経済学部主催セミナー「クロスボーダーM&A戦略論」が開催されました

前半は、経営学科OBの篠原氏が講師を務めた

10月4日、経済学部主催、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社協力によるセミナー「クロスボーダーM&A戦略論」が開催されました。経済学部経営学科の若林利明准教授のゼミから発展した同セミナーは、受講対象を経済学部生に限定せず全学部からの募集とし、当日は20人の学生が参加しました。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、豊富なグローバルネットワークを駆使して企業の経営課題を分析し、M&Aやアライアンスといった今般の企業経営にとって必要不可欠な戦略の立案を行うコンサルティング会社です。

今回のセミナーでは、同社で現役のM&Aコンサルタントとして活躍する2人の卒業生、篠原学氏(1996年経済学部経営学科卒)と樺澤典明氏(2002年経済学部経済学科卒)を、講師として招きました。講演テーマである「クロスボーダーM&A」の事例紹介や戦略上の意義についての解説に加え、M&Aコンサルタントの具体的な仕事内容やキャリアについても紹介いただきました。

グループワークではさまざまな意見が飛び交った

講演ではまず、M&Aの手法やM&Aを企業に提案する際に検討すべき事項、M&Aをめぐる近年の国内動向など、コンサルティングを行う上での基本事項の解説がありました。その後、ひとことでM&Aと言っても企業が企業買収や経営統合を行う目的はそれぞれであること、および「事業拡大」「地域拡大」「多角化」「ポートフォリオ転換」といった企業独自の戦略とその結果について、JT、Apple、ソニー(株)など国内外の有名企業が実際に行ったクロスボーダーM&Aの事例が紹介されました。

講演は講義とグループワークによるケーススタディーを交互に行う形式で展開されました。グループワークの時間、学生たちは4人一組で「ファミリーマートとサークルKサンクスの経営統合の効果は」「日立はなぜGlobalLogic社を買収したのか」「楽天と日本郵政の資本提携の目的は」といった設問に対し、各々の知識とアイデアを持ち寄りながら、企業統合のシナジーについて議論し、発表を行いました。

講師の樺澤氏は講演の最後に、「本日の講義やグループワークを通して、コンサルタントが企業にどのようなアドバイスをするかによって、今後の事業展開に大きな影響を与えるということを実感してもらえたら嬉しい。また、実際のコンサルティングの現場では、クライアントからシナジーを網羅的に複数挙げて欲しいと要望されることが多い。複眼的な視点を持つことの重要性も合わせて理解してもらいたい」と語りました。

セミナー参加者の前田唯乃さん(経済学部経営学科3年)は、「コンサルティングの現場で働いている方に、ゼミのテキストで学んできたM&Aの事例について、その背景や裏側の戦略をより具体的に伺うことにより、理解がさらに深まりました」と感想を述べました。沖重太翼さん(経済学部経営学科3年)は、「就職先としてコンサルティング業界全般に興味を持っているため、M&Aコンサルティングについても詳しく知りたいという思いから参加しました。M&Aを扱う場合は特に、統合する双方の企業のメリットを提言するために、幅広い業界、企業に関する知見が必要になることを学びました」と語りました。

本セミナーの企画者である若林准教授は、「企業の再編統合がますます活発になってきている今、就職先の企業が戦略的M&Aにより業態や事業地域を変更する可能性もあります。そのため、本日の講座はコンサルティング業界への就職を目指すかどうかにかかわらず、どのような人にとっても身近な問題であり、非常に有意義なものになったと思います。M&A戦略に関する講義は今のところ本学の授業科目にはありませんが、今後も継続的に外部講師を招いたセミナーなどを実施していきたいと考えています」と話しました。

講演後にはM&Aコンサルタントの仕事全般に関する質疑応答の時間が設けられ、就職活動を目前に控えた学生からの質問を中心に、活発なやり取りが行われました。

上智大学 Sophia University