上智大学

ニュース インタビュー

本学初のバーチャル学位授与式と入学式の運営を担ったボランティアチームのインタビューを掲載

秋吉圭さん(左)と鈴木達哉さん

本学にとって初のオンライン開催となった2020年9月期学位授与式および入学式。両式典では学生、教職員ら本学関係者が多数出演する動画が流されるなど、バーチャルでありながらもあたたかさを感じる演出が話題を集めました。

一連の企画や演出、映像配信などを担ったのが、卒業生の鈴木達哉さん(2020年理工学専攻博士前期課程修了)と福田恵人さん(2018年経営学科卒)、そして在学生有志による総勢10人のボランティアチームです。チームを代表して、鈴木さんと秋吉圭さん(新聞学専攻博士前期課程2年)に話を聞きました。

式典運営に協力するきっかけは?

【鈴木】私と福田が、今年のオールソフィアンズフェスティバル(ASF)の映像配信を担当していたことがきっかけです。自分たちが式典に関わってよいものか悩みましたが、卒業して間もないこともあり、学生たちの感覚に近しいところでできることがあるのではと思い、企画の段階から携わることを決めました。

どうやってメンバーを集めたのですか?
運営を担ったメンバーたち

【鈴木】式典という性質上失敗が許されないので、ASFの運営つながりなど、信頼できるメンバーを集めました。私が全体を見つつ、企画・撮影・配信のチームに分けて、在学生・卒業生の区別なく、1人ひとりが何かしらの責任を持ってプロジェクトに取り組みました。

【秋吉】在学生は3月に卒業を控える4年生や、オンライン開催を控えたソフィア祭の実行委員会のメンバーが多かったです。両者とも、自らが関わる催事のオンライン開催へのノウハウになればという当事者視点があったからでしょうね。

式典のコンセプトは?
式典に参加する卒業生・新入生がスクリーンに映し出された

【鈴木】式典の持つ本質的な価値は人が繋がる場であることだと考え、それをオンライン上で実現することを重視しました。従来の式典を表面的にオンライン化しても意味がないというのはメンバーの共通認識になっていました。この点に関しては、どうしても過去の式典の常識に引きづられてしまいがちなので、まだまだ工夫できることはあると思っています。

【秋吉】「このタイミングで卒業/入学して損した」という気持ちをいかに持たせないようにするかというのが大きなテーマでした。一番避けたかったのは僕たちの自己満足の式になってしまうこと。「従来の式典で得られる体験を補う工夫」、そして「式典の付加価値を高めるオンラインだからこその工夫」の両立を目指しました。企画や演出などを考えるときは、この式典に外部業者ではなく、スタッフとして敢えて学生である僕たちが呼ばれた意味を改めて考えるようにしていました。

式典で流した動画が好評でした
本学関係者約100人が登場した新入生歓迎動画

【秋吉】式典そのものよりも、その前後の時間で友人や先生方など、他の人たちと触れ合うことが重要という認識がありました。今回はその時間が持てない以上、特に学位授与式には本当に人が集まるのかという懸念がありました。

学位授与式で流す動画制作にあたっては、何らかの形で卒業式への当事者意識を持ってもらい、当日を楽しみにしてもらう必要があると考え、式典前の卒業生限定の入構期間に撮影を行うことにしました。卒業式は「終わり」を意味するものではないとメッセージに込めたかったので、あえて「将来の夢」という未来に向けたテーマを設定して、卒業生にそれをスケッチブックに書いて出演してもらう動画にしました。式典の最後も "And your story will continue" という言葉で締めました。

「式典で卒業生自身が出る動画を流す」というのはまさにこの状況でなければ実現可能性の低いことだと思いますし、実際にVTR中のZoom上の反応も見ていましたが、それまでに比べて明らかに色彩豊かな表情が見られたのが印象的でした。動画の撮影場所として、キャンパスのさまざまな場所を映せたのも良かったと思います。

入学式の動画に関しては、なんとか「上智大学の一員になった」という実感を持ってもらうのが最大の目的でした。そこで、とにかくたくさんの上智関係者に出演してもらって、新入生歓迎の気持ちを動画で示したいと考えました。先輩にも同期にも会えないという状況の中で、式の間に一人でも多くの顔と声を映したかったですし、僕たちの呼びかけに呼応して学生や教職員、守衛の方や清掃スタッフの方など、四谷キャンパスで働く方々含め、総勢100人近くの方々が企画に協力してくれました。

ある程度「形式だけの入学式」になってしまうのは避けられないだろうという部分があった中で、通常とは違う形ながら上智大学のあたたかみのようなものを少しは感じてもらえたかなと思います。

苦労した点は?
リハーサルは夜遅くまで続くことも

【鈴木】長年定型で実施されていた式典を初めてオンライン化することは、単純に0から1にする以上に難しさを感じました。こうすれば成功という解が世界中探してもない中で、限られた時間で物事を決めていくことは大変でした。また、コロナ禍と多忙により、全員が揃ったのはオンラインでも一度だけ。対面で集合したのは本番が初めてでした。このような状況下でも準備が滞らないよう、各自が準備に専念できる環境作りに努めました。

【秋吉】「果たして求められているものはこれなのか」という問いは何を考えるにしても付き纏っていました。卒業生・新入生がどう思うかということだけを考えていたので、その中で未だ答えのない「オンライン式典」を形作っていくというのは誰しもにとって難しいことだったと思います。ただこのような経験はそうできるものではありませんし、むしろそれを求めて集まったメンバーだとも思うので、逆に言えば「想定外の困難」はありませんでした。

上手くいった点は?
通しで配信に成功したのは本番だけ。学位授与式では四谷とブラジルをつなぐオンラインならでは演出も取り入れられた

【鈴木】新しいことだらけの準備過程で多くの方の協力をいただけたことは良かったです。大勢の想いが詰まった式典でしたから、本番で中断することなく進められてほっとしています。

【秋吉】通しで配信が成功したのが本番だけという状況でしたが、大きな問題が生じなかったことが一番です。メンバーや職員の方を含め前向きなコミュニケーションができたこと、そして皆フットワークが軽く、自由に提案できるような雰囲気の中で取り組めたのもよかったです。

今回の式典を振り返って

【鈴木】オンラインでの式典はどうやってもつまらないものになるのではと悩みましたが、ひとつのあり方を示すことはできました。職員の方からは、式典に新たな魅力や価値を加えることについて考えるきっかけになったという言葉をいただきました。これまでであれば関わることのなかった私たちが協力した意味はあったのではないかと感じています。一方で、今後のために当時者の参加学生とその保護者の方々からの感想を集める仕組みについて検討が必要と感じました。

コロナ禍でさまざまなことが変化し、辛いことの多い時代ですが、お互いが支え合ってできることを少しずつやっていけると良いなと思います。新しい形の式典に関わってくださった皆様に感謝しています。

【秋吉】楽しかったです。大学の式典の構成に関わる機会なんて滅多にないですから。式典という定型フォーマットに対して、需要と越えていいラインを見極めながら手を加えていくという作業はとてもいい経験になりました。コロナ禍の状況を逆手にとって、これからの時代の「式典」に向けて新たな可能性を示せたことには、とても満足しています。