5月8日から25日までの期間で、「上智大学アフリカWeeks2026」を開催しました。アフリカWeeksは、高校生から一般の方までを対象に、アフリカについて理解を深め身近に感じてもらう機会として実施しており、今年で10回目を迎えました。期間中には、教育現場でのAI活用をテーマとするシンポジウムや駐日チュニジア大使の講演、日本とアフリカの学生が集う「模擬アフリカ連合会議」など、アフリカの今を多角的に捉える全10件のプログラムが展開されました。
13日、アフリカの持続可能な発展の基盤となるインフラセクターの中でも、「モビリティ・ロジスティクス」に焦点を当てたシンポジウムを開催しました。これからの日本とアフリカの関係は、従来のODAに依存した枠組みを超え、共に未来を創造するパートナーシップへと移行しています。こうした背景を踏まえ、本シンポジウムではこれからの社会で活躍するマルチ・セクター人材をどのように育成するかについて、産官学それぞれの立場から見解を共有し、議論を行いました。
まず、アフリカ開発銀行アジア代表事務所次席の木下直茂氏が、アフリカにおけるインフラ概況とアフリカ開発銀行の役割を説明しました。アフリカの港湾・海運業界は急速な発展を遂げている一方で、鉄道・道路・空路は発展途上でネットワークが分断されていると指摘。そこで回廊が貿易活性の起点になると考えて輸送セクターへ投融資を実行したと述べ、インフラプロジェクトの事例を紹介しました。
続いて、株式会社商船三井東アフリカ代表の大山幹雄氏が、駐在中のケニアからオンラインにて登壇しました。直近の事業展開として、陸上でのロジスティクス事業にも力を入れ始めたと述べ、国際輸送から国内配送まで一貫して物流ニーズに応える体制の構築を目指していると説明。そのうち、ケニアでのヘルスケア分野の共同プロジェクトでは、他業界と連携した物流ハブ構築に対する期待を述べました。
株式会社商船三井ウェルビーイングライフ事業部外国人人材事業チームの荒井涼香氏は、2020年から開始した外国人人材の受入れ・育成事業について説明しました。船員育成のノウハウと海外ネットワークを生かした社会インフラへの貢献を掲げ、日系企業から注目されるケニア人材に特化したプロジェクトを開始。ケニア人受入れによりアフリカビジネスの促進、ひいては両国の関係性向上につなげればと語りました。
フェリックス・ウフェ・ボワニ大学(コートジボワール)のアルバン・アウレ教授は、研究者の視点から、アフリカの人口増加や産業化、都市化等の課題に対応するためには、日本の発展経験から学びつつ、知識創出と政策への応用を進めることの重要性を強調しました。さらに、日本研究を通じた研究者間連携や人材育成が、持続可能な社会の実現に寄与するとの見解を示しました。
後半は、国際協力人材育成センター所長の近藤哲生教授をモデレーターとして迎え、4名の登壇者に、株式会社商船三井外国人人材事業チーム エクゼクティブシニアアドバイザーの魚山潤氏と、本学理工学部の曄道佳明教授の2名が加わり、パネルディスカッションを行いました。物流・インフラの最前線における現地コミュニティとの信頼構築から、持続的な協力関係を築くための大学の役割まで、産官学の立場から活発な議論が展開されました。
続く質疑応答では、「日本企業のアフリカ進出に対する心理的・物理的な壁」「外国人施策に対する日本人の反応」などの質問が挙がり、今後のアフリカと日本の関係について共に考える時間となりました。
国連開発計画(UNDP)、独立行政法人国際協力機構(JICA)および本学が共催し、第3回目となる模擬アフリカ連合会議を開催しました。本会議は、若者が主体となって参加する外交シミュレーションの取り組みで、アフリカ連合の実際さながらの交渉や審議を通じて、政策交渉・多角間外交・合意形成に関するスキルや経験を実践的に学ぶことを目的としています。
今年のテーマは、「ウブントゥ(Ubuntu) -あなたがいるから、私がいる」。南部アフリカを中心に広がる教えで、共通の人間性と和解に基づく社会基盤の重要性を示す考え方であることから、特に若者の潜在力を最大限生かす社会のあり方について検討しました。326名の応募から選ばれた149名の日本の高校生・大学生とアフリカからの留学生が外交団となって、アフリカ連合の長期開発指針「アジェンダ2063」や、アフリカ開発会議(TICAD)の優先課題に沿って議論しました。
17日の総会では、開会にあたって、本学学長の杉村美紀教授、UNDPのアフナ・エザコンワ総裁補兼アフリカ局長、JICAの中村俊之理事長特別補佐、アフリカ担当外務大臣補佐官の高橋美佐子氏の挨拶に続き、アフリカ連合委員会女性・ジェンダー・青少年のノンクルレコ・プルーデンス・ングウェニャ局長より祝辞が寄せられました。多様性の尊重と対話の重要性、そしてアフリカと日本の共創的パートナーシップの深化に向けて若い世代が果たす役割への期待が示されました。
続いて、参加者らに1分の発言権が与えられ、日本に外交拠点を置く42のアフリカ諸国の代表として、若者の雇用、教育、デジタル格差、ガバナンスへの参画など、アフリカが直面する課題について意見を表明しました。その後、前日に実施したアフリカ連合の政策枠組みに基づき構成された専門技術委員会(STC)での議論をもとに、「公共サービス・ガバナンス・平和」「財政・経済計画・統合」「教育・科学技術イノベーション」に関する3つの決議案が提示され、採択が行われました。
最後に表彰式が実施され、4つの代表団が表彰されました。
■最優秀代表団賞:チームワーク、準備、議論への貢献が特に高く評価されましたSTC1:エジプト代表団STC2:リビア代表団STC3:ナイジェリア代表団
■最優秀ポジションペーパー賞:優れた調査力、明確な分析、提案の完成度が評価されましたリベリア代表団
本会議を通じて、参加者は国際協力や政策形成のプロセスへの理解を深めるとともに、対話と合意形成の重要性を実践的に学びました。
総会後は、「Japan-Africa Cultural Event」を開催しました。国特有のダンスを披露し合ったり、互いの国の食べ物や服装等を話し合ったりと、日本アフリカ双方の文化や価値観を共有することで、さらなる相互理解につながりました。
アフリカWeeksは、2017年から毎年5月に開催しています。2025年度から、アフリカとつながる上智大学のグローバル教育「国際協働を通じてグローバルな環境課題の解決に貢献するリーダー育成事業」を開始し、多方面にてアフリカとの連携を強化していきます。アフリカ地域と深く関わっていくみなさんと共に、今後もアフリカ地域への理解を推進し、連携を深めていく取り組みを進めていきます。
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