上智大学国連Weeks June 2026を開催しました

2026年6月9日から26日まで、「国連の活動を通じて世界と私たちの未来を考える」をコンセプトに、「第25回上智大学国連Weeks June, 2026」が開催されました。本イベントは2014年以来継続して実施されており、今回で25回目を迎えます。在学生はもちろん、高校生や一般の方など国内外から多くの参加者を集い、講演会やシンポジウム、ワークショップなどを通じて、第一線で活躍する実務家や研究者の知見に触れる機会を提供しています。期間中には、平和構築や人権、国際機関におけるキャリア形成など、多様なテーマで全6件のプログラムが展開されました。

人類の未来を変えるジェンダー主流化:求められる新たなリーダーシップ

6月19日、国連機関と連携し、シンポジウムを開催しました。本シンポジウムは、人口減少や人材不足、地域活力の低下など複雑化する社会課題への対応が求められる中、多様な人々の視点や経験を政策や意思決定に反映する「ジェンダー主流化」の意義と実践について理解を深めるとともに、誰もが主体性を発揮できる社会の実現に向けた方策について議論しました。

冒頭、本学国際協力人材育成センター所長の近藤哲生教授が、ジェンダー主流化は女性支援にとどまらず、平和構築や地域開発など幅広い分野に関わる重要な視点であると説明し、「多様な人々が力を持ち寄って社会を変える」という考え方の重要性を強調しました。

続いて、内閣府特命担当大臣の祝辞が内閣府男女共同参画局参事官(地域政策担当)の佐藤勇輔氏により代読され、男女共同参画と女性活躍の推進が持続可能な社会の実現に不可欠であることや、政府・地域・関係機関が連携して取り組む意義について言及しました。

大崎麻子 NPO法人ジェンダー・アクション・プラットフォーム理事

基調講演では、NPO法人ジェンダー・アクション・プラットフォーム理事の大崎麻子氏が、ジェンダー平等を人権に基づく概念として整理し、SDGsの達成には、あらゆる分野でジェンダーの視点を主流化することが欠かせないと述べました。さらに、大崎氏が提唱し、兵庫県豊岡市で実践されている「豊岡メソッド」を紹介。若者の地域回帰の状況を男女別に分析することで、女性のUターン率が低いという課題を可視化した事例を取り上げ、多様な主体が意思決定に参画することの重要性と、地域課題の解決や社会変革の可能性を示しました。

パネルディスカッションでは盛んな議論が行われた

パネルディスカッションでは、近藤氏の進行のもと、元ニューヨーク国連NGO委員会ジェンダー部会議長であり、SGI国連事務所のIvy Koek氏、国連女性機関・日本事務所長の焼家直絵氏、本学法学部の三浦まり教授が加わり、ジェンダー主流化の実践に向けた課題と可能性について解説。男女別データの活用や多様な主体の参加意義に触れるとともに、文化的背景や無意識のジェンダーバイアス、さらに性別役割分業に基づく慣習を見直すことの必要性について意見を交わしました。

最後の質疑応答では、若者の社会参加や地域での取組推進について議論を行い、地域や当事者の声を生かしたボトムアップの取組と、それを支える連携の重要性を共有しました。

本シンポジウムは、ジェンダー主流化について多角的に考え、その意義や実践に向けた課題・可能性について理解を深めると同時に、今後の取組の方向性を考える有意義な機会となりました。

JICAによる平和構築の挑戦~国際機関との連携も含め

会場にも約100名が参加

6月23日、「平和構築」をテーマに、国際協力機構(JICA)副理事長の宮崎桂氏を招いてセミナーを実施しました。JICAは日本の政府開発援助を一元的に担う実施機関で、開発途上地域の平和で包摂的な社会の実現に向け、紛争予防から復旧・復興まで幅広い平和構築事業を長年実施しています。本セミナーは、JICAによる平和構築事業の現状と課題を考察し、参加者と共に今後の可能性を探ることを目的としています。

当日は対面・オンライン合わせて約260名が参加。グローバル教育センターの東大作教授が企画と司会を務め、「人間の安全保障と平和構築」をテーマに2016年から続く連続セミナーの一環として行われました。

宮崎桂 JICA副理事長

まず、宮崎氏は様々なリスクが影響し合う複雑な世界情勢を示し、「分断が進む一方で経済的結びつきは続いており、世界の平和と安定は私たちの生活に直結する」と指摘しました。続いて、JICAの平和構築方針に触れ、紛争の長期化が進む今こそ、「人間の安全保障」の考えに基づき、人道支援・開発・平和構築を分野横断的に連携させる「HDPネクサス」の推進が不可欠だと強調。また、具体的な実例を挙げながら、個々の国や地域の状況に合わせ、対話を通じた国・社会づくりを進める重要性を示したほか、日本への学びや気づきにもつながる「環流」を通じた協力の意義についても言及しました。そして、これからの挑戦として日本国内における開発協力への理解促進の必要性を言及し、JICAの掲げる「人と人との関係構築」や人材育成は迂遠な方法に見えたとしても日本と世界の平和につながる長期的な投資であることを今後も訴えていきたいと力強く述べました。

左から東氏、宮崎氏、アガステイン氏

後半のパネルディスカッションは、東教授とサリ・アガスティン上智学院理事長を交えて実施。サリ理事長は、JICAのミッションと本学の教育精神「他者のために、他者とともに」には高い親和性があると述べ、本学の掲げる「他者」は人間の尊厳が守られていない人々を主に示すことを再認識してほしいと呼びかけました。続く質疑応答では、「JICAの活動意義の発信方法」「国際的な資金不足への対処」「国内政治への関与と中立の両立」など多岐にわたる問いが寄せられ、活発な議論が展開されました。

最後に東教授は「JICAの大きな特徴である『自立と安定』の促進に重点を置く平和構築支援は、統治方法を支援者側が押し付けるやり方が行き詰っている今、世界全体としても学ぶべき点が多い手法だ。相手のニーズを尊重した支援は、結果的に世界各国の日本への信頼を高め、味方を増やす。味方が多い国を攻めこむことは難しく、結果的に日本の安全保障を高めることにも繋がる」とJICAの平和構築支援の意義を総括し、セミナーを締めくくりました。

国連Weeksは例年、6月と10月の年2回開催しています。多様化・複雑化する国際社会を生き抜くため、課題解決に向けた必要な視点を学び、専門家たちと共に議論を重ねる場として、今後も継続していきます。

上智大学 Sophia University