10月25日、国際関係研究所主催の「ソフィアン国家公務員と話そう」(後援:上智大学ソフィア会)が開催されました。元本学特別招聘教授、元駐米大使で中曽根平和研究所理事長の藤崎一郎氏(以下、「藤崎元大使」)の企画で、旧称「上智出身の外交官と会おう」を含めると6回目の開催となりました。今回も昨年度に続きオンラインで開催、70人以上の学生が参加しました。
前半は、鳥居正男ソフィア会会長の挨拶から幕を開け、「社会で活躍する卒業生の中でも、国家公務員として日本のために働く方々のお話を直接聞けるこの企画は非常にユニークかつ貴重な機会であり、上智大学の建学の精神およびソフィア会の目指す方向性に沿ったものである」と述べ、ぜひ多くの学生・卒業生に国家公務員を目指して欲しいと呼びかけました。その後、藤崎元大使の基調講演へと移り、この企画を考案した背景として、鳥居会長が言及した「社会貢献という点で上智の精神に沿っている」ことに加え、自身が大学生の頃に勉強会に参加しながら試験勉強をして合格したことを例として挙げ、参加者に向けて「ひとりで勉強するのではなく、同じ志を持つ仲間とグループをつくって勉強してほしい」と語りました。このほか、自身の外交官経験を交え、国家総合職の特徴として、以下の「3つの無い」を挙げました:①飽きない(仕事が多岐に渡る)、②暇がない(忙しいがチャレンジング)、③たまらない(辛くてたまらない、お金がたまらない)。その上で、業務の大変さを踏まえてもなお、それを上回る「やりがい」があることに触れ、特に国家総合職の場合は選抜されたひとりひとりが大きな責任を持ち対処するという点で醍醐味があり、参加者にはぜひ国家総合職にチャレンジして欲しいと締めくくりました。
その後、合格体験報告へ続き、国家総合職内定者の馬場健さん(20文英卒)、谷田部百合子さん(理工学専攻情報学領域博前2)から、特に参加者の関心の高いと思われる、志望動機、受験勉強や官庁訪問など、具体的な点について語られ、参加者からも積極的に質問が投げかけられ、活発な質疑応答がなされました。
後半は国際関係研究所所長の安野正士教授による主催者挨拶から始まり、同教授は日本の国家公務員制度(官僚制度)の基礎が明治の後期にできたことについて触れた上で、戦後の政治家と官僚との関係の変化にも言及しつつ、国家公務員には「国家全体の利益を守る牙城」として働く気概が必要なのではないかと語りました。その後、実際に国家総合職として働くゲストとして、卒業生の元外務省儀典総括官で東北大学公共政策大学院の今西淳教授(93法法卒)、経済産業省・通商政策局経済連携課の北川幸恵氏(18法国卒)の2名のほか、特別ゲストとして外務省大臣官房人事課課長補佐の大西生吹氏も加わり、実際の業務や職務のやりがいについて語ったほか、学生からの採用やワークライフバランスに関わる質問にも答えました。毎年、参加者の関心が特に高い「出身大学が採用に影響するか」という点については、人物本位の採用であることを強調した上で、結果的に合格者が多い大学については国家公務員志望の学生が多いとそれだけ一緒に勉強をしたり情報を共有したりできるという利点があることに触れ、上智生についても多くの学生が切磋琢磨して目指して欲しいと述べました。最後に、藤崎元大使から全体の総括を兼ねて、「ひとりではなく仲間と一緒に勉強すること」の重要性について改めて強調されました。最後に、江波戸隆明ソフィア会常任委員の挨拶をもって、盛会のうちに閉会しました。