Africa Weeks 2026 in 大阪「アフリカの水と暮らし~乾燥地の暮らしからワイン産地まで~」を開催しました

上智大学大阪サテライトキャンパスでは、5月24日(日)にAfrica Weeks 2026 in 大阪「アフリカの水と暮らし~乾燥地の暮らしからワイン産地まで~」を開催しました。本プログラムは、南アフリカワインを手がかりに、アフリカの水と暮らしが育む豊かさや文化を見つめるとともに、エジプト西部砂漠で進む科学技術による水資源開発の事例についても紹介し、現地で多様な経験を重ねてきた登壇者の話を通じて、アフリカへの理解と関心を深めることを目的として実施されました。

当日は約50名が参加し、高校生から大学生、80代まで幅広い世代に加えて関東地域からの参加者もあり、関心の広がりがうかがえました。

多様な視点からアフリカを捉える3つのプログラム

南アフリカワインの魅力と文化 ~研究者とソムリエの対話~

登壇者:山﨑 瑛莉 氏〔上智大学世界展開力強化事業(アフリカ)コーディネーター〕、水溜 陽子 氏〔WOSA認定 南アフリカワインスペシャリスト〕

第1部では、南アフリカのワインを通じて、自然環境と人々の暮らしの関係が紹介されました。

アフリカ大陸は広大で多様な気候帯を持ち、その中でも南アフリカは地中海性気候に恵まれた地域であり、冷たいベンゲラ海流や風の影響、土壌の多様性が複雑に絡み合い、高品質なワインを生み出しています。また、ワイン産業は歴史的背景とも深く結びついており、植民地支配やアパルトヘイト政策の影響を受けながら発展してきました。現在では黒人醸造家の増加や、自然との共生を重視した持続可能なワイン造りが進展しており、産業の変化も紹介されました。

ワインは単なる産品ではなく、土地の歴史や社会、自然環境を映し出す存在であることが、具体的な事例を通じて示されました。

エジプト西部砂漠のオアシス社会 ~水・土地資源の開発と未来~

講師:岩﨑 えり奈 教授〔上智大学フランス語学科〕

第2部では、エジプト西部砂漠のダハラ・オアシスを事例に、水資源と社会の関係について講演が行われました。

この地域では地下水が生活の基盤となっていますが、井戸の掘削深度は年々深くなり、水位の低下が進行しています。さらに農地拡大に伴う排水によって塩害が広がるなど、水利用が新たな環境問題を引き起こしていることも指摘されました。また、世界規模での水資源問題にも触れられ、2050年には多くの地域が深刻な水不足に直面する可能性が示されました。日本も例外ではなく、1人当たりの水資源量では必ずしも恵まれているとはいえない状況であり、輸入食品を通じた「バーチャルウォーター」への依存についても解説されました。

水資源の問題は、自然科学のみならず、農業政策や国際関係、地域社会の在り方とも密接に関わる複合的課題であることが強調されました。

トークセッション:私たちが経験したアフリカの暮らし

ファシリテーター:山﨑 瑛莉 氏
登壇者:岩﨑 えり奈 教授、水溜 陽子 氏、Stephanie McWilliams 氏(南アフリカ出身の留学生)、池田 知佳 氏(上智大学卒業生)

第3部では、現地での生活経験を持つ登壇者によるトークセッションが行われ、アフリカの暮らしをより具体的な視点から共有しました。

南アフリカ出身のStephanie McWilliams氏からは、ヨハネスブルクの都市生活や住宅環境、気候、娯楽施設などが紹介され、大都市としての機能を持ちながらも水資源の制約を抱えている現状が語られました。一方で、サファリや自然環境といったアフリカならではの豊かさも併せて示され、「都市と自然」「発展と制約」が共存する社会の姿が印象的に伝えられました。

また、池田知佳氏は、自身が参加した短期研修「アフリカに学ぶ」プログラムでの経験をもとに、南アフリカにおけるフィールドワークや現地住民との交流について報告しました。ケープタウンやプレトリアといった都市での活動に加え、黒人家庭の生活環境や教育施設の訪問を通じて、経済発展の裏にある貧富の格差を実感したことが共有されました。

さらに、水溜陽子氏からは、ワイン産業の現場における社会的課題についても言及がありました。ワイナリーの中には、かつての労働環境の問題やアルコール依存といった課題に向き合い、従業員やその家族の教育・生活支援に取り組む事例も紹介され、産業と社会との関係性についての理解が深められました。

ディスカッションでは、参加者からの質問も交えながら、「水・暮らし・産業・文化」がどのように結びついているのかが多角的に議論されました。特に、都市と農村の格差、水不足への対応、文化的多様性や宗教観、食文化など、多様な観点からアフリカ社会の実像に迫る内容となりました。

その中で、参加者から国際的な視点に関する問いに対し、岩﨑えり奈教授は次のように述べました。
「国際関係、とりわけ日本と海外との関係においては、今後アフリカも日本にとってますます重要な存在となっていくでしょう。本プログラムのような取り組みも含め、相互理解を深め、良好な関係を築いていくことが何より大切です。そのためには、まずお互いを知ることが重要であると考えます」

現在、国際関係が大きく揺らぎ、不確実性が高まる中で、アフリカに限らず、諸外国との関係性は日本にとってますます重要になっていくことが示唆されました。こうした状況において、「知ること」を基盤とした相互理解の重要性は、参加者に強い印象を残しました。

今回のトークセッションは、統計や理論だけでは捉えきれない「生活のリアリティ」を共有するとともに、それぞれの経験が重なり合うことで、アフリカ社会を多面的に理解する場となりました。そして、個々の体験の蓄積が、やがて国際関係の基盤となるという示唆が提示された点において、本プログラムの意義を象徴する時間となりました。

参加者からは、「新たな角度から南アフリカやエジプトを見ることができた」「初心者でも分かりやすく、より深く学びたいと思った」「ワインをきっかけに、水問題やオアシスについて知ることができた」といった感想が寄せられました。

すべてのプログラムを通して、異なる関心から参加された人々が、アフリカに対する理解を広げる機会となりました。

上智大学 Sophia University