英語学科のジョン・ウィリアムズ教授が監督を務めた映画「審判」が6月30日に公開

カフカの不条理小説を映画化

6月30日より渋谷ユーロスペースで公開
(C) 100 meter films

映画監督としても活動する外国語学部英語学科ジョン・ウィリアムズ教授の最新作「審判」が、6月30日より東京・渋谷のユーロスペースで公開されます。(後援:本学ヨーロッパ研究所、日独協会)

本作は、ウィリアムズ教授がフランツ・カフカの小説「審判」の舞台を現代の東京に移して映画化した作品です。役者向けのワークショップで「審判」を取り上げたことがきっかけとなり、2015年に演劇作品として上演。その後、原作により忠実な脚本を本作のために書き下ろしました。

ウィリアムズ教授は、「『審判』は100年以上も前に書かれた小説ですが、いつの時代にも通じるメッセージ性を持っています。得体の知れない巨大な力、システムにコントロールされた理不尽で滑稽な出来事が、次々と主人公Kの身に降りかかります。その不条理な状況を前に、主張も反抗もしないKの姿は、現在の日本、ひいては世界中に漂う不穏な社会の波に翻弄される私たちの姿を暗示しているのかもしれません」と述べています。

フランツ・カフカ (Franz Kafka)について
チェコ出身のドイツ語作家。(1883年‐1924年)実存主義文学の先駆者であり、不条理とブラックユーモアが散りばめられた作品は今なお人々を魅了する。代表作に「変身」「審判」「城」など。長編小説「審判」は1914-1915年に執筆したと言われている。「審判」はオーソン・ウェルズ監督がアンソニー・パーキンスを主演に1962年に映画化。1993年にはデビッド・ジョーンズ監督も映画化し、カイル・マクラクランがK役、アンソニー・ホプキンズが神父役で出演している。

四谷キャンパスでのロケ
四谷キャンパスでのロケの様子

見どころのひとつが、本学四谷キャンパスで多くのシーンが撮影されたことです。また本学卒業生の女優、関根愛さん(2011年外国語学部英語学科卒)がKを誘惑する看護師役で出演。「私が上智に通って得た財産は何と言っても、人が人を呼び、今の私の幹となる心深い出会いに恵まれていたこと。『審判』との出会いもその一つです」とコメントしています。また、Kの叔父役、高橋長英さんは本学法学部法律学科に在籍したことがあり、今回の撮影で約50年ぶりに大学を訪れ、当時から残る建物を感慨深く歩いたそうです。

監督おすすめの楽しみ方
演技指導を行うウィリアムズ監督(中央)
(c) Carl Vanassche

ウィリアムズ教授は、「『審判』は、難解な小説として知られますが、描かれている物語やその世界は非常に単純です。映画化にあたり、できるだけ原作に忠実にしようと心がけましたが、舞台は現代の東京としました。『審判』は、世界の真理や意味を追求し続ける人間の性分を描いているといえる作品。本作が、たくさんの議論を生み、思考を刺激することを願っています。サスペンス映画としても楽しんでもらえたら」と話しています。

ジョン・ウィリアムズ (John Williams)プロフィール
プロデューサー、映画監督、脚本家。上智大学外国語学部英語学科教授。英国生まれ、1988 年来日。デビュー作『いちばん美しい夏』(2001年) は、ハワイ国際映画祭でグランプリを獲得し、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門NETPAC賞など、各国の国際映画祭で受賞。佐藤浩市、木村多江主演の『スターフィッシュホテル』(2007年)は、ルクセンブルグ国際映画祭でグランプリ。佐渡島を舞台にした3作目 『佐渡テンペスト』 (2013年)は、シカゴ国際映画音楽祭にてグランプリを受賞。本作が長編4作目となる。

関連イベント

カフカ生誕135周年と本作公開を記念して、公開前日の6月29日(金)に、本学にて特別トークショー「現代×カフカ×日本」を開催します(共催:日独協会)。ウィリアムズ教授と、NHKドイツ語講座講師のマライ・メントライン氏、カフカ研究者の川島隆氏(京都大学准教授)が登壇します。
日時:2018年6月29日(金)18:30-20:00
場所:四谷キャンパス中央図書館8階L-821会議室
言語:日本語
申込み方法:フライヤーQRコードもしくは下記オンラインフォームから。
フライヤー
オンラインフォーム


関連サイト

映画「審判」公式ウェブサイト
渋谷ユーロスペース公式サイト
本学学生と教職員は、劇場窓口で学生証・教職員証を提示すると、通常1400円のところ特別料金1000円で鑑賞可能。

上智大学 Sophia University