メディア、ジャーナリズム、情報、文化、社会を学ぶ

新聞学専攻は1971年4月に修士課程(現・博士前期課程)、1974年4月に博士課程(現・博士後期課程)を設置しました。

ジャーナリズムやメディア活動、社会情報システム、広報、世論、ポピュラー・カルチャーなどを学問的に学ぶことができる、日本を代表する大学院の一つです。新聞学専攻で学ぶ院生は、上智大学の学部出身者のみならず、他大学の他学部・他学科からの進学者や、アジアを中心に海外からの留学生、社会人の学生も多く、少人数ながらも、国際色が豊かで活発な議論が行われています。

カリキュラムの特徴

博士前期課程ではマス・コミュニケーション理論、ジャーナリズム論、メディア分析を中心に据えたカリキュラムを設置し、その上で、今日の問題状況に柔軟に対応して研究を進めるために演習を配置しています。2年次以降は修士論文を完成させるべく、指導教員の指導の下、各自の研究を推進させる体制を整えています。

博士後期課程では、国際的な水準で広く活躍し、将来、この分野で研究・教育に携わる人材の育成を目標としています。研究活動においては学問的方法論、専門知識の水準を向上させると同時に、研究者として自己のテーマ領域を打ち立てられるように導きます。

また学位申請の論文執筆については、入学後1年を経て、さらに論文提出資格を得る試験に合格した者のみが許可される制度をとっています。後期課程への進学は将来の職業選択と深く結びついています。それだけに安易に決断するべきではないと新聞学専攻では考えています。志願者には、特にこの点についての自覚を求めています。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(新聞学)
  • 博士後期課程:博士(新聞学)

取得可能な教員免許・免許教科

  • 高等学校専修(公民)

※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能で、必ずしも全教科取得できるわけではありません。

新聞学専攻の特色

自己問題関心の開発と洗練

博士前期課程では、マス・コミュニケーションとジャーナリズム研究のため、幅広く専攻分野を学び、問題領域への関心を深め、自己の問題関心の洗練を図ります。また、博士前期課程では、社会人入試を設けて幅広い人材育成を目指します。

国際的な活躍

アジア地域を中心に海外から多数の留学生を受け入れており、また、社会人経験を経て入学する者も多く、演習等においても国際的な視野に立った討論や分析・検討が日常的に行われています。多くの卒業生が国内外の高等機関、国際機関、大学などで活躍しています。

修了生の最近の主な研究テーマ

博士前期課程

  • 日本の「文庫」出版
  • 日本におけるメディア・リテラシーの歴史的系譜と分類
  • 中国のテレビが構築する「庶民像」に関する研究
  • 『朝日新聞』『読売新聞』における北朝鮮報道のニュースフレーム分析
  • 2016年アメリカ大統領選挙における世論調査の調査票比較研究
  • 沖縄・普天間飛行場移設に関するメディア・フレーム

※は社会人入学者の研究テーマ

博士後期課程

  • ネット利用・利己的態度およびキャリア意識の相互作用に関する研究─ 大学生の横断調査と縦断調査に基づく検討─
  • 行政広報の長期的変遷に関する研究─ 東京の広報史を中心に─
  • テレビ制作者の日韓比較研究 ─ TBS『報道特集』・MBC『PD手帳』の制作者のテレビ・ジャーナリズムに対する認識と仕事の展開
  • 青少年保護と表現の自由に関する研究─ 日本の青少年有害表現に関する法・自主規制の現状と特性を中心に─
  • 朝日新聞にみるメディア・イベント研究─ 1965 年以降の日本社会における余暇文化イベントの考察─
  • 放送と通信の連携・融合時代におけるデジタルコンテンツ流通に関する研究:日韓における放送映像コンテンツ制作システムを中心に
  • マス・メディア報道の「自己規制」—メディアが自ら検証しない負の構造—
  • 日本のスポーツジャーナリズム史に関する研究 — 17 世紀から21 世紀メディア化時代まで —

新聞学専攻出身者の高等教育・研究機関在籍先

国内

北海学園大学、福島女子短期大学、上智大学*、東京学芸大学、東京経済大学*、東京国際大学、東洋大学、東洋英和女学院大学、日本大学*、文教大学、武蔵大学、明治大学、立教大学、龍谷大学、同志社大学、大阪学院大学、奈良県立大学、羽衣国際大学、広島修道大学、長崎県立大学、琉球大学

海外

ニューヨーク州立大学(バッファロー校)、鮮文大学、ソウル大学、尚志大学、湖南大学、伽耶大学、東西大学、中国伝媒大学、北京財経大学、中国文化大学(台湾)、チェンマイ大学

内外研究機関

国際協力機構*、メディア開発綜研*、韓国コンテンツ振興院*、メディア戦略研究所、韓国放送通信審議委員会(ソウル)、中国社会科学院(北京)

* 複数名在籍

教育の方針

博士前期課程

本課程では、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。幅広くマス・コミュニケーションとジャーナリズムを学習して所定の単位を修得し、学位論文を提出しその審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. カリキュラム・ポリシーが示す3分野の基礎知識を修得し、及びそれらを現前するメディアやジャーナリズムに関する諸問題の解決に応用できるだけの力
  2. 幅広い関心領域を有し、情報化社会において今後新たに次々と生起する諸問題にその都度関心を払い、それらに対して独自の洗練された問題意識を持って臨むことができる力
  3. 問題意識と方法論をもって、修士論文を完成させ、一定程度以上の評価を得ることができる力
  4. 学外の情報にも広くアンテナを張って、情報収集を行い、自己の研究に有益な情報を修得すべく自ら努力できる力
  5. 一定の様式を備えたレポートや口頭発表によって、自己の研究成果や思想を効果的に伝達する力

