全力で飛び込めば、新たな〝世界〟が拓かれる。
留学、課外活動、サークル、ボランティア、インターンシップ。夢をかなえるため、そして自分を成長させるため。大学でさまざまなことに挑戦した学生たちが語る入学から現在までの変化と成長を紐解きます。
上智の豊かな国際性は、人がベースになっているから(永井)
永井 私とワンバさんの共通点は、やはりアフリカでしょうか。
ワンバ そうですね。ルーツはナイジェリアです。アフリカはフランス語圏の国も多いですものね。
永井 アフリカ大陸では近年、フランス語を使う人がどんどん増えています。フランス語やフランス文学を教える者として、そういった地域の歴史や文化を多くの学生に知ってもらいたいって常々思っているんですよ。
ワンバ そうなんですね。私は高校時代からアフリカの開発などに興味があって総合グローバル学科を選びました。勉強していくうちに、もっと実際の現場を知りたいと思うようになり、奨学金制度を使って2カ月間、東アフリカのタンザニア、ケニア、ルワンダ、ウガンダを周ったんです。
永井 じゃあアフリカで、いろいろな出会いや学びがあったんじゃないですか?
ワンバ ウガンダでは、HIV陽性のシングルマザーを支援するNGOでボランティアに参加してたのですが、1日1日を前向きに生きる人が多いなって感じました。
永井 そうね、それが他者に対する寛容さにもつながっているのかも。
ワンバさんはシングルマザーたちのためにクラウドファンディングも立ち上げられたそうですね。
ワンバ はい、ボランティアをしていたのがコロナの前で、私が日本に帰ってからアフリカでもコロナが深刻化してきたんです。ただでさえ彼女らは経済的に逼迫しているのに物価も上がってしまって。
永井 でもNGOも資金がないから充分な支援ができない…?
ワンバ そうなんです。「英海里、どうしよう」って仲良くしていたスタッフから連絡をもらって。私に何ができるか考えて、日本でクラウドファンディングを始めました。おかげさまで目標金額にも到達できたんです。
永井 素晴らしい。頼もしいです。
ワンバ でも私の周りには他にもクラウドファンディングを始めた学生がいますし、バックパック1つでアフリカ横断やアジアを旅する学生も結構いるんですよ。
永井 “上智の国際性”みたいなことは学外からもよく言われるけれど、それは学生達の意識と活動が世界へ向けて開かれているからでしょうね。海外の現状を素直に知りたいって思えて、日本の人のことも海外の人のことも同じように考えられる。国とか民族ではなく、人間がベースになっているように思います。
伝えたいのは、今、見えている世界が全てじゃないということ(ワンバ)
ワンバ 上智には「国連Weeks」や「AfricaWeeks」といったイベントもたくさんありますよね。いろいろなゲストの講演が聴けて、質問もできる。そこで私は自分がどんなことに興味や関心があるのか具体的にイメージすることができました。
永井 でも、その一方で就職活動を始める時期がどんどん早くなってきているでしょう? つまりいろいろなことを考えたり試したりできる期間も短くなるってことじゃないですか。教員として、学生が率直にどう思っているのか聞いてみたかったの。
ワンバ そこは学生も苦戦しているところではあると思います。だからこそ、早い段階で自分の興味を探ることが大切なんじゃないでしょうか。私自身もアフリカを旅して、クラウドファンディングにチャレンジして「こんなこともできるんだ!」の連続で。今見えている世界が全てじゃないって気付けたのが良かったのかもしれません。
永井 その意見に私も大賛成! 様々な体験をしたり、いろんな人の話を聞いたりすることが大切ね。
ワンバ 本当にそう思います。私もクラウドファンディングの経験を通して、アフリカで人々の生活を大きく変えるような仕事を創り出したいって夢が生まれたんですね。それまではNGOとか国際協力団体とかに興味があったのですが、より持続的な“ビジネス”という形でアプローチしたいなって思うようになりました。だから、就職活動もその方向で探したんです。
永井 興味のあることを見つけて、思い切って飛び込んだ結果が将来につながったのね。
ワンバ はい。前例はあまりない中でのチャレンジになるとは思うのですが、それができればアフリカの頭脳流出の食い止めにもなるんじゃないかなって。
永井 雇用が生まれれば優秀な人達がヨーロッパやアメリカに行かなくて済むものね。ワンバさんならきっと出来ると思います。
ワンバ ありがとうございます。これからも頑張ります!
※この記事の内容は、2021年11月時点のものです。