高度な学問研究者と見識豊かな教育者の養成を目指す

学問研究は高度になればなるほど、狭い専門テーマの中に埋没する傾向があります。英米文学専攻では上智大学の基本理念であるキリスト教ヒューマニズムに基づき、この傾向に抗い、英米文学を「西欧文明」という大きな全体の一環をなす営みとして研究することを目指します。すなわち、人文学としての文学研究という態度を堅持し、歴史的な奥行きや宗教、思想、文化の諸領域との広範な繋がりを見失うことなく英米文学を理解するということです。

カリキュラムの特徴

博士前期課程は専門研究者養成を目指すとともに、中高教員、その他実務を志向しながら、専門知識により職業的能力を向上させたいと願う学生に向けて開かれています。授業は徹底した少人数の演習形式で行われます。入学生は後期課程に進学するためのAコース、前期課程で完結するBコースに分かれます。両コースとも「文学研究法I」(日本語)、「文学研究法II」(英語)を必修とし、リサーチや論文作成法の基礎知識を学びます。 博士後期課程では、博士論文提出の前提条件である博士予備論文の執筆に眼目を置き、指導教員による「研究指導」(リサーチワーク)と、専門的な講義・演習を受講する「リーディング・コース」(コースワーク)を連動させたプログラムを通して、大学専門課程レベルの教員・研究者を育成します。英米文学専攻は既に20名以上に博士号を授与していますが、これは人文学系では突出した数字です。修了生は各地の大学で教鞭をとり、大学英語・英米文学教育に尽力しています。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(文学)
  • 博士後期課程:博士(文学)

取得可能な教員免許・免許教科

  • 中学校専修(英語)
  • 高等学校専修(英語)

※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能です。

英米文学専攻の特色

高度な職業的能力を磨く

博士前期課程は、中学・高校の教員を目指したり、翻訳などの実務を志しながら、学部の教育で得られるよりも一段階高度な専門知識によって職業的能力を高めたいと希望する学生および社会人に開かれています。

他大学での単位取得可能

本専攻は、イギリス文学、アメリカ文学、英語学の各分野に、厳しく設定された資格条件を満たす教員を揃えています。また、委託聴講生制度によって青山学院大学、立教大学をはじめ他の11大学院での単位取得も可能です。

発表や講演で研究を研磨

毎年秋には「上智大学英文学会」が開かれ、大学院生による研究発表と、学内外の研究者による講演やシンポジウムが行われています。また学会誌に大学院在学者や修了者の論文を掲載しています。

大学院生も発表できる学術雑誌

文学研究科英米文学専攻では上智大学英文学会が発行する『上智英語文学研究』に執筆することを推奨しています。

修了生の最近の主な研究テーマ

  • The Critic as Reader: Coleridge on the Bible, Shakespeare and Wordsworth
  • Reconsidering Stagger Lee: A Study of a “Cultural Hero” in the Black Oral Tradition
  • Narrating the Past and Establishing Her Identity in Harriet Jacobs’s Incidents in the Life of a Slave Girl
  • 『タイタス・アンドロニカス』におけるテキストと隠れた暴力性
  • 死の扱いから見る『ナルニア国物語』の世界観
  • 『リア王』の道化と国王一座の道化役者
  • Effects of Repeated Reading Instruction in Online EFL Classes for Japanese High School Students

学位論文の最近の主な研究テーマ

  • Writing the“ Heart”: Hoccleve’s Troubled Quest of Interiority
  • Revitalizing the Orthodoxy in Massachusetts: A Study of Edward Taylor’s Conversionism

教育の方針

博士前期課程

本課程では、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。キリスト教的ヒューマニズムに基づき、英米文学を西欧文明という大きな全体の一環をなす試みとして理解し研究した学位論文を提出し、その審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め学位を授与します。

 

  1. 人文学的な教養を基礎とし、英米文学、英語学・英語教育を歴史、宗教、思想、文化の諸領域との広範なつながりを射程に入れて理解することができる力
  2. 研究や教育を遂行するための高度な英語能力と基礎からの研究能力
  3. 英米の文学・思想・文化、英語学・英語教育についての体系的かつ専門的な知識
  4. 適切な構成、緻密な分析、明快な論理展開、豊かな言語表現を備えた説得力のある学術論文を書くことができる力
  5. 専門研究者として大学等の高等教育研究機関において教育や研究に当たるにふさわしい能力(Aコース)
  6. 英米文学や英語学の高度な知見をもって英語教育を行なう中高教員、その他の職業に従事するための能力(Bコース)

