「人」が「育つ」、「人」を「育てる」ことを学び、「人間の尊厳」への洞察を深めていく

学科の特色

人間と教育をめぐる諸問題を教育学的観点から総合的・多角的に考究し、「人間の尊厳」について考え、理解を深めるとともに、人間尊厳の教育を実現するための知識と実践力を培います。

円滑により高度な学びを実現するために、専門領域として、基礎的領域、実践的領域、国際的領域の3領域を設置。学問的基礎を築いたうえで、今日の教育をめぐる基礎的、実践的、国際的な課題にアプローチできるように教育課程を編成しています。そして、人間の尊厳を基底に置く、人間性と専門性に優れた教員や研究者を養成するとともに、国際社会でも活躍できる自立性と教育学的教養を備えた人材を養成します。

教育学科には、英語による学位取得プログラム(Sophia Program for Sustainable Futures[SPSF])を設置しています。

Q&A

A. もちろん教員になりたい人たちが教育の基本的な問題を深く十分に学べる学科ですが、教員養成だけを主な目的とした学科ではありません。人が「育つ」、人を「育てる」ということについての多様な問題、課題、方策を学び、社会のさまざまな場所で活躍できる人になる基礎をつくることができる学科です。

A. 教職課程・学芸員課程に履修登録し、必要な単位を取得すれば、中学校教諭(社会)、高等学校教諭(地理歴史・公民)の1種免許状および学芸員の資格を取得することができます。

カリキュラムの特徴

1~2年次では基礎的領域、実践的領域、国際的領域の3領域の基礎となる科目(教育哲学、日本教育史、教育社会学、教育方法学、学校教育学、学校臨床社会学、国際教育学、国際教育開発学)を学び、教育を軸とした社会のさまざまな課題にアプローチするための基盤となる知識を獲得します。3年次からは、学生一人ひとりが関心のある分野を選択したうえで、ゼミナールでの教員の細かな指導のもと、より専門的な学びを深め、4年次に調査・研究を行って卒業論文を作成します。講義から演習まで数多くの選択科目を設置しており、関心に合わせて幅広く学べる環境を特徴としています。

※科目の詳細については、シラバスをご覧ください

科目紹介

教育哲学

主に西洋の代表的な教育思想について学びながら、教育という概念を哲学的に捉えるとはどういうことかを考えます。そこから、現代の教育問題について原理的に考察する力を養います。

国際教育学

国家間や地域間の関係が教育へ与える影響、逆に教育が国や地域に与える影響について、歴史・政策・文化・多文化共生などの観点から整理と検討を行い、教育の役割について理解を深めます。

教育方法学

教育方法学(curriculum and instruction)について、カリキュラムの構造的な理解と編成に関する基礎的能力(curriculum)、学習の原理とそれに基づく実践化の方法・技術(instruction)を学びます。

教育社会学

社会学の基礎を学びながら、日本社会と教育・学校の関係性について考えます。さらにはテクノロジーの発展やグローバル化など、近年の変化がもたらす影響についても考察します。

学校教育学

学校教育が抱える課題を検討し、教育のあり方を思想、歴史、実践、政策などの多角的な視点で探求します。また、注目されるシティズンシップ教育の理論的、実践的な課題についても検討します。

国際教育開発学

開発発展途上国の教育政策・実践・運営に関する課題の捉え方と解決方法、国際社会の役割を考えます。学校教育に限らず識字教育やノンフォーマル教育も扱い、紛争地の教育についても理解を掴めます。

取得可能な教員免許と教科

  • 中学校教諭1種(社会)
  • 高等学校教諭1種(地理歴史、公民)

学芸員課程が履修できます。

教育の目的・方針

人間と教育をめぐる諸問題を教育学的観点から総合的・多角的に考究し、人間尊重の教育を実現する力を養うこと

人間の尊厳を基底に置く、人間性と専門性に優れた教員や研究者を養成するとともに、国際社会でも活躍できる自立性と教育学的教養を備えた人材を養成すること

本学科では、学生が卒業時に身につけているべき能力や知識を次のように定めています。卒業要件を満たせば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 教育学と関連する諸学に関する幅広い知識を身につけ、国内外の人間と教育を巡る諸問題を教育学的に考察するとはどういうことかが理解できると共に、人間尊重の教育に関する豊かな実践的イメージを持つ能力
  2. 国内外の学校・社会・家庭・企業などで行われている教育的営みと、そこで生じる現象や問題について、哲学・歴史学・社会学・心理学などの知識と方法を用いて教育学的に読み解くと共に、人間尊重の教育を実現する筋道について総合的・多角的に考究し、自らの考えを的確に表現する能力
  3. 人間の尊厳を基底に置き、国際的な視野を携えて、教育に関わる問題解決や人間尊重の教育の実現に向け、多様な他者と主体的・友好的に協働し、絶えざる自己省察を繰り返しながら粘り強く取り組む能力

本学科では、ディプロマ・ポリシーに沿って、次のようにカリキュラムを編成しています。

 

