上智大学

ニュース 国際平和研究所共催セミナー

平和構築における包摂性の重要性に関するセミナーをニューヨークの国際平和研究所と共催しました-グローバル教育センターの東大作教授がメインスピーカーとして登壇

IPI本部で開催されたセミナー

2018年6月12日、ニューヨークに本部を持ち、国連関係の研究所としては世界最大規模の国際平和研究所(International Peace Institute =IPI)と本学、それにOne Earth Future財団、国連日本政府代表部の共催で、「平和構築と平和の持続化における包摂性の重要性(The Importance of Inclusivity for Peacebuilding and Sustaining Peace)」に関するセミナーが、国連本部の向かいにあるIPIの本部で開かれました。IPIと本学が、セミナーを共催するのは史上初めてのことです。

こちらのIPI公式サイトよりセミナーの詳しいサマリーやイベント全体を収録したビデオをご覧いただくことができます

Hochschild 戦略担当国連事務次長補

146人の聴衆が詰めかけたセミナーでは、冒頭、コロンビア国連常駐代表や、中央アフリカ国連PKOミッションの国連特別副代表などを歴任し、現在、国連事務総長の最高意思決定機関である執行委員会(Executive Committee)を主幹する、戦略担当国連事務次長補であるFabrizio Hochschild氏が、冒頭の挨拶を述べました。

Hochschild氏はまず、この極めて重要なテーマについてセミナーの開催を実現したIPIや国連日本政府代表部、そして本学の東大作教授(上智大学国際協力人材育成センター副所長)の尽力に謝意を述べました。その上で、コロンビアや中央アフリカでの経験を基に、平和を持続していく努力の中で、色々なグループを包摂することが如何に重要か力説しました。(彼の演説のすべてを上のリンクでみることができます)

東大作教授

その後、本学の東大作教授が、パワーポイントを使ってセミナーの基調となる講演を行いました。2015年に出版した「平和構築における正統性樹立の課題:アフガニスタン、イラク、シエラレオネ、東テイモール」で提示した理論を解説した上で、現在行っている南スーダンやシリア、イラクなどの調査について発表を行いました。こうした現地調査に基づき東教授は、なぜ平和構築の現場で政治的な排除が起きてしまうのかという要因について独自の議論を提示しました。その一つは、戦闘を行っている双方が、「相手に譲歩して和平合意を結んでも、その後の総選挙で敗退するかも知れず、そうなれば政治権力も失い、経済的な権益もなくなり、下手をすれば裁判にかけられて処罰されてしまう」と恐れている場合。もう一つは、「自分が軍事的に勝利して、相手をせん滅できる」と確信を持っている場合です。

東教授による基調講演

東教授は、和平合意すれば自分が全てを失うリスクがあると紛争当事者が恐れている場合は、地域機構や国連など第三者が、和平合意後の安全や和平プロセスへの参加を保障することが大事だと述べました。また一方が「軍事的勝利が可能」と確信している場合は、イラクやアフガニスタンのケースのように、数年たった後に、人々の不満がまた爆発して紛争が再発し、内戦状態に戻るリスクがあることを、国際社会が当事者に粘り強く説得し続けることが重要だと話しました。そして今後、国連や国際社会が、どのように政治的な排除を防ぎ、全てのアクターが平和作りにできるように努力すべきかについて述べました。(詳しくは上のリンクをご参照)

議論を交わすパネリストたち

続いて、One Earth Future 財団の平和部門のディレクターである、Conor Seyle 博士が、昨年編著し出版した包摂性と平和構築に関する本での議論を紹介し、東教授の発表内容と重なるところが多いと強調しました。また、スリランカの研究者で、IPIからスリランカの平和構築に関するペーパーを出すことになっているHasini Haputhanthri氏が、スリランカの文脈で、平和構築における包摂的なプロセスを作る難しさについて、自らの体験も交えて語りました。

その後、IPIの平和担当ディレクターであるJake Sheman氏が司会を務め、東教授、Selye 博士、Haputhanthri 研究員の3人と会場の参加者の間で、活発な議論が行われました。

川村次席常駐代表(大使)

セミナーの最後、川村泰久国連日本政府代表部次席常駐代表(特命全権大使)が、スピーチを行いました。川村大使は、持続的な平和を実現するための努力は、現地主導で、現地の人々がオーナーシップを持ち、その周囲の地域が建設的に関与し、国際的に支援されるべきだと述べました。そして、本日のセミナーが、持続的な平和を実現する上での包摂性の大事さに光をあてており、今後の国連の活動に大きな意義があると強調しました。(詳しくは、上のリンクのビデオをご参照)

会場には146人の聴衆が詰めかけた

通常のセミナーをはるかに上回る約150人もの人が参加したことを受けて、司会のJake Sheman氏が、集まった参加者の人たちに向け謝意を述べ、約2時間のセミナーは終了しました。