8月23日、上智大学は、日本初となる「模擬アフリカ連合会議(模擬AU会議)」を開催しました。この会議は、日本の若者にアフリカへの理解を深めてもらうことを目的に、アフリカ連合(AU)加盟国の協議を学生たちが各国代表に扮して体験するもので、JICA(国際協力機構)、UNDP(国連開発計画)、そして本学が共催しました。
本学は現在、アフリカ地域の14カ国17機関と協定を締結しており、アフリカ開発銀行など国際機関との連携、アフリカでの留学プログラムの展開、総合グローバル学部やグローバル・スタディーズ研究科、アジア文化研究所などを中心としたアフリカ地域との教育・研究交流を行っています。これらの活動を背景に、模擬AU会議のホストを務めることとなりました。
本イベントは、来年横浜市で開催されるアフリカ開発会議(TICAD 9)を前に、8月24日から25日に東京で実施されたTICAD閣僚会合のテーマ別イベントとして行われました。若者が主体的にアフリカ諸国の持続可能な発展とパートナーシップについて考える初めての試みとして、大きな注目を集めました。
模擬AU会議では、2~3人の学生が各国の代表団を形成します。各グループにはアフリカからの留学生や研修生がメンターとして参加し、在京大使館も助言を行いました。本学からは7人の学生が大使として参加し、12人の学生が会議運営をサポートする「ラポルトゥール」を担いました。ラポルトゥールの学生たちは元国連広報官の植木安弘教授から事前に指導を受け、決議案の作成のための議事録作成や、通訳として留学生と日本人学生の議論活性化に貢献しました。

当日は、午前中のセッションを四谷キャンパス6号館で、午後の本会議をホテルニューオータニで開催しました。本会議の開会式では、UNDPアフリカ局長のアフナ・エザコンワ氏が「模擬AU会議は、日本とアフリカの若者の協働の場であり、両者の関係を強化するものです。アフリカへの注目と関心が高まる中、これからの変革の担い手である若者たちのリーダーシップに期待します」と述べ、模擬AU会議開催の意義を強調しました。
本会議では、AU加盟国に割り当てられた参加者たちが、外交団になりきり、グリーンエコノミーや気候変動などの課題について議論を交わし、決議案を取りまとめました。各国の利害がぶつかる中で何度も折衝を繰り返して作成された決議案は、賛成多数で採択され、会場からは大きな歓声と拍手が上がりました。

赤道ギニア代表として参加した久保ジャネット珠希さん(総合グローバル学部2年)は、初となる模擬AU会議の参加について「今回大使になりきることで、普段の勉強だけでは知り得ない、他国との関係や担当国が有する課題などを具体化することができました。全国からアフリカに関心のある学生や留学生が集まったことで、議題に対する視野を広げつつ仲を深めることができ、非常に有意義な一日でした」と振り返りました。
また、ラポルトゥール学生代表によるスピーチでは、「日本とアフリカの将来について熱い議論が展開される中で、言葉や考え方が違っても、分かりあうことを諦めてはいけないと強く感じました」という発表がありました。
閉会式の最後には、伊呂原隆学務担当副学長が登壇し、長時間にわたって議論を展開した参加者の健闘を称えました。そして「多様性、文化、社会変革のスピードなど、アフリカから学ぶべき点は多岐にわたります。日本とアフリカ双方がお互いを理解し、学ぶ機会を設けることは大変意義のあることであり、高等教育の担い手として、このような機会を今後も設けていきたい」と述べ、模擬AU会議を締めくくりました。