《ドイツ》に学び、未来をひらく

ドイツ文学専攻では、ドイツ語圏の文学・文化が持つ豊かな思想性・内面性を、ヨーロッパ文化史という広範なコンテキストにおいて探求することをカリキュラムの根幹としています。複雑な歴史を背景として今日まで展開してきた《ドイツ》を識ることは、混迷する現代社会を生き、また未来への指針を見出すために必須の、自由かつ強靱な「知性」の獲得につながるでしょう。

カリキュラムの特徴

博士前期課程は、研究活動の基本要件である高度なドイツ語能力、多面的かつ専門的な知識と学問的方法論の修得、その成果としての修士論文の執筆を目的としています。前期課程の大学院生は、指導教員と協議のうえで研究テーマを定め、演習科目や研究発表会を通じて、他の教員や学生たちと意見交換を行いながら、修士論文の完成を目指します。

私たちは研究の多様性を重視し、さまざまなバックグラウンドを持った学生を積極的に受け入れています。上智大学のドイツ文学専攻は、「学び」を深めたい学部からの進学生、他大学他専攻の出身者、社会で経験を積まれた方々、そして教員が、《ドイツ》を共通項として、語り合い学び合う「ゲマインデ」(共同体)なのです。

ドイツ文学専攻所属の大学院生は学術誌『STUFE』を自主的に編集・刊行しています。『STUFE』には、博士前期課程の学生でも、在学初年度に卒業論文を短くまとめたもの、あるいは修士論文に向けた研究を公刊することができます。そして後期課程の学生は、修士論文に基づく論文を皮切りに、その時々の研究成果を掲載することで、各方面からの批評や助言を受ける機会を得ています。 後期課程に進んだ学生は、同誌以外の各種学会誌に積極的に寄稿し、また学会等で研究発表を行うなど、学外にもネットワークを広げていきます。切磋琢磨を重ねながら、研究者として自立するために必要な力を涵養します。最終的には、ドイツ文学専攻の全教員の支援のもと、課程博士論文(後期課程修了後3年以内に提出)を完成させ、文学博士号を取得することを目標とします。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(文学)
  • 博士後期課程:博士(文学)

取得可能な教員免許・免許教科

  • 中学校専修(ドイツ語)
  • 高等学校専修(ドイツ語)

※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能で、必ずしも全教科取得できるわけではありません。

ドイツ文学専攻の特色

ドイツ語圏への留学

博士前期課・後期程在学中に上智大学の交換留学制度を利用したり、外部の公的な奨学金を得るなどして留学する大学院生も多く、ドイツ語圏の最新の情勢や学問の動向を吸収し、ドイツ語力にも磨きをかけています。ワイマール古典主義財団の奨学金でワイマールに2か月間研究滞在できる制度もあります。

多分野での活躍の可能性

近年は博士前期課程を修了した後、就職する人が大部分ですが、ドイツ文学専攻で得た学識を活かし、公務員、教員、ドイツ企業、病院、出版社、民間の研究機関などさまざまな分野で活躍しています。また博士後期課程の修了者の多くは、ドイツ文学や語学など、専門領域での研究・ 教育に従事しています。

大学院生も発表できる学術誌「STUFE」

大学院STUFE刊行委員会編『STUFE』は、研究者デビューの場として、およそ40 年にわたり、歴代の大学院生たちによって受け継がれてきました。

修了生の最近の主な研究テーマ

  • ノヴァーリスにおけるduとしての自然との「出会い」
  • 世紀転換期のオディッセイア ─ ドイツ語圏作家たちからみた世紀転換期のパリ
  • ケストナー『飛ぶ教室』
  • 仮面考 ─ 謝肉祭と仮面
  • 『 牡猫ムルの人生観』に見るE.T.A.ホフマンの文学創作
  • ゲーテの『ファウスト』におけるメフィストフェレスの形姿
  • 芸術活動シュトゥルムと女性たち

学位論文の最近の主な研究テーマ

  • Waldeinsamkeit ─ ルードヴィヒ・ティークの作品におけるEinsamkeitのモチーフの諸相
  • アーダルベルト・シュティフター作品における学習と教育形態
  • ワーグナー『ニーベルングの指環』における為政者像とその没落
  • エリアス・カネッティにおける〈変身〉の批判的考察 ─『 眩暈』から自伝三部作へ ─

教育の方針

博士前期課程

本課程では、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。ドイツ語圏文学・文化に関する専門的な知見と研究に必要な能力を修得の上、研究成果として学位論文を提出し、その審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 専門的な研究を行うのに十分なドイツ語運用能力を修得し、原典や参考文献などのテキストを的確に理解し、ドイツ語で論理的な文章を書き、学問的な議論を行うことができる力
  2. ドイツ語圏のさまざまな地域や時代の文化現象に対する知識と理解を深め、それを多様な視点から考察し、研究するに値するテーマを自分で設定することができる力
  3. 適切な構成、緻密な分析、明快な論理展開、豊かな言語表現を備えた説得力のある学術論文を書くことができる力
  4. ドイツ語圏の文化や社会に対する強い関心と深い知見に基づき、自国の文化や社会を世界との関連において俯瞰する視座を獲得し、他国との相互理解、文化交流に貢献できる力
  5. 自国とは異なる文化や思想をその歴史的背景とともに理解することによって、世界の多様さと豊かさを認識し、他者に対する想像力と開かれた精神をもって、現代世界のさまざまな問題と向き合うことができる力

