広く深い法の海を泳ぎ回り、自ら見つけた“想像をはるかに超える”可能性。

仁平 伊織
法学部法律学科3年

「学びの対象が広がって、思いもよらない分野にも興味が持てるようになりました」と語る法学部法律学科3年の仁平伊織さん。テレビで観る法律のプロに憧れていた彼が、学科の垣根を超えた学びや国際法の模擬裁判大会を通して描く予想外の未来像とは?

想像以上に奥深い法律を縦横無尽に学ぶ楽しさ

入学前の私は、法律をかなり抽象的なものとして見ていました。昔から刑事ドラマが好きで、何となく弁護士や検察官になりたいと思っていた程度なんです。とにかく法律に関わりたいという思いが強かったので、進学先は法学部一択でした。

入学して一番驚いたのは法律の奥深さ。法律の適用範囲や解釈の仕方も思っていた以上に複雑で、法律を扱うというのは大変なことなんだと改めて実感しました。例えば「訴訟法」の授業。“訴訟”という言葉自体は日常生活でも頻繁に耳にしますが、その手続きに関する法律が定まっているなんて全く知りませんでしたから。法学部の3つの学科の授業を縦横無尽に履修して、法律を広く学ぶようにもしています。法律である以上繋がる部分は多分にあって、他の分野で学んだことが自分の分野に活きるというのは、すごく面白いですし、モチベーションにもなりますね。

上智大学のキャンパスを歩いていて感じるのは、誰も拒まないウェルカムな雰囲気があるということ。留学生を含め、1人ひとりの学生が受け入れられていると感じることができますね。いろいろな言語が飛び交っていますし、日本人の学生から流ちょうな英語が聞こえてきてビックリすることもあります。自分の興味の対象が国際法に広がった今は、大学内のイベントで世界各国の文化を学んだり、外国人留学生と話したりして、グローバルな視点を養うようにしています。上智からほど近い最高裁判所の傍聴や見学にも行っていますよ。

ゼミや法曹コースでの学びを通して教授陣とも絆を深める

もともと一番興味があったのは国内法の中でも犯罪や刑罰に関する刑事分野だったので、2年生のときに刑法のゼミに参加しました。今思うと、あのゼミでは、その後の学びの基礎力がつけられたような気がしますね。3年生の現在は家族法に関するゼミに所属していますが、対象が家族ということもあって、法律の影響が自分たちの身近なところにも及んでいること実感できて面白いです。判例ひとつで行政システムが変わることもあり、一般紙市民の生活に大きな影響を与える事案もあるので、とても興味深いですね。

上智の法学部の好きなところは、教授陣と学生の距離の近さでですね。私はロースクール進学を前提とした法曹コースに所属していて、現役の弁護士から授業を受ける機会も多いのですが、先生方からのサポートが驚くほど充実しているんです。普段の授業やゼミでも、先生方が丁寧に答案の添削をしてくださいますし、進路や勉強に関する相談にも親身にのってくださいます。もちろん、学生同士のディスカッションにも一緒に参加して、議論を深めてくださるんですよね。とてもありがたいことですし、その想いに応えられるように勉強を頑張ろうという気持ちになります。

国内の枠に留まらず興味の対象を新しい分野に広げる

法学は範囲が広い分、学びの対象が広がって、思いもよらない分野にも興味が持てるようになったのは本当に大きいですね。特に、国際法を用いた模擬裁判の大会出場を目指す「上智国際法研究会」というサークルでの活動は、私が新たな目標を持つきっかけになりました。

私はもともと国際法に興味があったわけではなく、模擬裁判が面白そうだったのでサークルに参加したんですが、今にして思えば、いい決断でしたね。模擬裁判の大会では、各大学が国際法上の架空の紛争について、実際の裁判のように原告・被告の立場から議論を展開します。文書の提出から弁論まで何もかもが実際の裁判とそっくりで、実務に近い経験ができましたし、これ以上ないくらいに面白かった。過去の判例を読み込んで、合理的で法的妥当性がある書類を創り上げるためにメンバー間で徹底的に議論したのもよい思い出です。

そのおかげで、私たちのサークルは「ジェサップ国際法模擬裁判大会」の国内予選で準優勝を果たし、世界大会でも好成績を収めることができました。この大会では弁論を英語でする必要があるので、サークルの先輩方に法廷独特の言い回しを教わりながら何度も練習しましたね。本番のステージに立ったときの緊張と興奮は、今もハッキリ覚えています。

このサークルでは国際的な取引の事例を一度だけ扱ったこともあるんです。「100%株主はA国にいるけれど、小株主は別の国に散らばっている。この場合、どの国に提訴の権利があるのか」という事例でした。それまでは、国際取引法なんて別世界の話だと思っていましたが、この事例から、実際に起こり得るような身近な問題を扱う分野であることに気づいて、一気に興味が湧きましたね。

だから将来は法曹三者の中でも弁護士として、刑事分野の仕事だけでなく、国家間の取引や紛争といった国際的な業務にも関わりたいと思っています。入学当初は想像すらしなかったような展開に自分でも驚いていますが、法を広く学んだから広がった可能性。少し前までは憧れに過ぎなかった刑事ドラマの法曹たちに、一歩ずつ近づけているような気がしています。

※この記事の内容は、2021年8月時点のものです

上智大学 Sophia University