人生を切り開く上で大切なのは、さまざまな角度から可能性を探ること。

鈴木 健睦さん
法学部地球環境法学科4年

「私の中では、法学部での学びとパイロットになる夢が確実に繋がっているんです」と語る法学部地球環境法学科4年の鈴木健睦さん。ハワイの海の美しさから法律と環境に興味を抱いた彼が好奇心を持ち続け、学んだことを広い範囲に適用させる理由とは?

ハワイの海はなぜ美しい? すべては1つの疑問から始まった

昔家族で行ったハワイで私が一番驚いたのは、その海の美しさでした。同じ海でも、自分が知っている日本の海とは全然違った。その理由を調べてみたら、ハワイは海を守るための法整備に力を入れていて、ウミガメへの接触、ビーチでの日焼け止めの使用、そして飲酒というような行為を禁じていることが分かったんです。

このときから、環境を守る上で法律は人の行動を制限するという非常に重要な役割を果たしていると考えるようになりました。そして、進学先を探す中で見つけたのが上智大学の地球環境法学科。環境と法律を両方専門的に学べる学科に出会い、一瞬で心が惹かれたことを今でも覚えています。

地球環境と言うからには、環境問題は地球全体の問題だと思うんです。だから、上智大学の法学部に法律学科、国際関係法学科、地球環境法学科の3つがあって、国際関係に関連する法律も学ぶことができたのは、自分の学びをより豊かにしてくれました。地球環境問題を解決に導くためには、1つの国が頑張ればいいということではなくて、世界全体をどのように巻き込んでいくかが重要であるという大きな気づきを得ることができましたから。

また、複数の国々にまたがる環境被害の解決という非常に複雑な問題と向き合ったり、留学生から日本以外の国の法律や事例を共有してもらったりしたことで、1つの物事を多角的に見る能力も身についたと思います。

入学前後で一番大きく変わったのは、環境配慮に対する考え方ではないでしょうか。以前は「どうして国は環境を大事にしないんだ」と、国に対し思うところがあったんです。でも、地球環境法学科の「企業環境特殊講義」という授業の中で、経済活動と環境配慮は相反するということを学んでからは、その両者のバランスをしっかり取ることが重要という認識に変わりました。私たちが目指す持続可能な世界というのは、その先にあるんですよね。

都市の人口流出という身近な問題を、法の視点から考える

環境問題を考えるときに、利己的な考え方をする人はあまりいません。大半の人たちは、自分が素晴らしい環境を享受したいからではなく、世界の人々が幸せに暮らしたいから環境を守ろうという気持ちで、環境問題と向き合っているのではないでしょうか。「他者のために、他者とともに」という上智大学の教育精神のもとで学んだことで、この考え方に共感できるようになったと思っています。もちろん、環境問題に対する関心が一段と深まったことは言うまでもありません。

最近、特に関心を持っているのは、地元の街の人口流出問題。私は神奈川県横須賀市出身なのですが、久しぶりに地元の街を歩いていたら、妙に活気がないように感じて。よくよく調べてみると、人口が徐々に減っている。震災のあった福島県や宮城県の市町村よりも人口が流出し、転出超過数ランキングで全国1位を記録した年もありました。大好きな地元がいつまでも活気ある街であり続けるためには、“人”が必要。人口の流出を食い止めるには、どのような街づくりをするべきなのか。それを学ぶために、都市計画法を扱うゼミに参加しています。

このゼミでは特に、法学部が大事にする“リーガルマインド(法的に物事を思考する力)”を大きく伸ばせたと思っています。毎回チームで1つの判例に関する議論を行うのですが、そこでは論点を見極めて、客観的かつ論理的に考えなければ問題解決に至ることはありませんそのため、さまざまな法律を事例に当てはめて、課題解決に導く力を培うことができました。

法学部での学びを活かしてパイロットの夢を追う

この4年間で、自分とは考え方や価値観が異なる多様な人たちと関わることができました。上智の好きなところは、学生数が少なくて、キャンパスがコンパクトなこと。必然的に人と人の距離が近くなるので、メインストリートで友人や先生方と会うことも多く、コミュニケーションも自然に増えるように感じますね。授業やサークル活動を通して他学部他学科の学生と交流する機会を持つことができたのも、自分の視野を広げる上で大事な経験だったと思います。

その中で改めて感じたのは、好奇心を持つことの大切さ。法学部の学生でも、法律の勉強に励む傍ら、法律以外のことにも興味を持って積極的に取り組む人は、多岐にわたって活躍している印象があります。実際、私の先輩にも法律を学びながら気象予報士の資格を取った人や、法学部を卒業してから医学部に入った人がいます。何事にも先入観を持たずに、さまざまな角度から可能性を探って主体的に動くというのは、法律を扱う上でも自分の人生を切り拓く上でも大切なことではないでしょうか。

私の夢は、パイロットになることです。法学部とは一見無縁と思われる職業ですが、私の中では、この夢と法学部での学びが繋がっているんですよね。法律家が多種多様な法律の中から最適な法を当てはめて問題を解決に導くのと同様、パイロットも多種多様なルートの中から最適なルートや飛行方法を特定して目的地に辿り着く。どちらにも論理的思考力と問題解決力が必要なんです。だから、この4年間法学部で学んできたことは、幼い頃からの夢を実現する上で必ず役に立つと信じています。

※この記事の内容は、2021年8月時点のものです

上智大学 Sophia University