博士後期課程

本課程では、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。ドイツ語圏文学・文化に関する高度の研究能力を修得し、その分野における研究者として活躍できるようになることを目指して学位論文を提出し、その審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 専門的な研究に必要な高度のドイツ語運用能力を修得し、原典や参考文献などのテキストを的確に理解し、ドイツ語で論理的な文章を書き、学問的な議論を行うことができる力
  2. ドイツ語圏文学・文化をヨーロッパの歴史的文脈のなかで理解し、専門領域への洞察を深めると同時に、広い視野と複眼的な視点によって研究対象、研究方法を見定めることができる力
  3. 自分の研究が、研究史においてどのように位置づけられるかを把握し、新たな知見をもたらすテーマを自分で設定することができる力
  4. 適切な構成、緻密な分析、明快な論理展開、豊かな言語表現を備えた説得力のある学術論文を書くことができる力
  5. ドイツ語圏の文化や社会に対する強い関心と専門的な知識に基づき、自国の文化や社会を世界との関連において俯瞰する視野を獲得し、諸外国との文化交流に貢献できる力

博士前期課程

本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、ドイツ語圏の文学・文化をヨーロッパの歴史的文脈のなかで理解し、自分で研究テーマを見つけ、その成果を学術論文にまとめることができるよう、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。

 

  1. すべての授業において、専門的な研究を行うのに必要なドイツ語運用能力を身につけることを目指し、ドイツ語で行う授業を複数用意する。
  2. ドイツ語圏の文学・文化をヨーロッパの歴史的文脈のなかで理解し、その多様性と豊かさに触れるために、さまざまな時代や地域に関する授業を開設する。
  3. 各授業や文学研究の方法論に関する授業を通して、問題意識を深め、自分でテーマを設定できる力を養う。またレポート作成を通して、分析能力、論理的思考力、言語表現力を身につけさせる。
  4. 授業での討論、修士論文中間発表会などを通して、自分の見解を論理的に説得力をもって伝える力を培うと同時に、他者の見解を理解し、そこから新たな視点を獲得する能力を養成する。
  5. 教員の個別指導の下、研究テーマを決定し、日本語(要ドイツ語レジュメ)ないしはドイツ語で修士論文を書くことを課す。

博士後期課程

本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、ドイツ語圏の文学・文化についての専門的な理解と考察を深め、専門領域において新たな知見をもたらす博士論文を提出できるよう、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。

 

  1. すべての授業において、専門的な研究を行うのに必要な高度なドイツ語運用能力を向上させることを目指しドイツ語で行う授業を複数用意する。
  2. ドイツ語圏文学・文化をヨーロッパの歴史的文脈のなかで理解し、多角的な視点と問題意識をもてるよう、さまざまな時代や地域に関する授業を開設する。
  3. 各授業や文学研究の方法論に関する授業を通して問題意識を深め、自分でテーマを設定できる力を養う。またレポート作成を通して、分析能力、論理的思考力、言語表現力を身につけさせる。
  4. 授業での討論、論文発表会などを通して、自分の見解を論理的に説得力をもって伝える力を培うと同時に、学問的な議論を行う能力を養成する。
  5. 学生は、指導教員の個別指導の下、まずは院生の雑誌に学術論文を執筆し、論文の書き方を具体的に徹底して身につけ、それをさらに発展させて、博士論文を執筆する。

博士前期課程

本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. ドイツ語圏の文学・文化について専門的に研究するために必要なドイツ語運用能力をもつ学生
  2. ドイツ語圏の文学・文化・歴史を専門的に研究したいという強い意欲と、それに必要な基礎的な知識をもつ学生
  3. 問題意識をもって学び、研究するに値するテーマを決定し、それを学問的な論文にまとめあげることのできる、柔軟な発想、緻密な分析能力、論理的思考力、豊かな言語表現力をもつ学生

博士後期課程

本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. ドイツ語圏の文学・文化について専門的に研究したいという強い意欲をもち、それを行うのに必要な高度のドイツ語運用能力を備えた学生
  2. ドイツ語圏の文学・文化・歴史に関する専門的知識をもち、専門領域に新たな知見をもたらす研究テーマを設定できる広い視野と柔軟な発想を有する学生
  3. 大部の学術論文をまとめあげるために必要な緻密な分析能力、論理的思考力、豊かな言語表現力をもつ学生

教員一覧

佐藤 朋之 教授

研究分野 [ ドイツ・ロマン派 ] 18世紀末~19世紀のロマン主義運動を研究。授業では、文学思潮と同時代の音楽や舞台芸術(バレエ、オペラ)、美術との関係、メルヒェン(たとえばノヴァーリス、E. T. A. ホフマン、グリム兄弟)解釈の諸問題などを扱っている

中井 真之 教授

研究分野 [ 18世紀文学 ] ゲーテ、ヘルダー、F.H.ヤコービなどの18世紀ドイツ文学・思想、スピノザ主義の当時における受容を主要な研究対象とする
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Christian ZEMSAUER 教授

研究分野 [ オーストリア現代文学 ] 20世紀のオーストリアにおける文学と政治の関係、文学における言葉の新たな形成などの問題を考察
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小松原 由理 教授

研究分野 [ ドイツ語圏アヴァンギャルド芸術・文化 ] 20世紀初頭の前衛芸術運動、及び戦後の現代アートの潮流の中で、いかに越境的な表現の模索が追及されたか、その社会的ジェンダー的な位置づけを検証する

大田 浩司 教授

研究分野 [ 18世紀文学 ]フリードリヒ・ヘルダーリンの「教養形成」と「教育」についての構想

上智大学 Sophia University