平和を描く、対話をつなぐ―ボスニア・ヘルツェゴビナの教員とアーティストとワークショップを実施しました

「変革への夢と目標」@四谷キャンパス2号館1階

10月28日から30日にかけて、総合人間科学部教育学科の国際教育開発学ゼミ(小松太郎教授)履修生を中心に、ボスニア・ヘルツェゴビナの大学教員およびアーティストとともに、「平和」をテーマにしたワークショップを実施しました。

異文化間教育を専門とするラリサ・カスマギッチ=カフェジッチ准教授(サラエボ大学哲学部)と、絵画・視覚芸術アーティストのムハメッド・カフェジッチ氏(ムハ氏)は、上智大学「国連ウィークス2025」イベントの一環であるシンポジウム「紛争・災害後の子どもと若者の心のケア:創造的活動と国際交流を通じた平和構築の試み」に参加するために来日しました。

協働アートを通じて「包摂的な社会」を考える

10月28日のワークショップ「協働アートを通じたグローバル課題の探求:問題から対話へ、キャンバスから解決へ」では、カスマギッチ准教授の指導のもと、学生たちは自己紹介を通じて集団内の多様性に気づき、安心して意見を交わせる場づくりのルールを話し合いました。その後、「すべての人が包摂される社会」を実現するための課題と解決策について、学年を超えたグループで活発な議論が行われました。

包摂的な社会の実現に向けて課題を話し合う
グループで対話を通じて解決策を考える

「希望をかたちにする」創造的ワークショップ

後半の「希望をかたちにする」では、ムハ氏の指導のもと、学生たちは自身にとって身近で重要な社会課題や、その解決へのアイデア、未来への希望を、多彩な色彩とシンボルで表現しました。言葉では表しきれない思いや創造的な発想を、対話を通してキャンバスに可視化していきました。

紛争や災害の影響を受けた子どもたちは、言葉にできない感情を抱えていることが多く、遊びや創造的活動を通して自己表現することが癒しや自己効力感の向上につながることが知られています。また、対話や協働のプロセスは、紛争によって失われがちな社会的な絆を再構築し、「自分は孤立していない」という感覚を取り戻す契機にもなります。学生たちは、こうした創造的・協働的な平和構築のプロセスを自ら体験しました。

自分の思いを絵やシンボルで表現する
自身の作品に込めた思いを説明する
左から:アーティストのムハ氏、小松太郎教授、カスマギッチ=カフェジッチ准教授、ワークショップ参加学生

二連画「変革への夢と目標」の完成

翌日、ムハ氏は8号館ピロティにて、学生たちが描いた絵をもとに、大きな二連画(diptych)作品「変革への夢と目標」を制作しました。キャンパスのメインストリートに面した場所での制作だったため、多くの学生が足を止め、南東欧ボスニア・ヘルツェゴビナから来日したアーティストとの交流を楽しみました。

杉村学長(左から2人目)も制作現場を訪れました

完成した二連画は、10月30日夕方に開催されたシンポジウム「紛争・災害後の子どもと若者の心のケア:創造的活動と国際交流を通じた平和構築の試み」(2号館17階)会場入口で展示されました。作品案内には、次のように記されています。

「この二連画には、社会の公平さや変化への願いが込められており、女性の力を応援し、人と人との共感や対話を広げていくことを目指しています。パネルは二通りの並べ方ができ、異なるアプローチからも同じ目標にたどり着けるという、多様な可能性を表現しています。」

完成作品は、現在、四谷キャンパス2号館1階にて11月20日(木)まで展示中です。来校の際はぜひ足を止め、より良い社会の実現に向けた学生たちの想いを感じ取ってください。

上智大学 Sophia University