自分に何ができるのか。植林活動から始まった挑戦。

アモーリック 龍 スタニスラスさん 
法学部地球環境法学科4年(丸紅株式会社 内定)

留学、課外活動、サークル、ボランティア、インターンシップ。夢をかなえるため、そして自分を成長させるため。大学でさまざまなことに挑戦した学生たちが語る入学から現在までの変化と成長を紐解きます。

入念な情報収集から始めるのが、僕のスタイル。

アモーリック 龍 スタニスラスさん 法学部地球環境法学科4年(丸紅株式会社 内定)

フランス人の父と日本人の母のもと、高校卒業までをマダガスカルで過ごしました。父がキツネザル保護区で植物園を運営していたため子どもの頃から自然に興味があり、常に自分ができることを探していたように思います。行動に移すきっかけとなったのは、学校の課外授業で焼き畑を目にしたこと。森林減少の実情を知り、それを食い止める方法を調べ始めました。そして中学生の時に植林活動のボランティアを立ち上げたのです。苗はすべて自分一人で育て、現地へ運ぶ際は大人の力を借りて、実際に植える作業は土地の人々に引き継ぐという流れです。

 みんなの協力もあり活動は軌道に乗りました。ただ、次第に“ボランティアの限界”を感じるようにもなりました。つまり「利益につながらないことは、現地の人々が続けたがらない」という現実にぶつかったのです。なんとかならないかと情報を集め、バオバブが観光資源につながる木であること、モリンガに薬木としての価値があることを知り、その2種類を植林することに。すると、活動に持続性が生まれ、同時に人々のモチベーションも向上したのです。収益化することでボランティアの質が向上する……この学びが、今の自分の原点になっているような気がします。

 実は高校3年の時、フランスの大学へ進学が決まっていましたが悩んだ末に留学先を日本に変えることにしました。日本の「思いやり精神」こそ、僕がずっと続けてきたボランティアにも通じるものだと、とても惹かれたからです。そこからは日本語の猛勉強。母が日本人とはいえ普段日本語を使うことはゼロに等しかったので、インターネットで見つけた小中学生向けのドリルで平仮名や漢字を覚えるところから始め、なんとか中学卒業レベルの日本語までは習得することができました。

 また、大学選びに際しては、「法律を学べば効率よく日本という国を理解できる」と考えて法学部のある大学を探しました。僕はいつも何かを始める前にはまず徹底的に情報を集めます。それが一番の近道だと思うからです。その時も情報収集のおかげで、上智大学に地球環境法学科があることを発見。即座に第一志望にしました。

知識と経験を活かし日本と世界の架け橋に。

総合商社の丸紅に内定をいただいていますが、就職先を決める際もやはり環境保全で培った経験や考え方が根底にありました。ちょうど時代的にも循環型ビジネスが注目されるようになり、丸紅でも持続可能な森林経営を推進していたのです。それを知って、ぜひ自分も関わりたいと強く思ったのです。

 環境問題にビジネスを結びつけることは、高校時代に“ボランティアの限界”を体験してからずっと興味のあることでしたが、やはり大学で法律を学び、より一層具体的に考えられるようになったと感じています。

 また、日本に来て再認識したのですが、「地球環境を守ろう」という意識は、やはり経済的に豊かな人々にしか根付かないことなのだなとつくづく思いました。マダガスカルでは、その日の食事に困るほど貧しい方も多く、環境問題の優先順位はどうしても低くなるんです。だからこそ、日本のような先進国によるビジネスに可能性を感じます。僕も、マダガスカルの植林活動で培った経験と、上智大学の地球環境法学科で学んだ知識を存分に活かして貢献したいです。また、自分自身が大好きな「日本の精神」を世界にどんどん広げていこうと思います。

【6号館 ソフィアタワー】
全学の言語教育を担う『言語教育研究センター』、800人規模の大教室や研究室にオフィスビルを併設。2017年、四谷の新たなランドマークとなるべくオープンしました。

※この記事の内容は、2022年10月時点のものです。

上智大学 Sophia University