  1. 総合人間科学部の他学科と同様に「全学共通科目」、「語学科目」、「学科科目」(学部共通科目、学科専門科目)で構成され、広い教養と深い専門性の調和的実現を目指す。
  2. 広範な教育学の諸領域を構造的に把握し、その独自な学問性を体系的に身につけられるよう、「基礎的領域」(教育哲学、日本教育史、外国教育史、教育社会学、教育行政学など)、「実践的領域」(学校教育学、学校臨床社会学、教育方法学、社会教育計画論など)、「国際的領域」(国際教育学、比較教育学、国際教育開発学など)の3領域で編成する。なお、「国際的領域」では英語による科目も開講する。
  3. 1年次前期に、教育学基礎演習を必修科目として履修し、大学での学びを進める上で求められる基本的な事項やスキルを習得させる。1・2年次では各概論を必修及び選択必修として履修し、基礎的な事項や視点、方法論を学ばせる。3年次前期には、1・2年次の学びを基盤にゼミ(演習)を選択し、各専門の立場から人間と教育を巡る問題へのアプローチと、そのために必要な思考力・判断力・表現力の基礎を身につけさせる。3年次後期には、ゼミを中心的な場としてさらに専門性を深めると共に、一人ひとりが独自に探究する課題を定め、取り組むことで、事象を教育学的に読み解き問題解決の筋道を模索する能力、人間の尊厳を希求する態度、国際的な視野などを育む。4年次には、卒業論文の作成に取り組むことを通して、人間尊重の教育を実現する筋道について総合的・多角的に考究し、自らの考えを的確に表現できるようになると共に、絶えざる自己省察を繰り返しながら問題解決に粘り強く取り組む資質・能力を身につけさせる。
  4. 3領域で構成された立体的な学びを通して教育学を体系的に身につけると共に、各自の問題関心や将来展望に即して、他学部・他学科科目を含めた関連する多様な科目群からの履修が可能となっている。また、その際、国際的な視野を身につける基礎的能力の涵養に配慮し、英語による開講科目を数多くリストアップしている。
  5. より主体的・対話的な深い学びを実現すべく、学習方法にも工夫を施している。講義ではリアクションペーパーへの記入を求め、次時に教員がコメントしたり、整理された多様な意見について、さらに学生同士で議論したりする。ゼミでは個人やグループでの発表と討議が基本となるが、さらに国内外の他大学のゼミとの交流活動や、海外も含めたフィールドワークを行うこともある。卒業論文の最終審査は公開での発表会としており、多くの聴衆を前に効果的なプレゼンテーションを工夫する場としている。
  6. 一人ひとりの学習の成果や状況について、より多面的できめの細かな評価を実現すべく、学期末試験に加えて、授業中のリアクションペーパーやワークシート、議論やグループワークへの参加・貢献状況の見とり、学期の途中でのレポート提出や試験の実施など、様々な評価指標・評価方法を組み合わせた評価を行っている。
  7. 人間尊重の教育に関する実践的イメージを持つ能力や、国際的視野を携えて多様な他者と協働し、粘り強く取り組む能力の滋養を図るために、インターンシップ科目を選択科目として充当する。

人間と教育をめぐる諸問題に関心を持ち、それらの問題を柔軟かつ複眼的に思考することのできる学生を受け入れます。また、国際社会や異文化に対して広い関心を有する探究心の旺盛な学生を求めています。

 

  1. 人間と教育をめぐる諸問題に関心を持ち、その解決に取り組む意欲を抱く学生を求めています。その際、国際社会や異文化に対して広く関心を有する探究心の旺盛な学生を特に歓迎します。
  2. 学習の基礎力として、どの入試種別においても、日本語を用いて論理的に思考し、表現する能力と、英語による基礎的なコミュニケーション能力を要求しています。その上で、自らの考えを率直に表現できると共に、広く寛容な姿勢で他者の考えを受け入れ、柔軟に発想し、複眼的に思考することのできる学生を求めています。
  3. さまざまな個性や多様な文化的背景を有する学生を歓迎します。また、特別入試では、新聞などで報道される時事的問題の水準において、教育に関わる諸問題への関心や理解、それらに対して自分なりの考えを形成し表現する基礎的能力を備えた学生を受け入れます。

教員一覧

相澤 真一 教授

SPSF
研究分野 教育社会学、社会調査、比較歴史社会学、教育と社会の関係を実証的なデータを用いて多様に研究

上野 正道 教授

SPSF
研究分野 日本、欧米、東アジアの学校改革と公共性について、思想史・実践・政策の多面的、複合的な観点から研究
関連記事

酒井 朗 教授

研究分野 学校臨床社会学、教育分野における質的調査、教育問題や教育における排除と包摂について研究
関連記事

杉村 美紀 教授

SPSF
研究分野 アジアを中心とした人の国際移動と国際教育交流ならびに多文化教育に関する研究

奈須 正裕 教授

研究分野 カリキュラム開発と授業づくりに関する教育方法学的研究
関連記事

湯川 嘉津美 教授

研究分野 日本教育史について研究。主なテーマは教育制度史、幼児教育史

鈴木 宏 准教授

研究分野 ドイツの教育哲学を専門領域として、道徳教育や平和教育のあり方について研究
関連記事

Maria MANZON 准教授

SPSF
研究分野 Comparative education histories,parental involvement in education,religion and education

上智大学 Sophia University