
⽇本史学、東洋史学、西洋史学の3つの領域が設置されている史学専攻では、各領域の密接な交流を図りながら、国際的に評価される教育者や研究者の養成を目指して専門教育を行っています。本専攻の研究・指導の特長は、第一線で活躍する専任教員を配置し、上智大学の特色である外国語教育と外国文化・キリスト教文化の理解の上に専門的な教育を行っていることはもちろん、歴史学のなかでも特に総合的色彩の強い社会史・文化史の研究に重点を置いていることです。
また、日本史・東洋史・西洋史、3領域の連携によって、既成の歴史像にとらわれない、トランス・ナショナルな歴史研究が可能になっています。
カリキュラムの特徴
博士前期課程では、幅広い知識や柔軟で多角的な思考力を育むために、領域別の専門科目や全領域共通の科目を設け、レベルの高い修士論文を作成する力を養います。また、研究の状況によって本学の他専攻や附属研究所の教員に指導を要請するなど、充実した研究指導を行っています。
博士後期課程では、博士論文演習を設置し、学位取得のために徹底した個人指導を進めています。同時に⼤学院⽣の優れた研究成果には、積極的に学術誌への投稿を推奨しています。
授与学位
- 博士前期課程:修士(史学)
- 博士後期課程:博士(史学)
取得可能な教員免許・免許教科
- 中学校専修(社会)
- 高等学校専修(地理歴史)
※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能で、必ずしも全教科取得できるわけではありません。
史学専攻の特色
修了生は第一線で活躍
日本史、東洋史、西洋史の各領域で専門性を深めながら、領域をまたがる研究活動が活発です。修了生は内外で高く評価され、高校や大学の教員、学芸員などとして第一線で活躍しています。
委託聴講生制度
青山学院大学・中央大学・國學院大學・国士舘大学・明治大学・立教大学・専修大学・駒澤大学・東海大学・東洋大学との間に委託聴講生制度を実施しています。学生は希望に応じてこれらの大学の講義を聴講でき、単位を取得可能です。
外国留学でさらに飛躍
超領域的な研究を推進するため、東洋史、西洋史はもちろん日本史の領域でも、前期課程の大学院生を含め外国留学・在外研究を積極的に行い、さらに深く研究を進めていくことを奨励しています。
大学院生も発表できる学術雑誌
文学研究科史学専攻では、上智大学史学会が発行する『上智史學』や、学外の学会・研究会誌に大学院生が投稿することを推奨しています。また、史学専攻の院生は、上智大学他専攻の院生とともに学内院生研究会のSapientia 会を立ち上げ、自主的に学際的な院生学術誌『紀尾井論叢』を刊行しています。
修了生の主な研究テーマ
博士前期課程
- ギヨーム・ファレルとヌシャテルの宗教改革
- 「啓蒙の世紀」地中海マルタ島におけるイギリス人旅行者とマルタ騎士団 ―グランド・ツアーとフリーメイソン団に着目して―
- 16世紀のアルボラン海域社会 ―マラガを中心に―
- オットー・ディベリウスの見たドイツ民主共和国 一彼の著作•発言の考察を通じて一
- ドイツ国家人民党の変遷
- 八世紀前半における家令と家政機関
- 足利将軍家の右近衛大将拝賀について
- 中世前期葛川の「追出」と起請文
- 日本中世における住宅検断の展開 ―畿内諸勢力を中心として―
- アレッサンドロ・ヴァリニャーノ日本巡察(1580年・1592年)
- 江戸後期の名所図会の役割
- 後漢の羌対策と東羌の誕生
- 1944年「河南民衆蜂起」の再検討
- 清代中期以降閩南地方基層における暴カー泉州府「東西仏」械闘を中心にー
- 通俗日用類書などからみる明清時代の人々の住宅観
- 1945年以降の大連における建造物 ―支配の痕跡に対する人々の視線―
博士後期課程
- 宋代地方末端行政についての研究
- 19/20世紀転換期ドイツにおけるカトリシズムの労働者統合
- 中国1949年革命と中共メディア
- 清末政治史の再構成
- 第一次世界大戦期からヴァイマル末期におけるジークフリート・クラカウアーの思想
- 外交官アレクサンダー・フォン・シーボルトの描いた明治日本
- 近代イタリアの社会調査に関する歴史学的研究
- 北宋雅楽史研究
- フランシスコ・カブラルが運営した16 世紀の日本におけるイエズス会のミッション(1570-1580)
- 禁教初期キリシタン史再考 ―キリシタン・幕藩権力の双方向的視角による―
教育の方針
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博士前期課程
本課程では、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。所定の単位を修得し、研究指導を受けたうえで修士論文を提出し、その審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。
- 明確な問題意識に基づいてテーマ設定ができ、歴史研究の知識向上に寄与できる力
- 先行研究を十分に検討・吟味し、出典の記載や引用を適切に行うことができる力
- 史・資料に基づいた実証研究を行うことができる力
- 論文作成において、的確な論文構成や整合性のある論理構成をとることができる力
- 適切な言語表現ができ、論文全体を整った体裁にまとめることができる力
博士後期課程
本課程では、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。所定の単位を修得し、かつ研究指導を受けたうえで、博士論文を提出し、その審査に合格すれば、これらを身につけた者と認め、学位を授与します。
- 明確な問題意識に基づいてテーマ設定ができ、対象分野に関する新しい史実の発見、ないしは既知の史実に対する新しい解釈の提示ができる力
