「中南米からのジャーナリストと日本の学生交流プログラム~私が見る中南米と日本~」を開催しました

10月19日、2号館17階国際会議場において、独立行政法人国際協力機構(JICA)との共催で「中南米からのジャーナリストと日本の学生交流プログラム~私が見る中南米と日本~」を開催しました。本プログラムは、JICAの招聘で来日中の中南米7カ国のジャーナリストをキャンパスに招き、留学経験のある学生や中南米からの留学生による発表やグループ討論を通じて、中南米地域と日本の間の相互理解を深めることを目指したものです。プログラムは全てスペイン語(討論は一部ポルトガル語)で行われ、両言語を学ぶ学生をはじめ、中南米地域の大使館等関係組織関係者、日本の研究者等計53名が参加しました。

第一部では、本学から中南米に留学した2名の学生と本学で学んでいる留学生から、留学先での経験に基づく発表がありました。中南米3カ国に滞在した経験をもつ吉田梨花子さん(文学部新聞学科4年)からは、スペイン語を話さない先住民や、現地社会に根付いて暮らす日系人等との出会いを通じて、中南米地域に存在する豊かな多様性に触れた体験とともに、地震速報に垣間見た伝え方の違いや、政治に対する関心の高さに感銘を受けた話などが披露されました。続いて発表を行った鏑流馬美咲さん(外国語学部イスパニア語学科4年)は、メキシコ留学の前に持っていた印象が留学中にどのように変化していったかを説明し、圧倒的な貧富の差によって物理的、心理的に築かれる壁がある社会で、明るく独自のリズムで生きる人々に魅了された体験を熱く語りました。最後に発表したメキシコ出身のMendoza Hugoさん(理工学研究科理工学専攻1年)は、 自身が日本に留学することになった経緯を紹介し、日本に対して感じていたステレオタイプの認識が、日常的に自分が使う日本関連の「物」へ、さらには日本が持つ様々な価値に対する共感へと変わっていった様子をユーモアを交えて語りました。

第二部では中南米からの7名のジャーナリスト、フロアの参加者も交えて二つのグループに分かれて討論を行いました。ファシリテーターからの提案の下、教育システムや、環境への意識、大学生の姿勢、ジェンダー、人生における仕事のバランス等、多種多様なテーマで話し合いが行われましたが、世界に共通する社会問題、国際情勢に敏感なジャーナリストからは、若い世代が留学という体験を通じて敏感に感じ取った「違い」に大きな関心が寄せられ、学生に対して積極的な問い掛けがなされました。

グループ討議の後、幡谷則子イスパニア語学科長から、参加した学生、ジャーナリスト、関係者への謝意とともに、世界中の情報が容易に手に入る現代においても現地で直に暮らし、そこに住む人と言葉を交わすことこそが、理想的な異文化理解のあり方であること、また外国に出ることによって自身の文化をこれまできちんと理解してこなかったことに気づいたり、批判的な視点を身につけることができるとの見解が示されました。さらに、文化は変わっていくものであるが、本プログラムの発表者のようにステレオタイプを打破できる人こそが、新たな文化を創造する存在になれるのではないかとの力強い励ましがありました。
最後に、細野昭雄JICA研究所シニア・リサーチ・アドバイザーから、異文化の受容の変遷の事例が詳細に示された本プログラムが、互いを知る貴重かつ興味深い機会になったとの講評が述べられ、第二部のグループ討議で話されたテーマについてもどれも国際協力の現場で課題となるものであり、日本の協力はまさにその課題を克服し持続可能な成長を支えるものであると発言されました。上智大学の学生および中南米・カリブ諸国のジャーナリストへ向けて、本日の意見交換を契機に日本と中南米の絆を深める架け橋を築き、相互理解のもと成長していく関係性を築いてほしいとのメッセージとともにプログラムが締めくくられました。

講評の様子

上智大学 Sophia University