博士後期課程

本課程では、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。所定の単位取得および学位論文を提出しその審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 研究領域における学問的方法論および高度な専門知識を有し、ジャーナリズム論、メディア論、情報社会論などを中心に自己のテーマ領域を確立する力
  2. 自己のテーマ領域に関して、過去の諸研究を広くレビューしており、他者に対して適宜要点を伝える能力を有する力
  3. 国際的な視野に立った討論や分析を行う能力を持ち、国内外の学会等で最先端の研究成果を発表できる力
  4. 独自の研究テーマを持ち、今後、研究者として自立して研究を遂行していくための計画を立てる力
  5. 自己の研究テーマの研鑚を通じて培った高度な専門知識や倫理感を以て、国際社会に広く貢献できる力

博士前期課程

本課程では、効率的な学習によって、ディプロマ・ポリシーに示す目標を達成できるよう、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。

 

  1. マス・コミュニケーション理論、ジャーナリズム論、メディア分析の3分野を基本に据えたカリキュラムを構成し、その上で演習を配置し院生が主体的に学問に取り組める体制とする。
  2. メディア・ジャーナリズムをとりまく今日の諸問題を扱う科目をその都度設置して、院生の関心に応じて時代の潮流に沿った柔軟な研究が可能となる体制とする。
  3. 修士論文を完成させるため、指導教員の指導のもと、各自の研究を推進させる体制を整えている。中間発表会を設置することで、修士論文の進捗状況をすべての教員が把握できる仕組みをとする。
  4. 大学院の社会学分野単位相互互換制度により、他大学大学院の開設科目の履修を認める。

博士後期課程

本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、研究者として自己のテーマ領域を打ち立てるよう、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。

 

  1. 在学期間内に博士論文を完成することを目指し、指導教員のもと入学後3か年内に12単位の演習および在学中研究指導を受けさせる。
  2. 学位申請論文については、入学後1年を経て論文提出資格を得る試験に合格した者に対して執筆を許可する。
  3. 論文執筆前に、自己の研究テーマに関して、日本マス・コミュニケーション学会他、国内外の関連学会において積極的に発表を行うことを推奨し、指導をする。
  4. 論文執筆の途中段階において随時、指導教員および当該テーマを専門とする教員による助言と評価を仰ぐことができる体制とする。
  5. 論文審査は学外の審査委員(副査)を含む審査委員会によって行われ、公開試験後の審査委員会において合格判定を得られた場合に、学位を授与する。

博士前期課程

本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. カリキュラム・ポリシーで示した3分野に関して、修士課程の授業に耐えられるだけの基礎知識を有することが不可欠で、基本的には学部においてメディアやジャーナリズムの専門教育を受けている学生
  2. 外国語の文献を読む機会も多いことから、英語を中心とした語学力を有することが必要となる。外国人の場合には、日本語能力試験N1と同等あるいはそれ以上の日本語能力が必要となる。
  3. メディアやジャーナリズムの実務の現場で経験を積んだ学生が、その経験に基づく問題意識をもって研究する場として、社会人にも門戸を広げている。

博士後期課程

本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. マス・コミュニケーション、ジャーナリズム、メディアの領域における独自の関心テーマを有し、各領域における最先端の研究を志向する学生
  2. 豊富な専門知識を背景に、自己のテーマに対し、さまざまな方法論を駆使してアプローチする能力を有する学生
  3. 常に研究領域を拡大し、新たな視野から国際社会の理解に資することを目指す学生

教員一覧

阿部 るり 教授

研究分野 [ メディアとグローバリゼーション、文化 ] メディアとナショナリズム、エスニシティ、ジェンダーなどの問題を研究、国際コミュニケーション論

奥山 俊宏 教授

研究分野 [ ジャーナリズム ] 取材・報道、公益通報者保護、情報の自由、情報開示の法制度と社会環境
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音 好宏 教授

研究分野 [ 社会変動とメディア ] 現代の「民主化」「情報化」「グローバル化」といった社会変動におけるメディアの今日的機能、役割を考察

佐藤 卓己 教授

研究分野 [ メディアの歴史と文化政策 ]ジャーナリズムとプロパガンダの政策科学、および新聞学を起点とするメディア学説史の研究

柴野 京子 教授

研究分野 [ メディアと社会 ] 出版を中心とする近現代のメディア技術・空間論、産業・流通・読者論
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水島 宏明 教授

研究分野 [ ジャーナリズムの実践 ] 映像・活字の「調査報道」、ニュース、ドキュメンタリーの分析、貧困報道、ネット時代の「報道」に関する研究など
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渡邊 久哲 教授

研究分野 [ メディアと調査 ] メディアマーケティング、広告論、放送論、世論調査、社会調査方法論など
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国枝 智樹 准教授

研究分野 [ パブリック・リレーションズ論 ] 行政や企業によるPR の歴史的発展、そのメディア技術やメディア産業、ジャーナリズムとの関係
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髙橋 直治 准教授

研究分野 [ メディアと表現実践 ] 主に視聴覚メディアによって媒介される多様な表象文化および生活世界を、表現・学習・行為として考察

Arun Prakash D SOUZA 助教

研究分野 マスメディア倫理、教会とメディア、ジャーナリズム教育・ジャーナリスト教育、Secular Ethics、Religious Media、Journalistic Responsibilities

上智大学 Sophia University