TICAD9テーマ別イベントとして第2回「模擬アフリカ連合会議」を開催しました 

杉村学長と第2回模擬AUに参加した上智生たち

2025年8月20日から22日に横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)は、日本とアフリカ諸国、国際機関、市民社会が一同に会し、アフリカの持続可能な発展に向けた協力を強化するための重要な国際会議です。

その公式サイドイベントの一環として、第2回「模擬アフリカ連合会議(以下、模擬 AU)」が開催されました(上智大学・国連開発計画・JICA共催)。この会議には、アフリカ出身学生および日本人学生などが参加し、アフリカ各国の代表としての立場から政策議論を行いました。

模擬AUの開催目的は、アフリカ連合が掲げる長期的ビジョン「アジェンダ2063」や「アフリカ青年憲章」の理念に基づき、若者自身がアフリカの課題と可能性について主体的に考察・発信することにあります。日本では、昨年8月に第1回模擬AUが開催されました。

今年度、上智大学からは運営のコアとなる模擬AU実行委員会に2人の学生が参加し、10人の学生が会議運営をサポートする「ラポルトゥール」を担いました。ラポルトゥールの学生たちは、決議案の作成のための議事録作成や、通訳として留学生と日本人学生の議論活性化に貢献しました。

第2回のテーマは「若者の共創、アフリカの未来を創る」

第2回となる今回は、「Inayojumuisha:若者の共創、アフリカの未来を創る」というテーマを軸に進められました。開会に際し、国連開発計画(UNDP)ナイジェリア代表エルシー・アタフア氏が登壇し、アフリカと日本の若者が共に未来を築く存在であると強調しました。そして、「誰も取り残さない共創社会の実現」が模擬AUの核心テーマであり、2055年を見据えた未来共創を目指すべきだと呼びかけました。

続いて登壇したJICA上級副理事長の安藤 直樹氏も、若者の持つ力と可能性に大きな期待を寄せました。模擬AUは単なる外交の模倣ではなく、「共創の力を祝う場」であり、今この瞬間にも変化を生み出す「チェンジメーカー」としての若者の役割を高く評価しました。対話と相互理解を通じた共創の精神こそが、持続可能で包摂的な社会を築く鍵であると述べました。

日本とアフリカから多くの学生が参加

参加者は担当国の政策立案に求められる資料の作成や、大使館を訪問するなど、入念な準備と学習を行ってきました。当日は、教育、雇用、イノベーション、起業支援、ジェンダー平等、政治参加など、多岐にわたる課題について、各国代表として意見が交わされ、若者のエンパワーメントと日アフリカ間のさらなる協力関係の構築が実現しました。

本会議では、多くの国々が「アジェンダ2063」に照らし、若者を未来の担い手としてではなく、今を変える力として位置づけて議論を展開。経済、教育、政治といった分野での若者の主導的役割が、アフリカの自立的・持続的な発展の鍵であるという共通認識が醸成されました。

最後に、第2回模擬アフリカ連合(AU)の優秀大使団の発表があり、ケニア、ボツワナ、南アフリカ、ギニアを担当したチームが選ばれ、表彰式が執り行われました。

閉会式には本学の杉村 美紀学長も登壇し、大学がこのような国際的対話の「知的プラットフォーム」として機能する意義を語り、今後も学術的協力などを通じて日アフリカの連携強化に貢献していくことを表明しました。模擬アフリカ連合会議での若者による深い対話に感銘を受けたこと、本会議が国際問題に多角的な視点から取り組むための貴重な場であったと述べ、第2回模擬AUを締めくくりました。

上智大学 Sophia University