神学専攻・組織神学専攻

カトリック神学の研究 -伝統と刷新-

カトリック神学は、2000年の歴史を持つ学問です。博士前期課程(神学専攻)は、この神学を基礎的・中心的研究対象とするとともに、世界的視野の下で、他の思想・文化・宗教との対話の重要性にも注意を払っています。

本専攻は、さまざまな学⽣の関心・必要性に応じて、以下のような4つのコースを設置しています。①組織神学コース:カトリック教会における司祭の養成をはじめ、体系的なカトリック神学の研究を目指します ②聖書神学コース ③キリスト教教育コース(旧キリスト教倫理・文化コース):基礎的な神学理論を踏まえながら、実践的な司牧のあり方について研究します ④宣教実務者コース:教会における奉仕の現場に携わる人々の養成を目指します。必要条件を満たせば、1年間で修士の学位が取得できます。

カリキュラムの特徴

博士前期課程(神学専攻)では、30単位以上の履修、論文執筆、そして総合試験の合格によって、修士(神学)の学位が取得できます。さらに、組織神学コースは、教皇庁立学位授与機関として認可されておりますので、所定の試験に合格すれば、全世界のカトリック教会に共通のSTB(Sacrae Theologiae Baccalaureatus )とSTL(Sacrae Theologiae Licentiatus )の学位が取得できます。

博士後期課程(組織神学専攻)では、いっそう独創的な研究が推奨され、その成果としての論文が求められます。研究者の養成が主目的とされますが、同時にまた、広く教会と社会に貢献できる人材養成を大切にしています。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(神学)
  • 博士後期課程:博士(神学)

取得可能な教員免許・免許教科

  • 中学校専修(宗教・社会)
  • 高等学校専修(宗教・公民)

※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能で、必ずしも全教科取得できるわけではありません。

神学専攻・組織神学専攻の特色

STB、STLの学位取得

組織神学コースでは、全世界のカトリック教会に共通のSTBとSTLの学位が取得可能です。

M.BibとM.Divの学位取得

聖書神学コースでは、M. Bib(Master of Biblical Studies)の学位が、またキリスト教教育コースでは、M. Div(Master of Divinity)の学位が取得可能です。

宣教実務者コースの修了証取得

上記コースと同様に修了証の取得が可能です。

わが国独自の神学を樹立

博士後期課程(組織神学専攻)では、西洋において発展したカトリック神学の研究とともに、日本の思想・文化との対話を通して、独自の神学の樹立を目指しています。

修了生の最近の主な研究テーマ

  • 『 愛のよろこび』における神学的・司牧的展望 ─ 2014年シノドス第3回臨時総会・2015年シノドス第14回通常総会・使徒的勧告『愛のよろこび』の比較・分析を通してみた現代カトリック教会の家庭・結婚理解の可能性と限界 ─
  • 典礼文(叙唱)の構造分析 ─ 一つの観点としての下降・上昇の構造 ─
  • ロマーノ・グアルディーニのキリスト教的人間論の可能性の考察 ─ 人間と人間の置かれている世界を見つめる「光」として ─
  • 米国の女子活動修道者に対する奉献・使徒的生活会省による使徒的訪問(Apostolic Visitation)および教理省によるLCWRに対する教理上の調査(Doctrinal Assessment)の比較検討 ─ 両調査の神学的文脈と調査が米国の女子の奉献生活に与えた影響に関する考察 ─
  • ラテンアメリカのカトリック国における「モノ」を通した信心 ─「 可感的でわかりやすいシンボル」の信心を通した真なる信仰 ─
  • イエス・キリストの物語を児童に伝えること ─ C.S.ルイス『ナルニア国物語』を通して ─
  • 現代日本における希望の再考 ─ 神学による基礎づけと実践としての同伴 ─
  • Louis Bouyerによる「過越の神秘」思想から ─ 聖木曜日における「イエスの時」の概念の典礼・霊性神学的視点での考察 ─
  • C.S.ルイスによる「よろこび」の神学的意義
  • キリスト教ヒューマニズムが意味づける、キャリア教育の検討 ─『霊操』生路の選定の応用 ─
  • オリゲネスにおける教育的救済 ─ パイデイアを利用した人間形成の考察 ─
  • Walter Kasperの機能的キリスト論 ─ イエス・キリストの霊的仲介と寄り添い ─

教育の方針

神学専攻(博士前期課程)

本課程では、学生が修了時に身につけているべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

1.神学を基礎的・中心的研究対象とし、世界的視野の下で、他の思想・文化・宗教との対話の重要性にも注意することができる力

各コースごとには次の力を身につけた者とする

a. 組織神学コースでは、カトリック教会における司祭の養成をはじめ、体系的なカトリック神学を研究する能力

b. 聖書神学コースでは、聖書研究の方法論を研究する能力

c. キリスト教教育コースでは、基礎的な神学理論を踏まえながら、実践的な司牧のあり方について研究する能力

d. 宣教実務者コースでは、教会における奉仕の現場に携わる人材としての能力

2.修士論文および課題研究報告書の作成おいて、論文構成が的確であり、論理展開に整合性・一貫性があり、説得力のある学術論文を作成する力

組織神学専攻(博士後期課程)

