「将来は、法学部での学びを活かして政治に関わりたいと思っています」と語る法学部国際関係法学科4年の前田慧美さん。興味関心の矛先を地球環境にも広げ、SDGs先進国への留学も実現させた彼女が、キャンパスライフを振り返って今感じていることは?
政治に関わりたいからこそ法律を学ぶという選択をした
小学生の頃、日本の政権が民主党に移り、総理大臣の一言で社会の雰囲気が変わるのを見て政治に興味が湧きました。幼心にも、政治の世界に入れば、うまくいっていないことをガラッと変えられるのかもしれないと思ったんです。それから政治問題に関心を持ち、大学では政治について学びたいと思っていました。でも、そのためには法律を知っておく必要があると思い、法学部を志望したんです。国際関係法学科を選んだのは、グローバル化に伴って諸外国との利害関係を考える必要性が高まっていると感じたからです。
国際関係を学ぶ気満々で入学したものの、1年生の間は日本の法律の勉強が中心。でも、それが意外と面白くて、もっと知りたいと思うようになりました。特に憲法は印象が変わりましたね。憲法には“ダメなこと”を厳しく取り締まるようなイメージがあったのですが、根底にあるのは人を守るということ。実際に学んでみて、人を守るために決められていることがこんなにたくさんあるのかという驚きがありました。入学当初はレポートの書き方や論点の見極め方、議論の展開方法も全然分かりませんでしたが、図書館で調べたり、先輩や先生方に聞いたりしながら少しずつコツが掴めるようになりました。その過程で、法的に物事を考えるリーガルマインドに加え、客観的かつ論理的な思考力をも身につけることができたと思います。
上智大学の法学部には学科が3つありますが、それぞれの垣根が本当に低いので、国際関係法学科に所属しながら、地球環境法学科や法律学科の授業を履修することができるんです。私は今、環境問題に強い関心を持っていますが、この垣根の低さのおかげで迷うことなく地球環境法学科の授業を履修できる。これは法学部の一番いいところかもしれませんね。
SDGs先進国での学びを通して身につけた新たな視点
環境について学びたいと思うようになったのは、半年ほどデンマークに留学してから。デンマークの特に福祉や環境に対する考え方について高校時代から興味を持っていたんです。デジタル先進国とも言われていますし、ビジネスの面からも日本が学べることは絶対にあると思い、初めての留学を決意しました。最初のうちはハイスピードの英語の授業についていくのがやっとでしたが、授業に似た形式の『TEDトーク』を観たり、現地の友人と話したりして地道に英語力を伸ばしながら勉強に励みました。
デンマークで感じたのは、SDGsや持続可能な社会実現に向けての取り組みが想像以上に広く普及しているということ。現地でヴィーガンの友人ができ、環境問題に対する想いや動物愛護に対する考えを聞いたときは感銘を受けましたね。ヴィーガンの人たちが、ヴィーガンという生き方を選択する上で、どのようなことを考えているのか、留学しなければ気づくことがなかったと思います。
この経験をきっかけに、留学前は「ふ~ん」くらいにしか思っていなかった学食のヴィーガンフードに対する見方が変わりましたし、ヴィーガンという価値観を大切にしようと思うようになりました。留学してからは日常生活の中でも、デンマークにあって日本にないもの、デンマークになくて日本にあるものを意識するようになりましたし、今まで知らなかっただけで実は日本にあったものにも気づくことができるようになったと思います。
世の中で今起きている問題から目をそらさずに、アクションを起こしたい
この4年間、私が安心してキャンパスライフを送ることができたのは、上智大学に思いやりのある人が多いからだと思っています。節度ある学生が多くて、相手が嫌がることをするような人に遭遇したこともない。私がキャリアセンター発行の在学生向けの雑誌に出てみたいと話したら、法学部事務室の方たちがアドバイスしてくれたこともありました。
これは今だから言えることですが、高校時代は自分に少し自信をなくしていたんです。政治に関わるのもやめようと思ったくらい。でも、上智で多くの人に支えられながら、自分の興味関心に従っていろいろなことに取り組む中で、自分の自信が戻ってきたように感じています。新入生のサポートをするヘルパーとして企画した新歓行事がコロナ禍で中止になってしまい、その時間を利用して仲間たちと法学部のブログを立ち上げたのもいい思い出。小さいことかもしれないけれど、自分に出来ることって自分が思うより多いんですよね。
だから、やっぱり将来は、法学部での学びや留学の経験を活かして政治に関わりたい。でも、世間を知らないまま政治の世界に入りたくはないので、まずは民間企業で社会経験を重ねるつもりです。シングルマザーを支援するNPOやSDGsの取り組みをするボランティア団体にも参加して、社会の課題を自分事として捉え、必要なアクションを起こせる大人になりたいと思っています。
※この記事の内容は、2021年8月時点のものです