地球環境学研究科博士後期課程1年のファライ・マリンガさんがicRS 2026でOutstanding Young Scientist Oral Presentation Awardを受賞しました

2026年6月15日、フィリピン・セブ市のバイホテルセブで開催されたicRS 2026のEnvironmental Behaviorセッションにて、発表を行うファライ・マリンガさん。

地球環境学研究科(GENV)博士後期課程1年で、文部科学省(MEXT)奨学生のファライ・マリンガさんが、2026年6月15日から17日にフィリピン・セブ市のバイホテルセブで開催された国際資源持続可能性会議(icRS 2026)において、Outstanding Young Scientist Oral Presentation Awardを受賞しました。

マリンガさんは、2026年国際資源持続可能性会議(icRS)に参加するためにセブを訪れたGENVの4人のメンバーの一人です。参加メンバーには、織 明美教授、エンクウェアウセ・レジナルド・ロングフォー助教、ならびにGENV博士前期課程の学生でJICA奨学生のマレン・クワンボカ・モチョゲさんも含まれていました。一行は合計5件の研究発表を行い、2つの並行セッションで座長を務めるなど、活発な学術交流を行いました。

本会議は、自然科学、社会科学、工学分野の研究者が一堂に会し、「物理的・生物学的資源、そして廃棄物のように社会がその所在を見失いがちな資源を含む、あらゆる種類の資源をいかに持続可能な形で管理すべきか」という共通の問いに取り組む場です。2026年大会には、アジア、欧州、米州の大学・研究機関から参加者が集まり、学術誌Resources, Conservation & Recycling(2024年インパクトファクター:10.9)をはじめとする計7誌のパートナージャーナルの協賛を受けて開催されました。

受賞発表の内容

マリンガさんの発表”Waste Separation Systems in Central Tokyo: Evaluating Linguistic and Structural Barriers Faced by Foreign Residents”は、6月15日のEnvironmental Behaviorセッションで行われました。本研究は東京23区を対象とし、外国人居住者および日本人居住者への定量調査と、新宿区・台東区・港区の区職員へのインタビュー調査を組み合わせたものです。

本研究では、廃棄物分別における課題を個人の努力不足ではなく、制度や情報提供のあり方という観点から分析しました。主な課題として、以下の点が明らかになりました。

  • 区ごとに統一されていないルール(区職員自身も遵守を妨げる要因として指摘)
  • 情報伝達の不足(外国人回答者の50%以上が正式な分別オリエンテーションを受けたことがなく、一部はガイドライン自体を受け取っていなかった)
  • 特定のごみ区分に関する混乱(特に、日本語での電話予約が必要な粗大ごみの手続きや、資源ごみと可燃ごみの区別)

さらにマリンガさんは、「リスクの文化理論(Cultural Theory of Risk)」を用いて、住民の制度への向き合い方を、ヒエラルキスト(規則遵守型)、エガリタリアン(地域適応型)、インディビジュアリスト(自立解決型)、フェイタリスト(諦め・離脱型)の4つの類型に分類しました。icRS 2026の審査委員会は、この分析枠組みが東京に限らず、多様な住民層を抱える世界各地の都市にも応用可能であると評価しました。

閉会式にて他の最優秀若手科学者賞受賞者およびicRS委員会メンバーとともに賞状を手にするマリンガさん(中央)。

Outstanding Young Scientist Oral Presentation Awardについて

同賞は、優れた研究発表を行った若手研究者を表彰するためにicRS実行委員会が授与する賞です。資源の持続可能性に関する研究分野の次世代を担う研究者の育成を目的としており、表彰式は会議最終日の6月17日に行われました。

マリンガさんは今回の受賞に際して、次のように語っています。

今回の受賞は、都市の持続可能性研究において外国人居住者を中心に据えることの重要性を改めて示すものとなりました。廃棄物分別は技術的な問題として捉えられがちですが、その本質はガバナンスとコミュニケーションの課題にあります。本研究が、情報伝達上の課題の改善を通じて東京の環境システムの向上に貢献するとともに、他都市でも活用できる枠組みを提示できればと考えています。

icRS 2026における上智大学代表団

GENVからの参加者は、6月15日に開催された各セッションにおいて計5件の研究発表を行い、資源の持続可能性に関する多様な課題を取り上げました。

  • マレン・クワンボカ・モチョゲさん(GENV修士課程学生、JICA奨学生)
    ケニアにおける太陽光発電(PV)廃棄物の持続可能な管理に関する研究
  • エンクウェアウセ・レジナルド・ロングフォー助教
    カメルーン・ヤウンデ近郊における都市スプロール、機能的中心性、交通外部性に関する研究
  • ファライ・マリンガさん(GENV博士後期課程1年、MEXT奨学生)
    東京都心部における外国人居住者の廃棄物分別に関する研究
  • 織 明美教授
    日本における持続可能な包装システムのガバナンス枠組みに関する研究
  • エンクウェアウセ・レジナルド・ロングフォー助教
    カメルーンおよびガーナにおける循環型経済の進展に関する研究

また、織教授とロングフォー助教はそれぞれ並行セッションの座長を務め、世界各国の研究者による発表の議事進行や質疑応答を担当しました。GENV代表団が発表したアフリカに関する3件の研究は、icRS 2026においてアフリカ諸国・地域を対象とした唯一の発表でした。

会議終了後にセブ市内を訪れた上智大学大学院地球環境学研究科の参加者。左からモチョゲさん、マリンガさん、織教授、ロングフォー助教。

今後の展望

icRS 2026で発表された5件の研究のうち3件は、本会議のジャーナル連携制度を通じて投稿され、現在査読中です。投稿先には、Resources, Conservation & RecyclingJournal of Environmental ManagementJournal of Industrial EcologySustainable Production and ConsumptionJournal of Environmental Informatics などが含まれます。これらの研究成果は、採択・掲載後に地球環境学研究科ウェブサイトで紹介される予定です。

なお、マリンガさんは現在、織教授とロングフォー助教の指導のもと、博士後期課程において研究を継続しています。

icRS 2026に関する詳細は、以下のウェブサイトをご覧ください。
https://www.icrsconf.com/icrs_2026.html

上智大学 Sophia University