2021年度の授業実施方針について

2021年度は対面での授業を原則とします

上智大学長 曄道佳明


2020年も残り少なくなりました。

1年前、世界がこのような状況になるとは誰も予測できませんでした。未曾有の事態に直面し、上智大学も、皆さんをキャンパスに迎えることのできない一年を過ごすこととなりました。

新型コロナウィルス感染症の状況は、日本国内のみならず世界各地においても予断を許さない状況が続いています。このように、完全終息の見通しを立てることが誰にとっても不可能な状況下ではありますが、現時点で、上智大学としての2021年度の授業実施にあたっての方針を決定し、皆さんにお伝えしなければならない段階にあると考えています。

年度当初からお伝えしているとおり、大学には、学生、教職員の健康と安全、キャンパスからの感染拡大を防ぐ社会的責任がある一方で、1年間続くこととなった、ほぼオンライン授業のみの授業展開から、学部学科、研究科専攻および学年の枠を超え、すべての学生の皆さんに充実した学生生活の維持、確保をするための新たな段階に進む必要があると考え、上智大学が為すべきことを必死で模索し検討を続けてきました。

上智大学は、2021年度は対面での授業を原則とします。 ただし、例年、受講者数が200名を超えるような大人数科目においては、オンデマンドによる開講とします。

オンデマンド授業とは、Zoom等を利用するリアルタイムの授業形態ではなく、インターネット上で講義資料や動画コンテンツなどを配信し、学生の皆さんが、授業ごとに定められた期間内であれば、好きな時間に、場所を選ばず受講できる授業形態を指します。

大人数科目のこの取扱いについては、教室という限られた空間に、一斉に多人数が集う環境を避けることで、感染リスクを少しでも避ける意味があります。ただし、授業によっては、対面授業とオンデマンド授業を複数回ずつ組み合わせて行うような形態も考えており、2020年度に行ったオンライン授業での経験を活かした効果的な授業形態を積極的に取り入れて実施していく予定です。

これら大人数科目以外においては対面での授業を原則としますが、座席の間隔を確保する新たな教室定員を設定して教室の配当を行い、また、室内換気についても徹底した確認作業を進め、文部科学省や厚生労働省の提示している必要換気量を満たす環境を維持できるように準備しています。

感染状況が安定しない、寧ろ悪化傾向にあるとみられる現時点においてのこのメッセージで、不安を感じる方もいると思いますが、ご自身の体調に不安がある場合は、事情を伺った上で個別に対応をいたしますので安心してください。 これに関わる手続き等は、後日、Loyolaにてお知らせする予定です。また、食堂などの施設利用にあたっての対応や課外活動に関する情報なども、順番に皆さんにお伝えしていく予定です。

繰り返しにはなりますが、現時点で、4月以降の状況を正確に予測することはできません。それでも上智大学は、1年間のオンライン授業の経験も踏まえ、ワンキャンパスの特色を活かした学びの深化、継続のために、感染症の拡大が起こらないよう最大限の安全対策を講じたうえで2021年度の授業実施方針をこのように決定しました。

海外や首都圏外の学生の皆さんは、春からのキャンパスでの授業、研究活動に向けて準備を始めてください。もちろん、学期始めの学内外の感染拡大状況、国や都の方針によって止むを得ず方針変更という対応を余儀なくされる可能性がありますことについては、ご理解いただきたいと思っています。

また、皆さんには、ご自身や周囲の人を守るために、自覚と責任ある行動をお願いしたいと思います。マスク着用や手洗いは勿論のこと、特に多人数での飲食を伴う会合を控えるなど、一人ひとりの意識と行動が大きな意味を持ちます。

コロナ禍という共通の経験をした世界がこれからの社会のあるべき姿を模索する中で、他者のために、そして常に他者とともにある心を持つ上智大学生として、あらためて本学のこの教育精神を思い起こしていただき、毎日を大切に過ごしてください。

もっと早く、上智大学として今、何を考え、何を検討し、どのような方向へ進もうとしているか、皆さんに情報をお伝えしてくるべきでしたが、感染状況の激しい変動の中で検討にも時間を要したために情報発信が遅れたことで、結果的に皆さんに大きな不安を与えてしまったことをとても申し訳なく思っています。

今、次のステップに進むために、上智大学は全力で準備を進めていますので、皆さんもご自身の健康に十分留意され、穏やかなクリスマス休暇を過ごされますようお祈りしています。

そして、2021年の春、1年ぶりにキャンパスで皆さんにお会いできることを、教職員一同、心待ちにしています。


上智大学 Sophia University