グローバルビジネスの最新事例を学ぶ香港中文大学との連携講座を実施しました

8月14日から25日の日程で、協定校の香港中文大学との連携講座“Challenging Frontline Issues in Global Business”を実施しました。毎回、経済学部経営学科が開講元として行われる本講座は、経済学部生に限定せず全学部からの参加者を募っています。今年度は経済学部、文学部、法学部から6人の上智生と、香港中文大学で観光学やホテル経営学を学ぶ9人の計15人が参加しました。

この連携講座では、上智生と香港中文大学生の混合チームが、提示されたビジネス課題について2週間のグループ・ワークを行います。異なる文化背景を持つ学生との協働を通じて、チームでの問題解決スキルを養い、企業の業務内容や経営課題について理解を深めることを目的とし、最終日には課題解決の提言を行うことが大きな特徴です。

日本を代表する百貨店である株式会社髙島屋が協力

今回は、“Design Tomorrow’s Retail Customer Experience(小売顧客体験の新たなデザイン)”がテーマに設定され、日本を代表する百貨店である株式会社髙島屋が協力。新型コロナウイルス感染症の拡大により、従来の小売業の在り方が大きく変わったことを受け、新たな顧客体験としてどのような企画が提案できるのか考える課題が提示されました。

前半(8月14日~18日)は、香港中文大学の教員2人が「ショッピングモールデザインと顧客体験」や「デザイン思考とカスタマージャーニー」など、小売業をテーマにした講義をオンラインで行いました。また、現地に赴けない上智生のために、香港中文大学生たちが実際の香港のショッピングモールをビデオ撮影し、施設やサービスについてプレゼンしました。

日本橋髙島屋S.C.を前に説明を受ける学生たち
案内係が手動で操作するハンドル式のエレベーター

後半(8月21日~25日)は香港中文大学の学生が来日。22日にはユニークな店舗形態・コンセプトを展開する日本橋髙島屋S.C.を訪問しました。株式会社髙島屋日本橋店の企画宣伝部部長である森裕紀氏(当時)から、髙島屋グループのまちづくり戦略や、本館・新館・東館・タカシマヤウオッチメゾンの4館を持つ日本橋髙島屋S.C独自の店舗形態についての説明を受けました。その後、実際に日本橋髙島屋S.C.の本館に足を運び、サービスや設備など日本の伝統的な百貨店の要素を色濃く残す館内や、外商お得意様サロンなどを見学しました。

香港中文大学の学生と共にグループワークの成果を発表

最終日のプレゼンテーションでは、銀座を代表する商業施設「GINZA SIX」と世界的注目を集める香港の商業施設「K11 MUSEA」の比較から見えた人を惹きつけるショッピングモールの要素、口コミから紐解く渋谷「MIYASHITA PARK」における滞在時間を増やすための改善提案、池袋サンシャインシティのホスピタリティと観光価値を高めるためにポケモンセンターをさらに有効活用する方策の3案が発表されました。両大学の教員からは、実現の可能性や顧客となるターゲット設定などに厳しい指摘が入る一方で、学生ならではの着眼点が高く評価され、参加学生にとっては貴重な学びの場となりました。

本プログラムのコーディネーターを務めた経済学部経営学科の小阪玄次郎教授は、「今年度は香港中文大学の学生・教員に一週間の来訪をしてもらう機会を持つことができ、企業訪問や、直接対面での密度の濃い討議を行うことができた。バックグラウンドの異なる学生同士が英語でのコミュニケーションを通じて信頼を育んでいた様子が窺え、それが最終成果の質の高さにつながったと思う」と振り返っています。

上智大学 Sophia University