- 先行研究を網羅的に検討・吟味し、出典の記載や引用を適切に行うことができる力
- 史・資料に基づく実証研究を行うことができる力
- 論文作成において、的確な論文構成や整合性のある論理構成をとることができる力
- 適切な言語表現ができ、論文全体を整った体裁にまとめることができる力
- 独創的かつ先端的な研究を行い、自立的研究者として研究を遂行できる力
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博士前期課程
本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、歴史学の幅広くかつ深い知識を極め、鋭い分析・批判能力を培うよう、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。
- 地域的(日本史・東洋史・西洋史)、時代的(古代史・中世史・近世史・近現代史)に細分化された領域に配置された教員が、テーマに最も近い学生を「研究指導」する。
- 学生が、上記の特定領域の史料読解力を磨き、研究史を学ぶ「演習」を開設する。
- 地域・時代を超えた学生が集まり、歴史学の比較研究や幅広い論を行い、自分の専門領域をより客観的に見る姿勢を養う「特研」を開設する。
- 学生が、修士論文完成まで数度経過報告を行い、論文のまとめ方を修得する「修士論文演習」を開設する。
- 学生の専門領域を深めるために、指導教員の承認を得たうえで、他専攻の科目や、他研究科の科目、ならびに協定を結んだ他大学大学院の科目を、一定の条件の下で履修させることがある。
博士後期課程
本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。
- 自分のテーマに最も近い教員を指導教員として学生が選ぶ「研究指導」を開設する。
- 自分のテーマでの史料講読や研究史を教員の指導下で学びつつ、論文執筆の途中経過を報告して論文作成を進める「博士論文演習」を開設する。
- 史学専攻課程の授業以外に、学生は、指導教員の承認を得たうえで、海外留学や学会・研究会報告を行い、研究者としての研鑽を積む。
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博士前期課程
本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。
- 歴史学の成果を研究・教育・社会啓蒙の分野で生かし、社会の発展に貢献しようという意欲のある学生
- 研究対象を理解するのに必要な、歴史的基礎知識や能力(語学力・調査能力・批判力など)を持つ学生
- 研究対象を、長い時間軸の中でとらえる視点と、他の事例と比較する視点をもち、問題発見能力を持っている学生
博士後期課程
本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。
- 歴史学研究の成果を研究・教育・社会啓蒙の分野で生かし、社会の発展に貢献しようとする意欲のある学生
- 歴史全般にわたる正確で十分な基礎知識をもち、研究対象を調べるのに必要な能力(語学力・調査能力・批判力など)を持つ学生
- 新たな史実の発見や、歴史事象に関する新解釈を構築する力があり、それを社会に対する高い見識と結びつけることができる学生
教員一覧
川村 信三 教授
研究分野 | [ 日欧文化交渉とキリシタン史 ] 16世紀におけるキリスト教の移入、宗教・社会史 |
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坂野 正則 教授
研究分野 | [ フランス近世史・文化史 ] 都市空間論、地域間交流史、宗教社会史、(海外宣教、篤信家の社会史、南フランス社会史) |
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笹川 裕史 教授
研究分野 | [ 中華民国・中華人民共和国の社会史] 中華民国期農村土地行政史、日中戦争下の総動員と農村、戦後中国の兵士と社会 |
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中川 亜希 教授
研究分野 | [ 古代ローマ史 ] ラテン語碑文、皇帝権力と都市の関係性についての研究 |
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中澤 克昭 教授
研究分野 | [ 日本中世の社会史・文化史 ] 中世城郭の研究、動物と人間の関係史、狩猟文化史の研究 |
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大川 裕子 准教授
研究分野 | [ 中国古代史・環境史 ] 人と自然環境の関係史、水利・農業から見る地域開発史 |
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中村 江里 准教授
研究分野 | [ 日本近現代史 ]戦争と医療の社会史 |
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森田 直子 准教授
研究分野 | [ 西洋近現代史 ] 近代ドイツ史、感情史やジェンダー史の手法を用いて政治文化を研究 |
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山本 成生 准教授
研究分野 | [ 西洋中世史 ] 音楽・音楽家の位置付けや教会制度史 |
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