博士後期課程

本課程では、英米文学・英語学・文化研究の専門研究者として学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。学位論文を提出し、その審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 人文学としての文学研究という視点から、専門的知識と共に広い分野における知識
  2. 指導教授(メンター)による研究指導を受け、英米の文学・思想・文化、英語学・英語教育についての専門研究にたずさわることができる力
  3. 独自の研究テーマを探求する技能 大学、その他の研究機関における教育研究職に従事するための英語力と技能
  4. 適切な構成、緻密な分析、明快な論理展開、豊かな言語表現を備えた説得力のある学術論文を書くことができる力

博士前期課程

本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、高度な英語能力と英米文学・思想・文化、英語学・英語教育についての知識が獲得できるよう、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。

 

  1. 特別講義・演習をバランス良く受講し、体系的かつ専門的な知識を身につけるように指導する。1年次はアドヴァイザーによる研究指導を受け、2年次は専門分野の指導教員(メンター)のもとで研究を進める。
  2. 修士1年で「文学研究法I」(日本語)と「文学研究法II」(英語)を必修として開設し、リサーチ、研究発表、論文執筆を英語と日本語で行えるようになることを目指して基礎力を養う。
  3. 大学教員、中高教員、あるいは英語英文学における知識や技能を生かした進路に進むための訓練をする。
  4. Aコース(後期課程進学コース)の学生は、2年次にメンターによる研究指導を受けながら修士論文(英語)を作成し、後期課程に進み専門研究者となることを目指す。
  5. Bコース(前期課程完結コース)の学生は、2年次にメンターによる研究指導を受けながら修士論文(英語・日本語)あるいはリサーチ・ペーパーを作成し、研究の基礎を学ぶ。

博士後期課程

本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、専門研究者となるための研究方法を修得し、専門テーマに関する研究を行うことができるよう、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。

 

  1. リーディング・コースを毎年履修し、専門的知識を獲得すると共に、幅広い視野を身につけるように指導する。
  2. リサーチを進め、学内外で研究発表を行い、研究論文を公表するように指導する。
  3. 博士予備論文作成を指導する。
  4. 英語運用能力の向上を図り、英語圏の大学や研究機関に長期あるいは短期留学できるように指導する。
  5. 博士論文のテーマを定め、博士予備論文を執筆し、博士号取得に向けた研究を進めるように指導する。

博士前期課程

本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 研究分野に対する積極的な関心と、学業への誠実な意志を持っている学生
  2. 研究を遂行する為に必要な優れた語学力と英米文学、英語学・英語教育分野における基礎的知識を有している学生
  3. 大学、中高において、専門技能を生かした研究や教育にたずさわるか、あるいは高度な英語力と専門知識を生かす職業に従事する目的を持っている学生

博士後期課程

本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 研究分野への真摯な関心と、学問に対する誠実な意志を持っている学生
  2. 研究を遂行するために優れた語学力と、英米文学、英語学・英語教育分野における専門知識を有している学生
  3. 大学において、専門技能を生かした教育・研究職に就くという目的を持っている学生

教員一覧

飯野 友幸 教授

研究分野 [ アメリカ現代詩・アメリカ音楽 ] 著書:『フランク・オハラー冷戦初期の詩人の芸術』(水声社、2019)

池田 真 教授

研究分野 [ 英文法史・英語教育 ] 共著書:Soft CLIL and English language teaching: Understanding Japanese policy,practice,and implications (Routledge,2021)
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大塚 寿郎 教授

研究分野 [ 19世紀アメリカ文学 ] 共訳書:『アメリカン・ルネサンス』(上智大学出版、2011)

永富 友海 教授

研究分野 [ 19世紀イギリス文学 ] 論文:「Jude the Obscureと<終わり>の作法」『ハーディ研究』No.48 (2022)

松本 朗 教授

研究分野 [ 20世紀イギリス文学 ] 共著書: Pajak,Pauline,Jeanne Dubino,et al.,ed.,The Edinburgh Companion to Virginia Woolf and Contemporary Global Literature(Edinburgh UP,2021)

山口 和彦 教授

研究分野 [ 現代アメリカ小説 ] 著書:『コーマック・マッカーシー ー 錯綜する暴力と倫理』(三修社、2020)

西 能史 准教授

研究分野 [ シェイクスピア ] 共編著書:『シェイクスピア・ハンドブック』(三省堂、2010)
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下條 恵子 准教授

研究分野 [ 20世紀以降のアメリカ文学 ] 共著書:『21世紀から見るアメリカ文学史ーアメリカニズムの変容』改訂版(英宝社、2018)
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Eric STRAND 准教授

研究分野 [ アメリカ研究 ] 論文:“Du Bois’s Dark Princess,Kautilya’s Arthashastra,and the Welfare State.” PMLA (2021)

町本 亮大 助教

研究分野 [ 19世紀イギリス思想史 ]論文:「オスカー・ワイルドの「新たなるヘレニズム」」『ヴィクトリア朝文化研究』(2023)

上智大学 Sophia University