理工学専攻物理学領域

現代物理学を基盤とした先端的研究による人材育成

物理学は自然現象を包括的・統一的に理解することを目的としています。従って自然科学の基礎であると同時に、宇宙物理・物性物理・原子物理・原子核物理と、広範な領域を持っています。技術の高度化と学問体系の複雑化により、基礎物理学とともに応用物理学の分野も重要となっています。これらの幅広い分野を学部だけで十分に学習することは難しいために、大学院の果たすべき役割は大きくなっています。物理学領域では古典物理および現代物理の基礎を修得し、特定の研究課題を深く究めることで、独創性を養い、創造的な学問の神髄と探求の喜びに触れられるように研究・指導を行っています。

カリキュラムの特徴

博士前期課程においては研究の進め方と考え方、独創性、高度な基礎学問の幅広い知識と技術の修得を目指します。この課程の就職に関しては学部卒に比べて優先的な求人が多い傾向が見受けられます。卒業後の進路は多岐にわたり、多くの学生が製造・情報・通信をはじめとしたさまざまな分野で活躍しています。

また年々、大学院への進学希望者が増えていることに対応して、より多くの学生に、高度な教育を受け研究能力を育む場を提供する体制を整えるよう努力しています。博士後期課程は、前期課程で培った知識をもとにさらに高度な研究を目指す場となっており、後期課程を修了していても、就職についてそれほど困難はなく、むしろ歓迎される傾向があります。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(理学)
  • 博士後期課程:博士(理学)

取得可能な教員免許・免許教科

  • 中学校専修(数学/理科)
  • 高等学校専修(数学/理科/工業/情報)

※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能で、必ずしも全教科取得できるわけではありません。

物理学領域の特色

多岐にわたる研究分野

大学院の研究分野は、原子核物理学、物性物理学の理論的研究や、原子・分子物理学、固体物理学、光物性物理学、表面・界面物理学の実験的研究と、多岐にわたっています。

少数精鋭教育

異なる研究室間での合同ゼミナールや、外部からの招待講演会なども領域全体で開催しています。これらはさまざまな分野の教員や大学院生が一緒に参加して活発に論議する場になっています。また、少数精鋭も物理学領域の教育の特徴です。

修了生の最近の主な研究テーマ

  • 正三角形スピンチューブCsCrF4の基底状態における磁気構造
  • 高エネルギー重イオン衝突反応における動的なQGP生成
  • パラ水素二電子励起状態からのLyman-α光子放出
  • バリウム多価イオン可視光遷移波長の精密測定
  • 低速極性分子と極低温イオンとのイオン分子反応過程の研究
  • ペロブスカイト結晶CH3 NH3 PbBr3の光学特性
  • 原子層膜堆積法による酸化ビスマスの成長
  • 電子衝撃による気相分子の解離性電離・電子付着過程の研究
  • 振動励起分子の真空紫外光電子分光実験
  • 量子ネットワークモデルによる新規な輸送現象の研究
  • 機械学習による量子相転移の研究
  • 磁性強誘電体における相制御及び新規物質探索
  • ペロブスカイト酸化物におけるAサイト規則配列の効果
  • κ型BEDT-TTF系有機超伝導体において量子ゆらぎによって誘起される新奇な磁束状態のNMR による研究
  • 四面体構造を持つ擬一次元反強磁性体の磁性
  • 超短光パルス源の開発とコヒーレントフォノン測定への応用
  • 二酸化チタン光触媒における光励起キャリアダイナミクス測定
  • 多体系での有効相互作用の理論
  • T’型銅酸化物高温超伝導体における還元効果と電子状態の研究
  • 鉄カルコゲナイド薄膜における超伝導と電子状態
  • 散乱と逆散乱の理論
  • 金属錯体の加水分解による酸化チタン微粒子の育成と光触媒効果の研究

