題して、個人でボランティア活動を行った学生や上智大学のスタディーツアー「アフリカに学ぶ」に参加した学生たちが、現地で体験し、学んだことを発表しました。

さらに、法政大学日本学術振興会海外特別研究員のキニュア・レイバン・キシンジ氏(2018年グローバル・スタディーズ研究科グローバル社会専攻博士後期課程修了)をモデレーターに、登壇者全員でトークセッションを行い、アフリカについての議論を深めました。

「DEAR AFRICA」学生企画写真展

期間中、2号館1階メインエントランスでは写真展が開催されました。写真展企画担当の学生が、「DEAR AFRICA」のテーマのもと、アフリカで感じたこと、アフリカに対して思っていること、アフリカへのメッセージを表現した写真を募集。20点が情景の説明とともに展示されました。

写真展に足を止める学生たち

その他の企画

21日の昼休みには、キャリアセミナー「国連職員と話そう!」がランチタイムトークとして開催されました。UNITAR広島事務所長の隈元美穂子氏がゲストに招かれ、上智大学学生と懇談しました。

また、学生団体「アフリカ文化の会」と2号館5階学生食堂のコラボレーション企画として、「EAT AFRICA」を開催。アフリカ各国の料理を盛りあわせた「アフリカを旅するプレート」がリーズナブルに提供されました。期間中水曜日には、ジョロフライス(トマト風味のスパイシーな炊き込みごはん)のキッチンカーも登場し、多くの学生が料理を楽しみました。

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