私を大きく変えたのは、ひとつの出会いと学んだことを実行に移す姿勢。

増田 夏帆さん
文学部フランス文学科4年

「その人を見て、やる前から諦めずに、どんどん進んでチャレンジすることの大切さに気づきました」と語る文学部フランス文学科4年の増田夏帆さん。自分の力を疑いがちだった彼女が心機一転、今までとは違う行動を取ることで得た大切な学びとは?

国や時代、考え方や立場の違いを飛び越えてこそ学びは楽しい

文学作品には作者の生き方や信念が詰まっています。書かれた時代が違っても、やっぱり今の自分に通じる想いといいますか、刺さるものがあるんです。それが違う言語なら、国を超えた普遍性が見えるばかりか、その国の文化や考え方も一緒に学べる。私にとっては、これが外国語で文学を学ぶことの醍醐味です。

その中でもフランス文学を選んだのは、子どもの頃から好きだったディズニーの『美女と野獣』を原文で読みたいと思ったから。最初は日本語、次に英語で映画を観て、原作がフランス文学であることを知りました。大学では、留学して英語以外の第二言語を習得したいという気持ちもあったので、それを全て実現できる環境が用意された上智大学のフランス文学科を選びました。

大学の授業は、壇上の先生が一方的に話すのを聞くだけなのではと思っていましたが、実際はいい意味で違いましたね。こちらから相談すると、先生方はもちろん、職員の方々も親身になって話を聞いてくださいます。例えば、1年生でパリに1ヶ月の語学研修が決まったとき。他の学生と一緒だから必要なときは助け合えると分かっていても、行く前は正直すごく怖かった。でも、その場所に昔留学していたという先生が食事に誘ってくださって・・・。現地のお役立ち情報や美味しいレストランの話を聞いているうちに、緊張がほぐれたのを覚えています。

上智大学には、多様性に富んだ意欲的な学生が多いので、刺激になります。フランス文学科だけ見ても、フランスの文化や芸術に限らず、アフリカの国々など、フランス語が話されている地域について広く学んでいる学生が多くいます。学科の外にも、海外の大学院を目指す学生や日本で就職を目指す学生、インターンと学業を両立しながら夢に向かって頑張っている学生が溢れている。自分とは考え方や目標が違う人とも、お互いに壁を作ることなく話し合い交友を深める中で、私自身の多様性に対する理解も深まっていると感じていますね。

文法もチャレンジ精神も、学んだことは実践しなきゃ意味がない

2年生で履修した「フランス語文法」は、私にとって特別な授業でした。頭の中に散らばっていた文法のピースが全部そこで繋がったんです。この授業があったから3年生でカナダのケベック州にあるラバル大学に交換留学をしたときも文法の授業についていけましたし、会話の中で文法を意識しすぎることがなかったんだと思います。

フランスではなくケベックを留学先に選んだのは、英語とフランス語の両方が公用語として使われるバイリンガル都市だから。フランス語を頑張る傍ら、英語力が落ちないように経済の授業だけは英語で受講していましたね。語学研修のときと違って周りに日本人がいない環境でしたが、現地の方や他国の留学生に助けられて楽しく過ごすことができました。

この留学では、私に大事な気づきをくれた方との出会いもありました。私と同じ語学学校に通っていた元看護師の方なのですが、フランス語を勉強している理由を聞いたら「フランス語を習得してアフリカで医療に従事したい」という答えが返ってきたんです。自分の意思を真っ直ぐに語る姿が、ものすごくカッコよかった。それまでの私には、やってみたいことがあっても「自分にはできないんじゃないか」と思って挑戦すらしないことがあったんです。でも、その人を見て、やる前から諦めずに、どんどん進んでチャレンジすることの大切さに気づきました。

帰国後は学んだことを実行に移したい。そう思って調べるうちに発見したのが、日仏会館主催のフランス語コンクールです。留学前の私なら「どうせできないし」と決めつけてエントリーしなかったと思います。でも、今回はチャレンジしてみようと思ったんですね。フランス人の先生に発音を徹底的に見てもらって、練習に練習を重ねた結果入賞することが出来たんです。パリの語学学校に1ヶ月通う権利も獲得しました。自分の想いをしっかり持って挑戦すれば、その分ちゃんと報われる。これは私の大学生活で最も大切な学びでした。

深い繋がりを求めるからこそ相手の言語で仕事がしたい

現在は、モリエールという作家の作品を題材にした卒業論文に取り組んでいます。17世紀のフランスのキリスト教社会を風刺した『タルチェフ』という作品なんですが、そこに描かれている人間の欠点が、現代の日本にもすごく当てはまるんですよ。全く違う世界で全く違う時代を生きた人が書いたのに、です。文学の面白さを感じることができる作品です。

卒業後も、フランス語を使って活躍したいと思っています。この4年間で一生懸命勉強してきたフランス語を活かしたい。フランス語を母国語とする人とフランス語で話せれば、きっとビジネス以上の関係が築けるはず。だから、ビジネスレベルまでフランス語を磨いて、いろいろな人と実りある関係を育みたい。このように思うのは、大学や留学先で考え方や文化が異なる人々と語り合い、さまざまな経験を共有するのが本当に楽しかったから。社会に出てからも、そういう繋がりを作っていきたいですね。

※この記事の内容は、2021年11月時点のものです

上智大学 Sophia University