“グローバルはこうである”という思い込みを捨てたから広がった選択肢。

及川 いずみ
総合グローバル学部総合グローバル学科3年

「大きな範囲で考えはするけれど、それを活かすフィールドは自分の生活している小さな範囲でもいいと気づきました」と語る総合グローバル学部3年の及川いずみさん。仲間たちの存在と視点の転換が彼女にもたらした予想外の成長の機会とは?

挑戦と成長を繰り返せるのは、刺激と学びを共有できる仲間がいるから

小学校の授業で、世界には学校に行けない子どもたちや十分に食べられない子どもたちがいると知ってから、将来は発展途上国や新興国に関わる仕事がしたいと思っていました。だから入学前から国際的なことに関する勉強がしたいという気持ちはありましたが、具体的に何を学べばいいのかは、自分でもよく分かっていなかったと思います。でも今は、他の大学や他の学部で学ぶことが考えられないくらい総合グローバル学部での学びに満足しています。

その最大の理由は仲間たちの存在にあります。大学は「友達と学ぶ場」でもあると思っているので、どんな仲間と出会えるかは重要です。だから、お互いに刺激し合い、学び合える仲間を見つけられたのは、大学に入って一番よかったと思うこと。得意分野や経験を持ち寄って学び合うのはもちろん、私が突然真面目な疑問を投げかけても、自然と議論が広がっていくような関係性を築くことができました。

コロナ禍で視点を国外から国内に向けたら、意外にも可能性が広がった

私の学部には、さまざまな目標に向かって努力する学生が集まっています。勉強を頑張りながら企業でインターンをしたり、NPOやNGOを立ち上げたり、ありきたりではない国に留学したりする仲間たちの姿を見ると、私も負けていられないという気持ちになれます。それで私は、とりあえずいろいろな国を見てみよう!とバックパッカーで途上国などを回ってみることにしました。すると、人の話だけ聞いて勉強するのと、自分が現地に行って感じたものを踏まえて勉強するのとでは全く違うとわかり、少しでもいろいろな国に行けるようバイト代を貯めたりして頑張っていたんです。日本語パートナーズというプログラムでインドネシアに派遣されることも決まっていました。でも、コロナ禍でそれらが全部なくなり、何をすればいいのか分からなくなってしまった。同じ状況にあっても仲間たちは次々と新しいことを見つけて挑戦しているのに、私は何もできていないと落ち込んだこともありましたね。それでも、自分が情熱を持って取り組めることを探し続けた結果、日本で難民認定を待つ難民を支援するシェルターに出会いました。

今思うと、以前の私は日本の外ばかり見ていました。常に世界に目を向けて、世界に出て活躍して、「世界の共通言語」の英語を自由に使いこなしてこそグローバル、もっと言えば「世界という言葉が付いているからグローバル、付いていなければグローバルじゃない」という極端な考え方をしていました。それに世界から学ぼうと思っていると、意識がどうしても広いほうへ、大きいほうへ向いてしまって、学んだことを毎日の暮らしの中でどのように活かしていくか、個人レベルの行動にどのように落とし込んでいくか、ということも想像できていなかったんです。

でも、難民支援の仕事を通して、日本にいてもできることはあるし、どんなことだってグローバルに考えることができるんだと気づきました。日本や外国という枠組みにとらわれず、いろいろなところから情報を得て学び、それをベースに世界そして日本というような大きな範囲で考えてみる。ただ、知識や経験を活かすフィールドは自分の生活している小さな範囲でもいいと思えるようになったんです。総合グローバル学部でも学ぶ”think globally, act locally”の考え方の本当の意味がやっとわかったと思いました。その結果、どう考えてどう行動するかが明確になりました。私にとっては大切な変化でしたね。

違和感と向き合ったから、“本当にやりたいこと”が見つかった

総合グローバル学部での学びというのは、答えを教えてもらうというより、さまざまな材料やヒントをもとに自分なりの答えを見つける過程にあると思っています。その過程で「自分にとっての当たり前が人にとっての当たり前とは限らない」ということも学んだからこそ、あらゆる違いを受け入れて、臨機応変に考えたり行動したりできるようになったんだと思います。

私の進路は今、模索中です。高校生の頃や入学直後は、とにかく世界に出て有名な国際機関などで働くことが一番だと思っていました。でも、今は「それだけじゃないな」と思うようになりました。他国と協力して年単位の長いスパンで政策を動かす大きな国際機関の仕事はかっこいいし、重要な役割を担うもの。でも、さまざまな現場で働く方々との交流を重ねる中で、目の前の人の暮らしが僅かでも良くなるように日々働く現場の重要さも知ったのです。

世界という大きな軸で見ながら、自分の身の回りの小さなことから行動する、その考え方と同じように、大きな国際機関の役割と身近な現場の役割をどちらも知ることができれば、きっといい国際協力ができると思えるようになりました。私のキャリアはきっと、真っ直ぐにのぼっていく階段ではなく、大きな国際機関も身近な現場も両方あって、それを行き来しながら登っていく、螺旋階段のようなものになるでしょう。どこから始めようと考えるだけでワクワクしています。

このワクワクが私にとっては重要です。上から目線の「やってあげる」になりがちな国際協力の分野で、助けを必要とする方々と本当にフラットに「協力」できる関係性でいるには自分自身が楽しんでいるというのは重要だと思うから。在学中に参加した海外ボランティアでも難民支援でも、さまざまな価値観を持つ人と触れ合うのが楽しくて、それが人を助けたいという気持ち以上に大きな原動力になっていました。これからも、そのときの自分が惹かれることや、その時代に必要とされていることを選びながら取り組んで、柔軟に成長を続けていければと思っています。

※この記事の内容は、2021年9月時点のものです

上智大学 Sophia University