理工学専攻生物科学領域

生命活動の神秘を捉え、仕組みを解明しよう

生物科学は近年飛躍的に発展し、生命の謎は次々と解き明かされています。とはいえ、その謎はまだまだ深く、我々の想像を超えた未知の世界があります。一方、明らかとなった基礎生物学の知見は、直接新しい技術や製品として応用され、我々の生活を豊かにすることに役立てられています。すなわち、現在の社会は、生物科学の基礎研究を力強く切り拓く研究者と生物科学の応用的価値を実現するための産業人を多く必要としています。

生物科学領域ではこのようなニーズに応えるべく、高度な研究能力と幅広く応用可能な知識を兼ね備えた専門家を養成します。

カリキュラムの特徴

生物科学の研究は細分化されていますが、共通に必要な実験手技や考え方が多くあります。大学院生はさまざまなテクニックを習得し、専門分野を深く掘り下げるとともに、多様な講義を受けることにより、生命という未知のジャングルの中に分け入る乗り物と土地勘を手に入れることができます。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(理学)
  • 博士後期課程:博士(理学)

取得可能な教員免許・免許教科

  • 中学校専修(数学/理科)
  • 高等学校専修(数学/理科/工業/情報)

※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能で、必ずしも全教科取得できるわけではありません。

生物科学領域の特色

高度な研究内容

研究レベルの高さは国際学術誌への数多くの論文発表と、競争的研究資金獲得の実績によって裏づけられています。最先端の研究を大学院生とともに進めています。

教授による直接指導

徹底した少人数教育により、研究計画の立て方、進め方、実験手技、情報収集の手法、発表のテクニックなど、研究のすみずみまで、プロセスを教員が直接指導しています。

幅広い教育内容

幅広い分野における基礎から最先端までを、専門外の大学院生にも分かりやすく講義しています。専任のスタッフでカバーしきれない分野についても、他大学から超一流の研究者を招いての講義で補うシステムになっています。

修了生の最近の主な研究テーマ

  • 糖修飾ヌクレオチドを含むアンチセンス核酸医薬品の相互作用・立体構造解析
  • 金・銀・銅仲介塩基対を含むDNA・RNA の立体構造解析
  • ニジマス孵化酵素の卵膜分解機構のin-vitro とin-silico による解析
  • 孵化腺細胞の細胞学的差異は発生学的起源の変化とは独立に生じた
  • マメ科植物ミヤコグサにおける花芽形成促進因子FT の解析
  • 骨組織三次元培養基材Alginate-coated β TCP fiber scaffold の開発及び機能性評価
  • 微小管アンカータンパク、ninein のニューロン特異的アイソフォームによる微小管配向の変化
  • エンテロクロマフィン細胞からのセロトニン分泌機構の基礎的検討
  • 副腎髄質クロマフィン細胞からのカテコラミン分泌機構におよぼすグレリンの作用
  • 熱-乾燥複合ストレス条件下におけるシロイヌナズナElm2 遺伝子と活性酸素生成機構の関連性の解析
  • シロイヌナズナが持つ短時間熱ストレスの記憶に関する研究
  • タツノオトシゴの育児嚢の形成メカニズム
  • アミロイドβを脳室投与したマウスの学習記憶障害に対するメラトニン及びその代謝産物の改善効果
  • 雄ラットの発情雌の匂いに対する選好性発現における視床下部腹内側核および内側視索前野の性ホルモン受容体の役割
  • 植物寄生性線虫忌避成分探索のための新規アッセイ開発
  • 緑藻クレブソルミディウムの成長とオイルボディ形成過程
  • 細胞性粘膜が生産するハロゲン化有機化合物の構造と生合成機構の解明
  • 脳機能障害モデルにおけるヒューマニンの効果

教育の方針

博士前期課程

本領域では、多彩な生物現象を広く理解し、生物科学の進歩に寄与する専門性と、学際的研究分野への応用可能な知識を持ち、人間社会に貢献できる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 学際分野も含めた自分の専門分野以外の自然科学分野、あるいは生命倫理などの問題を広範に学ぶことにより、人間社会への貢献や生物環境の保全などを多面的にとらえる力
  2. 大学院生はさまざまな研究技術を修得し、専門分野を深く掘り下げるとともに、多様な講義を受けることにより、生命という未知の分野の開拓をできる力
  3. グローバル化の進展に対応するため、社会で活躍できるレベルの英語力
  4. 適切な構成、明快な研究結果と評価、理論的で説得力のある学術論文を書くことができる力

博士後期課程

本領域では、生物科学における高度な研究能力と幅広く応用可能な専門知識を兼ね備え、生物科学の基礎研究を力強く推進できる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 自分の専門分野だけでなく、他の自然科学分野あるいは生命倫理などの学際分野も含め広範に学ぶことにより、バランスのとれた知識
  2. 自分の研究分野において自立的に活躍できる最先端の専門知識を身につけるとともに、生命科学の発展に寄与する創造的な研究を行う力
  3. グローバル化の進展の先頭に立ち、国際社会にて独立して活躍できるレベルの英語力
  4. 学会発表や、国際誌への論文への投稿・採択を経て、専門分野に貢献できる高い水準と独創性を備えた博士論文を完成させる力

博士前期課程

生物科学および関連分野の発展に寄与し、人間社会の発展や生物環境の保全に貢献できる力を滋養するため、生物科学領域や他領域の科目を受講し、研究指導を受けさせる。

 

  1. 理工共通領域の科目、および生物科学領域以外の専門領域の科目を受講することにより、自然科学一般の基礎知識を得させる。
  2. 生物科学領域が提供する分子、細胞、個体レベルの科目を受講し、生命に関する最先端の専門知識を得させる。また、特定のテーマについて研究を行い、このテーマと周辺について深い識を得るとともに、研究の進め方、まとめ方、研究倫理などを学ばせる。
  3. 科学技術英語や英語で行われる科目の受講、英語論文の熟読や輪読などにより、英語力を向上させる。

博士後期課程

生物科学における高度な専門性と関連分野の広範な知識を有し、自立して研究開発を遂行できる能力を得るため、演習を受講し研究指導を受けさせる。

 

  1. 自分の専門分野に精通するだけでなく、学際分野などの学術論文や解説書などを精読することにより、生命科学の分野において広く知識を得させる。
  2. 自分の専門分野において教員の研究指導を受けながら集中して精力的に研究を遂行し、研究の技術の修得、論文の掲載などを行ない、研究の集大成として博士論文を提出させる。
  3. 得られた研究成果を国内外にて英語で発表し、また英語論文を執筆投稿し、必要に応じて海外の研究機関にて研究を行う。これらにより英語力を積極的に向上させる。

博士前期課程

本領域は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 生物の形やその仕組みに興味を持ち、研究を遂行することに意欲的である学生
  2. 生物科学分野で勉学を行い、研究を遂行するために必要な基礎学力を有している学生

博士後期課程

本領域は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 生物科学分野にて、自立して創造的な研究を遂行することに意欲的である学生
  2. 生物科学分野にて、自立して創造的な研究開発を遂行するために必要な専門知識と英語力を有している学生

上智大学 Sophia University