上智大学・関西学院大学 連携協定記念シンポジウム「変革する大学 ~IR・ポートフォリオ・クラウドの展開と可能性について~」を開催しました

2019年2月19日(火)、上智大学6号館(ソフィアタワー)101教室において、上智大学・関西学院大学 連携協定記念シンポジウム「変革する大学 ~IR・ポートフォリオ・クラウドの展開と可能性について~」が開催され、全国から約150人の大学職員や教育関連企業の方が参加しました。

上智大学と関西学院大学は、2018年6月に包括連携協定を締結しましたが、今回のシンポジウムは、同協定に基づく取り組みの一つとして、教育研究に係る交流や職員交流の成果を公開する場となりました。

曄道 佳明 上智大学長

開会に先立ち、曄道佳明 上智大学長から、今回のシンポジウムは、IR、学習成果の可視化、クラウドを利用した新たな展開に関する事例紹介をもとに、問題意識の共有、課題解決に向けた開かれた議論を行いつつ、聴衆と共に考える機会にしたいと挨拶しました。また、両大学が、「変革を余儀なくされる大学」ではなく、社会の変化に向き合い、変化を主導する立場となるべくお互いに協力していきたいと今後の抱負を語りました。

玉上 晃 文部科学省大臣官房審議官(高等教育局及び高大接続担当)

最初に、玉上晃 文部科学省大臣官房審議官(高等教育局及び高大接続担当)による基調講演「高等教育政策の動向 -教育の質の保証と情報公表を中心に-」がありました。

玉上氏は、昨年11月の中央教育審議会答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を中心に講演を進めました。2040年は、2018年に生まれた子どもたちが大学を卒業し社会に出るタイミングであり、その頃の社会のあり方を踏まえての答申であるとの説明がありました。中でも、全学的な教学マネジメントの確立が求められており、学修成果の可視化と情報公表の促進が重要であり、教育の質の保証について各大学が自ら考える必要があると強調しました。

相生 芳晴 学校法人上智学院 IR推進室長

続いて、上智大学と関西学院大学から、それぞれの大学における取り組みについて事例発表がありました。

まず、上智大学からは、相生芳晴 IR推進室長が登壇し、「上智大学におけるIRの取り組みと、教学支援システムLoyolaのAWS移行について」と題して報告がありました。

上智大学では2013年からIRに関する研究が学内有志により始まり、2015年にIR推進室が設置され、本格的な取り組みがスタートしました。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールである「Tableau」を活用し、学内にある各種データを分析、可視化することで、教学組織や経営陣に対して情報提供し、さまざまな改善に役立てています。

また、教学支援システムの「Loyola」は、以前は学内にサーバーを設置して運用していましたが、履修・抽選登録の際に学生がログインしづらくなり、SNSで炎上する事態となったため、アクセス過多に対する改善が求められました。その改善策として、AWS(Amazon Web Services)への移行が決定されました。AWSに移行した後は、ログインできない事態は発生せず、また、抽選処理の時間も大幅に短縮され、サービスの向上を図ることができました。また、セキュリティやBCPへの対策も、AWSに移行することで以前より大幅に改善されました。

豊原 法彦 関西学院大学高等教育推進センター長

次に、関西学院大学高等教育推進センター長の豊原法彦教授が、関西学院大学におけるポートフォリオの取り組みについて」と題して事例の紹介がありました。

関西学院大学では、2014年(平成26年)に採択されたスーパーグローバル大学創成支援事業において、「国際通用性を担保したポートフォリオ構築」を取り組みの一つに掲げ、全学生対象のポートフォリオを独自開発することになり、2017年度入学生から順次導入を進めています。

ポートフォリオのアプリケーションでは、各部署が保有するデータを個々の学生が確認できるようにするほか、学生自身が学期の初めに目標を立て、学期末に目標の振り返りができるようにしました。また、教職員も学生に対し、ポートフォリオへの記入をさまざまな場面で働きかけるとともに、ゼミや授業での利用やキャリア支援などにも活用していくことにしています。

江原 昭博 関西学院大学高等教育推進センター副長

事例報告のあとは、パネルディスカッションに移りました。
パネルディスカッションには、玉上氏、相生氏、豊原氏のほかに、藤村正之 上智大学高大連携担当副学長も加わりました。
まず、関西学院大学高等教育推進センター副長の江原昭博准教授が、「IR・ポートフォリオの今日的課題」と題して課題設定を行い、その後、フロアから出された数多くの質問を基にパネルディスカッションを行いました。パネリストからは、各大学での取り組みについて苦労した点や、IRやポートフォリオについての今後の見通しに関して回答がありました。また、玉上氏からは、政策的な観点から教学マネジメントとIR・ポートフォリオとの関連について回答がありました。

シンポジウムのパネリスト。左より、玉上氏、藤村氏、相生氏、豊原氏。
村田 治 関西学院大学学長

最後に、村田治 関西学院大学学長から、上智大学と関西学院大学との提携は、一大学が個別に競争しあうのではなく、特長を生かしつつ連携していくことがこれからの大学にとって必要である、両大学ともキリスト教に基づく教育を行っているという共通点があり、どちらから持ち出したわけでもなく自然と流れができあがったと、協定締結に至るプロセスを振り返りました。

そして、教学マネジメントの確立が今後は重要であり、学修成果の可視化と情報公表が求められるが、今回のシンポジウムで上智大学と関西学院大学が提示したそれぞれの試みが、参加されている大学の参考になれば喜ばしいと語り、シンポジウムを締めくくりました。

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