教育の方針

博士前期課程

本領域では、物理学および関連分野の発展に寄与し、専門知識を用いて人間社会の発展や地球環境の保全に貢献できる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 自分の専門分野以外の自然科学分野あるいは社会科学分野との学際分野も含め広範に学ぶことにより、科学が人間社会や地球環境に与える影響などを多面的にとらえる力
  2. 物理学および関連分野において最先端で活躍できる専門知識を身につけるとともに、新分野の開拓や新技術の開発をできる力
  3. グローバル化の進展に対応するため、社会で活躍できるレベルの英語力
  4. 先行研究を踏まえ研究の位置付けを明確に認識し、正しい方法論で理論やデーターを扱い、緻密に結果を分析し、研究内容の価値を客観的に表現した学術論文、修士論文を作成できる能力

博士後期課程

本領域では、物理学における高度な専門性を身につけ、人間社会や地球環境に与える影響を総合的にとらえる学際性を持ち、自立して研究開発を遂行できる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 自分の専門分野だけでなく、関連する学際分野なども含め広範に学ぶことにより、科学が人間社会や地球環境に与える影響を多面的にとらえる力
  2. 物理学および関連分野において最先端で自立的に活躍できる専門知識を身につけるとともに、人類の発展や幸福に寄与する創造的な研究開発を行う力
  3. グローバル化の進展の先頭に立ち、国際社会にて独立して活躍できるレベルの英語力
  4. 先行研究を踏まえ研究の位置付けを明確に認識し、正しい方法論で理論やデーターを扱い、緻密に結果を分析し、研究内容の価値を客観的に表現した学術論文、博士論文を作成できる能力

博士前期課程

物理学および関連分野の発展に寄与し、人間社会の発展や地球環境の保全に貢献できる力を涵養するため、物理学領域や他領域の科目を受講し、研究指導を受けさせる。

 

  1. 物理学領域以外の領域、および理工共通領域の科目を受講することにより、自分の専門領域以外の分野について広く知識を得させる。
  2. 物理学領域が提供する物性物理、光物性、原子・分子などに関する科目を受講し、これらについて専門知識を得させる。また、特定のテーマについて研究を行い、このテーマと周辺について深い専門知識を得るとともに、研究の進め方、まとめ方、研究倫理などを学ばせる。
  3. 科学技術英語や英語で行われる科目の受講、研究成果の英語発表、英語論文の執筆などにより、英語力を向上させる。

博士後期課程

物理学における高度な専門性と関連分野の広範な知識を有し、自立して研究開発を遂行できる力を涵養するため、演習を受講し研究指導を受けさせる。

 

  1. 自分の専門分野以外の学際分野などの学術論文や解説書などを精読することにより、これらの分野について広く知識を得させる。
  2. 自分の専門分野において教員の研究指導を受けながら集中して研究を遂行し、このテーマと周辺について深い専門知識を得るとともに、研究の進め方、まとめ方、研究倫理などを学び、研究の集大成として博士論文を提出させる。
  3. 得られた研究成果を国内外にて英語で発表し、また英語論文を執筆投稿し、必要に応じて海外の研究機関にて研究を行い、これらにより英語力を積極的に向上させる。

博士前期課程

本領域は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 物理学分野で勉学を行い、研究を遂行することに意欲的である学生
  2. 物理学分野で勉学を行い、研究を遂行するために必要な基礎数学、電磁気学、熱統計物理学、量子力学、化学物理などに関する基礎学力を有している学生

博士後期課程

本領域は、次のような資質を持つ学生を求めています。

  1. 物理学分野にて、自立して創造的な研究開発を遂行することに意欲的である学生
  2. 物理学分野にて、自立して創造的な研究開発を遂行するために必要な専門知識と英語力を有している学生

教員一覧

足立 匡 教授

江馬 一弘 教授

岡田 邦宏 教授

小田切 丈 教授

桑原 英樹 教授

後藤 貴行 教授

坂間 弘 教授

高柳 和雄 教授

星野 正光 教授

欅田 英之 准教授

黒江 晴彦 准教授

Weilu ZHANG 特任助教

上智大学 Sophia University