教育とともに進化して、学びにオリジナリティを。

総合人間科学部教育学科4年
長田 のっこ

「周りの人を少しでも幸せにできるような、あたたかい人になりたいと思っています」と語る総合人間科学部教育学科4年の長田のっこさん。子どもの頃からの疑問を国内外の視点から追究する中で、彼女が実現したいと考える教育のかたちとは?

複合的な学びで見えた「教育に秘められた可能性」

総合人間科学部は、さまざまな視点から人間を考える場だと思っています。教育学科のほかにも、心理学科、社会福祉学科、看護学科、社会学科がありますが、それぞれ異なる雰囲気の授業があって、とても面白いですね。私たちの学部の1年生の必修科目「総合人間科学入門」では、“人間の尊厳”について深く考えさせられました。壮大なテーマなので、最初は「人間の尊厳って何?」みたいな感じだったんです。でも、授業が全部終わる頃には、1人ひとりが自分らしく生きられる社会、自分の生まれ持った権利が守られる社会をつくるために学ぶべきことが見えてきました。

教育学科を選んだ理由は、幼少期にさかのぼります。授業の大半が体験学習というユニークな小学校と中学校に通っていたので、小さい頃から学校の面白さ、教育の可能性のようなものを感じていました。それが高校では一転して受験勉強一色。とても大きなギャップを感じて、どうしてこんなに違うのか、それぞれの教育の良さや問題点は何かと考えるようになりました。こうした疑問に対する自分なりの答えを見つけたい。今後の社会に求められる教育の在り方や学習のスタイルを幅広く学び、子どもたちにとって本当に楽しい学びについて考えたい。そのような想いから、私は教育学科を選びました。

大学に入学後、学科での学びを通じて気づいたことは、教育も進化しているということ。それこそ私が小・中学校で受けていた体験学習やアクティブラーニングのような授業がどんどん生まれていたんです。大学での授業も、アクティブに学べるものがたくさんありました。例えば、教育方法学の授業では、自分の理想の学校を考えて、その学校のパンフレットを作るという課題が出ました。リサーチ中心の課題とは異なり、自分で何かを作り上げる課題だったのですが、これが本当に楽しかったです。このような授業を通して教育について学ぶことが一段と面白いものになり、子どもたちが本当に楽しいと思えるような教育を考えたいという気持ちが強まりましたね。

教育学科は、全員の顔が分かるくらい仲が良くてアットホーム。上智大学は“他者のために、他者とともに”という教育精神をとても大切にしていますが、教育学科もその想いを共有していると感じています。自分のためというよりは、みんなが楽しむためにはどうすればいいか、という考え方をする人が多く、あたたかな雰囲気でとても居心地がよいですね。また、上智大学は全学部が四谷のキャンパスにあり、他学部の授業が履修しやすい環境です。教育とは一見関係なさそうな授業を取っても、そこで学んだ内容を教育に結び付けると面白い考えが生まれたりするんです。これは私が学ぶ上で大きな強みになっています。さまざまな社会問題と教育を結び付けて考え、どういう教育をすれば社会全体が良くなるのかと広い視野で教育を捉えられるようになりましたし、教育が変われば世界も平和になるのではないか、と教育に秘められた可能性も感じられるようになりました。

教育学科の先生方は、学生1人ひとりのやりたいことや興味のあることを真剣に受け止めてくださいます。ひと口に教育と言っても幅広い分野があるので、学ぶ過程で興味の矛先が変わることは、やはりあると思うんですよね。だから、それを受け止めてくれる先生方がいるというのは心強い限りです。学校教育やカリキュラム開発が専門の先生もいれば、国際的な視点から比較教育を専門に研究されている先生、海外出身の先生もいて、本当に多様な視点で学ぶことができます。自分の興味があることを、さまざまな分野を掛け合わせながら追求できるのは、上智の教育学科の強みだと思います。

心と心のコミュニケーションで考えた「途上国における教育」

私が特に関心を持っているのは、途上国や国際協力における教育です。祖父母が長崎出身で、小さい頃から平和や戦争に関心がありました。世界では今でも至るところで紛争が起きていて、貧困に苦しんでいる人がいるという現実を知り、国によって異なる情勢や、紛争が起きてしまう理由にも目を向けるようになりました。また、そうした現状を変える教育分野の国際協力にも関心を持つようになりました。

それで教育に関する授業だけでなく、アフリカ史や国際協力に関する授業も積極的に履修しました。教育を国際協力の視点から分析したり、教育におけるアフリカと日本の違いを調べたりしていると、1つのことを多角的に見られるようになってきます。それに興味のあることを学んでいけば、自分だけの学びを作ることができますし、自分のオリジナリティみたいなものが出てくるような気がしますね。

ゼミではCOILという海外大学の学生とともに学ぶオンライン授業で、途上国の学生と教育について考える機会にも恵まれました。その中で一番強く感じたのは、自分とは全く違う常識を持つ人たちと一緒に過ごしたり何かを作り上げたりすることの難しさと面白さです。日本の学校には当たり前のようにある掃除の時間も、海外から見れば「何だそれは」なんですよね。自分では想像すらつかないようなバックグラウンドを持つ人と、どうやって理解し合うことができるのか。模索しながら取り組む過程で、英語だけでなく心と心でコミュニケーションを取ることの大切さを学びましたし、そのスキルも身についたと思います。

日本の社会でも「誰かのために何かをしたい」

上智大学には、留学やインターンシップ科目などで海外に出る機会も多いですし、グローバル関連のイベントも充実しています。キャンパスにも留学生が多く、それこそアフリカの民族衣装を着た学生に会うことも珍しくないので、このような環境を利用して日頃から国際的な問題に目を向けるようにしています。

海外への興味から、英語で学位取得ができるSPSFというプログラムの学生をサポートするヘルパーの活動も行っています。さまざまなバックグラウンドを持つ学生が国内外から集まってくるので、サポートする側にとっても新たな発見が多いです。今後、教育学科にもSPSFの学生が増えてきて、今以上に活気のある学びの場になっていくことを考えるとワクワクしますね。

その一方で、国内の問題を学ぶ機会もありました。1年の頃から参加しているソフィア・ボランティアネットワークというサークルで、ホームレスの方に手作りのおにぎりを配るという活動を定期的におこなっていました。私は京都出身で、東京にはキラキラした大都会のイメージを持っていたのですが、高層ビルのすぐそばにホームレスの人がいる。社会の課題は、見えにくいけれど自分の身近なところにもたくさんあるのだと気が付きました。そして、そうした課題に対して自ら行動を起こせば、社会が多少なりとも良くなるということを実感できたのは、今後のためになる経験でした。

将来は、周りの人を少しでも幸せにできるようなあたたかい人になりたいと思っています。まずは教育や途上国に関わる仕事に就いて幅広い経験を積み、その上で、そうした経験を伝えられるような学校の先生になることも考えています。

※この記事の内容は、2021年11月時点のものです

上智大学 Sophia University