さまざまな言語を駆使して広げる世界に今日の私が抱く喜び、描く夢。

天田 佳菜子さん
外国語学部フランス語学科4年

「努力して身につけた言語が旅先で役立つのは、自分の成長が感じられる瞬間です」と語る外国語学部フランス語学科4年の天田佳菜子さん。難易度の高い言語の習得に全力で取り組み、いつか海外で働くことを目標とする彼女にとって語学とは?

汎用性の高い言語を専門に学びながら多様な言語に触れてみる

英語プラスアルファで別の言語を本格的に学びたい。そう思っていた私にとって、世界中の大学とのネットワークによって留学生や外国人の先生方と関わる機会が多く、さまざまな言語を学べる上智大学は理想的な進学先でした。フランス語学科を選んだのは、この言語が国際機関の公用語の一つであり、世界中で多くの人に話されているから。もともとファッションや料理などフランスのカルチャーが好きというのも大きな後押しになりました。

上智大学では、所属学部に関わらず、どの学生でも自分の興味のある言語を勉強することができるのも魅力を感じました。私はフランス語学科ですが、専攻言語とは違うインドネシア語やイタリア語の授業も履修していました。複数の言語を学ぶことができる大学は珍しいと思うので、これは私が感じる上智の魅力の一つだと思っています。

また、6号館の1階にあるLLC(Language Learning Commons)では、少人数のグループレッスンや、Language Exchangeといってパートナー学生と言語や文化を話し合うプログラムなどを通じて、さまざまな言語に触れる機会に恵まれました。LLCでは、カジュアルな雰囲気の中で、ラフな会話を楽しみながら語学を学ぶことができました。

フランス語学科は70名程度と小規模なので、先生方が学生全員の名前を覚えてくださっているくらいアットホームな雰囲気です。キャンパスで先生方とすれ違ったら、フランス語で挨拶して自然と会話がはじまります。都心にある四谷キャンパスはは文化的な要所へのアクセスがいいので、ゼミの先生とメンバーで美術館へ出向いて、そこで感じたことをフランス語で話し合うこともありました。

頑張った分だけ世界が広がっていくから語学の勉強は面白い

ただ、その華やかなイメージとは打って変わって、フランス語の勉強はハードです。まず、フランス語という言語自体が本当に難しい。1年次の頃は、週6回の授業に大量の課題、そして月6回程テストが毎月課されていて、本当に大変でした。ですが、努力して身につけた言語が旅先など実践の場で役立つのは嬉しいですし、自分の成長が感じられられる瞬間でもありますよね。言語を学べば学ぶほど世界が広がり、いろいろな人と話すことができるようになる。私にとっては、それが外国語を学ぶ面白さであり、語学の勉強を根気強く続けるためのモチベーションになっています。

入学した頃と比べて思うのは、物事を客観的に考えるようになったということ。これはやはり、フランス語という言語を学ぶだけでなく、日本とは異なる文化や価値観を理解して受け入れるという過程の中で、自分の視野が広がったからでしょう。特に、いろいろな社会問題をピックアップしてフランス語でグループディスカッションをする授業は、ひとつの事象を俯瞰して多角的に見る力を養う上でよい機会となりました。

フランスは議論することが文化として深く根付いた国。フランス語を身につける上では、その文化を理解し、議論を展開するための批判的思考が求められます。授業でも、今までは疑問にすら思わなかったことについて問われる機会が多いので、「日本ではなぜこれが良しとされているのか」というように、一見すると当たり前の物事について批判的に考える習慣がつきました。そこから生まれた自分の意見をディスカッションやプレゼンで共有し、フィードバックをもらうことで、自分で考える力と論理的に話す力も身につけることができたと思います。

大切な教訓は思いがけない出来事の中にも隠れている

ゼミではフランスの政治と経済を学んでいます。大学に入学する際に奨学金制度について調べていたら、国の制度や経済的な問題が教育の格差を生むのではないかと疑問に感じ、社会制度の在り方の違いに関心を持つようになりました。政治経済という切り口からフランスと日本を比較すると、「日本って実はこういう国だったんだ」と驚くことが多くて、とても面白いですね。現在はフランスの教育制度をテーマにした卒論に取り組んでいますが、その中ではフランスと日本の学校教育や家庭教育の違いに関する比較も行っています。

この4年間では、フランス語の勉強に励む一方で英語力不足を痛感するという出来事もありました。私は寮で暮らしているのですが、ある日、日本語が話せないアメリカ人の寮生が激しい腹痛を訴えて救急車で搬送されるという緊急事態に陥りました。私も救急車に同乗したのですが、症状や必要な処置の翻訳を頼まれても私の英語力では専門用語が分からなくて・・・。でも、海外にいるときに自分が病気にならない保障はどこにもありませんよね。海外で自分の命を守るためにも、言語は生きたかたちで学ぶ必要があると改めて感じました。

これは悔しい思い出であると同時に、いつか海外で働きたいと思っている私にとって貴重な経験でした。言語は私の世界を広げ、さまざまな国や地域の人々と会話をするだけでなく、助け合いながら生きていくためにも必要なツール。将来は、経済学や会計学といった他学部の授業で学んだことを活かしながらフランス語と英語の勉強を続け、世界を舞台に活躍できることを目指して努力を重ねていきたいと思っています。

※この記事の内容は、2021年11月時点のものです

上智大学 Sophia University