セミナー「人間の安全保障と国際協力 ―地雷撤去と地雷回避教育の現場から―」を開催しました

7月4日、上智大学にて「人間の安全保障と国際協力 ―地雷撤去と地雷回避教育の現場から―」と題するセミナーが開催され、学生を中心に約100名が参加しました。2025年は、日本がTICAD9(第9回アフリカ開発会議)でのアフリカ支援、東京でのウクライナ地雷国際会議の開催、そして対人地雷禁止条約(オタワ条約)締約国会議の議長国を務めるなど、国際的な地雷対策において重要な役割を果たす年です。

冒頭では、上智大学国際協力人材育成センター副センター長の梅宮直樹教授より、国際社会における人間の安全保障の課題と日本の果たすべき役割について挨拶がありました。続いて、総合人間科学部教育学科の小松太郎教授の進行のもと、セミナーが行われました。

第1部では、JICAウクライナ地雷対策プロジェクト副総括である田島健二氏(株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング)が登壇。地雷被害が拡大するウクライナにおいて、日本が支援する研修の内容を、現地での自身の体験を交えて紹介しました。講演では、対人地雷の被害者の約8割が民間人であること、除去費用が製造費を大きく上回ること、そして地雷除去が人々の尊厳ある生活と社会の復興につながることを説明。地雷探知から除去に至る具体的な作業についても丁寧に解説しました。

地雷探知から撤去までの工程について

第2部では、AAR Japan(難民を助ける会)の柿澤福郎氏が、カンボジアやアフガニスタン、南スーダンなどで実施されているEORE(爆発物回避教育)の事例を紹介。政府との協働による教材開発や教員研修、ラジオ、紙芝居、ポスター、アクティビティカード、絵本や漫画を活用した学校内での取り組みや啓発活動、子どもから家族への情報伝達など、命を守るための多様な実践が共有されました。

地雷の危険性を伝える教材について紹介

講演後には、地雷撤去における女性の役割、教育活動への文化的配慮、人道支援に関わる動機など、多くの質問が寄せられました。会場には地雷探知機や模型、EORE教材も展示され、セミナー終了後も参加者が講師と活発に交流しました。現場の声に触れる本セミナーは、日本における人間の安全保障と国際協力への理解を深める貴重な機会となりました。

実際に地雷探知機を持ってみる

上智大学 Sophia University