国際寮と大学で身につけたのは、「やりたい」を「やってみる」に変える行動力

「将来は、地元の子どもたちや後輩たちに大学での学びを還元したい」と語る、総合グローバル学部 4年・埼玉県出身の福島慶悦さん。自身が暮らす国際寮で環境問題に取り組んできた彼が確信を深めてきたこととは?
年齢もバックグラウンドもさまざまな人々と関わることが、自分自身と向き合うことに繋がった
上智大学を選んだ理由は、留学生が多いなど多様な学生がいること、そして国際関係論と国際経済学について専門的に学ぶことができるグローバルな学びの環境に魅かれたからです。高校時代に日経STOCKリーグという課外活動に参加したことがきっかけに、環境保全と経済活動の両立を可能にできる方法について学びたいと思うようになりました。国際政治や貿易などのビジネスの現場で、環境を守るために必要な施策やアプローチについて国際関係論の視点から学びたかったんです。自由な雰囲気で英語を活かしながら、環境やグローバル課題、経済の問題などを関連付けながら学んでいきたいと願っていた自分にとって、上智、特に総合グローバル学部での学びはとても魅力的なものでした。
私は埼玉県出身なので、東京に出向くのはそこまで大変ではありませんし、他の地域出身の人たちに比べて東京は身近な存在だと思っていました。それでも実際に暮らして思う東京の魅力は、さまざまな施設へのアクセスがいいことと、本当にいろいろなバックグラウンドを持つ人々が混在して住んでいることの2つ。特に四谷キャンパスは、文字通り「東京の中心」にあるので、丸の内や新宿にもすぐに行けるのが魅力的です。
東京という土地柄、学生や留学生だけでなく、海外からの旅行客や社会人など、実に多様な人に囲まれて生活しているので、自然と「自分が感じてきた当たり前」に疑問を持つ機会が増えます。だからこそ、「本当に自分が大切にしたいことは何だろう」「自分と相手との違う部分、もしくは共通点は何だろう」と考える機会も多い。東京での暮らしは、自分自身と向き合うことでもあると感じますね。
自分次第で友人を巻き込んで自分のやりたいことを何でもできるのが国際寮の魅力

入学が決まった当時から、アルペ国際寮に住みたいと思っていました。アルペ寮には日本全国から集うさまざまな学生と、世界各国からの留学生が暮らしています。文字通り、年齢も出身もバラバラです。多文化交流や英語で話す機会が多く、これはアルペ寮最大の魅力の一つだと思っています。実際、入寮初日から英語を使わないといけないこともありました。ここでは英語は特別な言語ではなく日常言語。自分から英語を話す機会が多くあることに、入寮時とてもワクワクしたことを覚えています。
私のユニットには6人が暮らしていますが、そのうちの4人が留学生。2人がアメリカから、残りがタイとブラジルからの留学生というメンバーです。
留学生との暮らしの中で、一番身近な学びは食。アルペ寮はユニットごとに自炊スペースがあるので、毎日料理する人が多いです。それぞれの国や地域で日常的に食べる物やその食べ方なども知ることができますし、食をきっかけにした交流が生まれます。スペインから留学生が来たときには、ガスパチョというトマトスープを作ってくれました。私はこの料理を知らなかったのですが、とても美味しかったのを今でも覚えています。暑いスペインではよく食べられるシンプルな冷製スープで、日本で言う味噌汁のような家庭料理と聞いて納得してしまいました。
アルペ寮は、積極的に自分から取り組むことで何でも挑戦できる環境です。私は環境保全の取り組みとしてプラスチック削減を目指し、ペットボトルキャップの回収に取り組みました。アルペ寮では、日々の生活を通じて寮生が学びあうことが推奨されているので、自分が関心を持っている環境問題に取り組むチャンスだと思ったのです。自分がやろうと思えば、友だちを巻き込みながら自分がやりたいことを実現できる環境がアルペ寮にはあります。
寮生活をする上で難しかったことは、バックグラウンドが異なる住人たちが持つ固有の価値観や意見を取りまとめること。暮らす人の数だけ意見や考えも異なるのは当たり前ですが、実際にまとめようとすると苦労することが多々ありました。だからこそ、密にコミュニケーションをとって、相手と自分のギャップを埋め合わせる努力や、相手の意見を尊重しながらお互いが納得できるような案を探ることが重要だと身をもって実感しましたし、このような経験を経て身につけたコミュニケーションスキルは自分の強みになったと感じています。
寮での経験は、大学での学びでも活かされています。授業でディスカッションを行うときも、お互いの意見が違うからこそ、相手の背景や思いを知ろうと努力することで、自分の考えをより深められるようになりました。逆に、大学で学んだ内容や、ディスカッションなどで得られた経験は、寮での環境保全プロジェクトに活用する機会も多く、寮での経験、大学での学びが有機的に結びついていると実感しています。
環境と経済が両立するキャリアを目指して社会に貢献したい
4年生の現在、大学ではCO2などの温室効果ガスを国家間で取引するような環境政策について学んでいます。経済と環境の両立がどのように達成できるか、国家間でいかに協力できるのかに関心を持って勉強に取り組んでいます。
学部での学びや寮でのプロジェクトを通じて、ヨーロッパの国々は環境と経済の両立からもう1歩踏み込んで、環境最優先で進める先駆的な取り組みを行っていることを知りました。そのようなこともあって、将来は、自分が学んできた環境保全や、環境と経済の両立に貢献できるようなキャリアを目指したいと思っています。昨今、SDGsなどがより一層注目されるようになりましたが、環境に対する取り組みに注力する企業もますます増えてきているように感じています。ビジネスを活性化しながら、同時に環境に対して貢献できるような企業や組織で、自分の力を発揮できるよう努力していくつもりです。
また、いずれは地元の子どもたちや後輩たちのサポートに関わることにも取り組んでみたいと考えています。東京という場所と国際寮という環境で得られた経験、そして上智大学での学び、友人たちや仲間との交流で培ったチームワークやコミュニケーションスキルは私にとって何物にも代えがたいもの。仕事やキャリアの面だけではなく、誰かの力になれるのであれば、さまざまな分野で活かしていけたい。卒業を控えた今、心からそう思っています。
※この記事の内容は、2023年7月時点のものです