本課程では、学生が修了時に身につけているべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。なお、必要要件を満たしている場合には、教皇庁立学位STD (Sacrae Theologiae Doctor) の学位も授与することができます。

 

  1. カトリック神学の基礎を踏まえながら、自らの研究テーマを独創的な観点から取り上げ、それを論理的・発展的に提示することができる力
  2. 西洋において発展したカトリック神学の研究とともに、日本の思想・文化との対話を通して、独自の神学の樹立を目指すことができる力
  3. 博士論文の作成おいて、論文構成が的確であり、論理展開に整合性・一貫性があり、先行研究を十分に踏まえて、独自性のある高度な学術論文を作成する力

神学専攻(博士前期課程)

本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、以下のようにカリキュラムを編成しています。

 

  1. カトリック神学の伝統に基づいて、キリスト教に関する専門科目を、包括的・展開的に開設する。
  2. 教義神学、教会史、キリスト教教育、キリスト教文学、聖書神学、聖書釈義、倫理神学、教会法、典礼神学、霊性神学、ギリシア語・ヒブル語などの古典文献学の科目を開設する。
  3. 基礎的学習の専門性を深めるために、組織神学コース、聖書神学コース、キリスト教教育コース、宣教実務者コースの4コースを設置する。

組織神学専攻(博士後期課程)

本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、以下のようにカリキュラムを編成しています。

 

  1. 研究指導と教育訓練からなる。研究指導では、指導教員の下で博士論文の作成、および学会等での研究発表を指導する。教育訓練は、指導教員、あるいは研究科委員長が適切だと認めた研究科教員の講義・演習科目における、講義実習や演習指導実習によって行う。
  2. 組織神学、聖書学、実践神学、キリスト教文化の各分野の科目を開設する。

神学専攻(博士前期課程)

本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. カトリック神学の基礎を修得し、論理的思考・論述力がある学生
  2. 英語をはじめ専門分野に関する語学力があり、異文化・国際性に開かれている学生
  3. 人間の尊厳・基本的人権を適切に認識するとともに、社会正義の理解・実践に積極的である学生

組織神学専攻(博士後期課程)

本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 自らの研究テーマを独創的な観点から取り上げ、それを論理的・発展的に構築し、それを国際的にも提示できる学生
  2. 基礎的な哲学的素養を修得しているとともに、英語をはじめ専門領域に関する高度な語学力がある学生
  3. 自らの研究を通して、キリスト教的価値観・意義を、カトリック世界に止まらず、広く一般社会にも提示・貢献できる学生

教員一覧

Juan Carlos HAIDAR 教授

研究分野 [ 現代哲学(レヴィナスの思想) ] 著書:『ユダヤ教におけるメシア理念の理解』(共著)

原 敬子 教授

研究分野 [ 実践神学(カテケージス、宣教学) ] 著書:『キリスト者の証言─人の語りと啓示に関する実践基礎神学的考察』
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片山 はるひ 教授

研究分野 [ キリスト教文学・カルメルの霊性 ] 著書:『フランス文学の中の聖人像』(共著)、『危機と霊性』(共著)

川中 仁 教授

研究分野 [ 基礎神学・イエズス会の霊性 ] 著書:“Comunicaci?n”
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具 正謨 教授

研究分野 [ キリスト教の典礼と秘跡 ]著書 : 『典礼と秘跡のハンドブックI~IV』

小山 英之 教授

研究分野 [ 平和学、カトリック社会思想、北アイルランド紛争、難民問題 ] 著書 :『 平和学のいま―地球・自分・未来をつなぐ見取図』(共著)(2020)、『教会の社会教説―貧しい人々のための優先的選択』(2013)

竹内 修一 教授

研究分野 [ 倫理神学(基礎倫理、いのちの倫理、性の倫理) ] 著書:『いのちと性の物語――人格的存在としての人間の倫理』、論文:「倫理における良心と根本的選択」

光延 一郎 教授

研究分野 [ 教養神学:創造・罪と原罪・恩恵論・終末論・マリア論、キリスト教的人間観と現代社会の諸問題(人間の尊厳) ] 著書:『神学的人間論入門』、『キリスト教と人権思想』

森 裕子 教授

研究分野 [ キリスト教信仰と音楽芸術のかかわり、典礼音楽実践 ] 著書:『生命の倫理と宗教的霊性』(共著)、論文:「霊性の道としての音楽」

菅原 裕二 特任教授

研究分野 [ 教会法 ] 著書:『教会法で知るカトリック・ライフ』、『続 教会法で知るカトリック・ライフ』

角田 佑一 准教授

研究分野 [ 教義神学(キリスト論・三位一体論)、近代浄土真宗思想、日本の芸能 ]著書:『教義と歴史から理解する 入門・世界の宗教』(2024)

Antonius FIRMANSYAH 助教

研究分野 [典礼神学、司牧神学]論文:「インドネシアにおける宗教」、「Sacred Space and Cultural Symbol」、「Signs of Pandemic,Symbols of Hope: A Sketch of Pastoral Work in Liturgy」

上智大学 Sophia University