国連教育科学文化機関(ユネスコ)とさまざまなパートナーとの協力のあり方を議論する「ユネスコ・パートナーズ・フォーラム」が2024年9月30日~10月2日にアフリカ連合本部(アジスアベバ)で開催され、本学の杉村美紀教授(総合人間科学部教育学科)、山﨑瑛莉University Education Administrator(Sophia Future Design Platform推進室)が参加しました。本学はユネスコチェアとして、初めての参加となります。
約400名の関係者が集まるフォーラムに参加
今年は、Transforming Knowledge for Africa’s Future をテーマとして、アフリカにおける学際的・共同的研究を強化する目的で開催され、約400名もの関係者が一堂に会しました。また、本学はチェアホルダー(責任者)である杉村美紀教授主導によるセッションも行いました。
本フォーラムの開会式では、アフリカ連合委員会(African Union Commission)副委員長のモハメド・ベルオシン(Mohamed Belhocine)氏によるモデレーターのもと、ステファニア・ジャンニーニ(Ms. Stefania Giannini)ユネスコ教育事務局長補、モニーク・ンザンザバガンワ(H.E.Dr. Monique Nsanzabaganwa)アフリカ連合委員会副議長、クラヴェール・ガテテ(Mr. Claver Gatete)国連アフリカ経済委員会事務局長らによる歓迎の言葉に続き、ユネスコの報告書『共に我々の未来を再考する:教育のための新たな社会契約(英題:Reimagining Our Futures Together: A New Social Contract for Education)』の取りまとめを務めたサーレワーク・ゼウデ(H.E. Sahle-Work Zewde)エチオピア連邦民主共和国大統領(当時)による開会の挨拶がありました。
サーレワーク・ゼウデ大統領は、本会合が地域の観点を鑑みたグローバル教育の必要性を考える機会として、SDGsやアフリカのアジェンダ2063に基づきながら、個人をエンパワーし、イノベーションを促進し、地域のニーズに応えられるような教育の枠組みを形成することを目指した議論に期待を寄せました。また、同報告書のアムハラ語・スワヒリ語版の出版が発表されました。
上智大学ホストによるセッションを実施
本学は、ユネスコチェアホルダー(責任者)である杉村美紀教授のモデレーターのもと、特にSDGs におけるゴール4教育目標の達成を目的として具体的な活動を行っているユネスコチェアの他大学機関とともにその活動を共有し、アフリカにおける持続可能な未来のためのプラットフォーム形成に関する議論をおこないました。
セッション“Bringing the World Together: Achievements and Future Possibilities for Exchanges with Africa”では、次の発表が行われました:
- 持続可能な開発のための教育(ESD)の世界的権威であるヨーク大学ユネスコチェアホルダーのチャールズ・ホプキンス(Dr. Charles Hopkins)教授とカトリン・コール(Dr. Katrin Kohl)氏より、ヨーク大学における持続可能性を目指す教育の取り組みについて
- ストーリー・サークルの提唱者であり、ステレンボッシュ大学チェアホルダーのダーラ・ディアドルフ(Dr. Darla Deardorff)教授よりIntercultural Competenceを育成する教育について
- 吉田和浩教授(広島大学)より 「教育開発のためのアフリカ・アジア大学間対話ネットワーク」(A-Aダイアローグ)について
- 山﨑瑛莉University Education Administrator(上智大学)より模擬アフリカ連合会議やアフリカWeeks、実践型プログラム「アフリカに学ぶ」などのYouth活動について
各機関の事例を紹介後、ディスカッサントであるサルマ・アフメド(Ms. Salma Ahmed)は、自身がディアスポラである立場から対話の重要性について言及。その後の議論では、研究機関は、平和構築、人権そしてサステイナビリティを促進するための教育や研究、地域貢献において不可欠な役割を担うため、相互連携の研究や活動を行っていくことの重要性が確認されました。
各機関関係者との面会・協議
会議開催時および滞在期間中には、各国際機関関係者との面会を通じ、本学のユネスコチェアとしての取り組みやグローバル教育の展開について報告・共有し、今後のさらなる協力関係について意見交換をしました。
また、10月3日は関連企画としてWorld Teachers’ Day記念シンポジウム(主催:Africa Union Commission, UNESCO IICBA)が開催され、山﨑UEAが出席。教育における「教師の声」に焦点をあて、具体的な政策やエチオピアの事例を基にした教員研修の在り方など幅広い議論が展開されました。参加者同士の議論のなかで、本学のユネスコチェアとして、人間の尊厳を掲げていることを共有し、教師教育の文脈においても重要な観点であることについて、共感を得ました。
今回の会議参加もふまえ、今後もステレンボッシュ大学やヨーク大学、マレーシア国際イスラーム大学などのユネスコチェア機関間の連携や、共同研究などを通じて、ユネスコチェアとしての活動をさらに展開していきます。