パラリンピック選手と学ぶ「車いすフェンシング体験会」を開催しました

前年度より始まった「車いすフェンシング体験会」。今年度も6月29日、引き続き現役パラリンピアンである加納 慎太郎選手を招き、四谷キャンパスにて開催しました。

このイベントは、上智大学体育会フェンシング部が「パラリンピックスポーツ界、およびフェンシング界を盛り上げたい」という思いから企画。昨年度の同イベントが2024年度第5回教皇フランシスコ来学記念表彰を受賞したという繋がりもあり、上智学院カトリック・イエズス会センター、および 株式会社Piece Times との共催のもと、一般社団法人日本パラフェンシング協会、および公益社団法人東京都障害者スポーツ協会の協力を得て実現しました。

障がいのある方々の視点からスポーツを体験することで、マイノリティへの理解を促すこと、そしてスポーツへのアクセスが限られている身体障がい者の方にフェンシングを体験してもらうことで、「パラスポーツという選択肢」を知る機会を提供すること目指しています。当日は本学教職員や車いすフェンシング経験者などが参加し、最終的には約40名を超える規模となりました。

冒頭では、まず東京2020やパリ2024パラリンピックに出場した加納選手によるレクチャーを実施。自身の幼少期の様子やパラフェンシングとの出会い、そしてパラリンピック出場時の想いや選手村の様子など貴重なエピソードを紹介。

続いて、加納選手と公益社団法人日本フェンシング協会常務理事であり、体育会フェンシング部のOBでもある和田潔氏、そして体育会フェンシング部員によるパネルディスカッションが実施され、「日仏におけるパラスポーツ比較」や「マイナー競技としてのフェンシング」について議論が交わされました。

和田氏は日本ではマイナースポーツに分類されることの多いフェンシングに関して、「オリンピックで活躍することで認知度は高まっている。普及させなければならないが、将来に希望は見えてきている」と今後の期待を語りました。また、加納選手はフェンシングと車いすフェンシングの違いについて、通常のフェンシングでは下半身の意識が高いため、車いすフェンシングにおける上半身の使い方をすぐに習得するのはオリンピアンでも難しいと指摘。「車いすフェンシングではオリンピック選手でもパラリンピック選手でも平等に戦える。自分の力を最大限に生かすことを心がけて日々取り組んでいる」と語りました。

ディスカッション後には加納選手と体育会フェンシングの部員によるデモンストレーションを実施。迫力のある試合が見られました。その後は加納選手を含めた参加者同士で実際に車いすフェンシングを体験。フェンシング未経験の方には、部員が始めに簡単なルール説明や剣の持ち方についてレクチャーを行いました。

パイプ椅子を利用したシッティングフェンシングや、実際に大会でも使用されている競技用車いすを用いた試合も実施。パイプ椅子と車いす両方を用いた試合も見られました。障がいの有無や年齢、性別を問わず参加者全員が車いすフェンシングを楽しむ貴重な時間でした。

イベントの責任者を務めた体育会フェンシング部の稲垣寿紀さんは、「昨年に引き続き今年も無事開催できてホッとしています。パラフェンシングの普及・理解促進に少しでも貢献できれば嬉しいです。今年はパラフェンシング経験者の参加も多く、障がいを持たない方にもパラスポーツをより身近に感じてもらえたかと思います。大勢の方にとってパラスポーツが「日常の一部」や「当たり前のもの」になるよう、これからもインクルーシブなキャンパスづくり、社会づくりを目指していきたいです。」と振り返りました。

上智大学 Sophia University