経済学部経営学科アダム・ジョンズ教授のゼミ生8名と企業12社が協力し、日本の伝統工芸とものづくりの新たな可能性を探る展示会「SOTOBORI展」を12月10日~21日までの12日間、東京・日本橋横山町のTOI ビルにて開催しました。
ジョンズ教授が担当するゼミでは、2019年度からグローバル市場における文化・創造性産業を取り上げる産学連携プロジェクト「SOTOBORI PROJECT」を実施してきました。日本には誇るべき伝統産業や工芸が多く存在していますが、国内市場の縮小や後継者不足といった課題が伴っています。その状況を打開すべく、ものづくりに携わる企業とともに、工場・工房訪問、課題・顧客分析、ブランディング戦略などを通して、学生ならではの視点で伝統と現代のライフスタイルをつなぎ、新たな価値を創出して未来に継承していく検討を重ねてきました。
過去5年間の集大成となる本展示会は、日本のものづくりに携わる企業が一堂に会し、職人の技と想いが詰まった作品や商品の販売に加え、その制作過程に用いられる道具や素材を展示。「『想』伝統を紡いで、想いを贈る」をテーマに、「日本の職人が作品に込める本気の想い」と「人を想って贈り物をする文化」の二つの「想い」を来場者に伝えるとともに、ものづくりの精神と職人の技に触れてもらうことで伝統工芸品を日常生活に取り入れるきっかけを提供しました。
展示会場には、100点以上の品々が集結。今回のテーマにもある「贈り物」をイメージしやすいように、ラッピングされた商品が会場中央の目立つ位置に展示されていました。
さらに、陳列にもこだわり、商品や企業の特徴、魅力に加え、来場者に触れて体感することを促すゼミ生特製のオリジナルポップが添えられていました。
11日には、オープニングイベントを実施。ゼミ代表生に続き、ジョンズ教授が冒頭挨拶を行い、「SOTOBORI PROJECTは日本の伝統工芸とものづくりの未来の在り方を考え、国内外にその価値を発信することが目的です。今回の展示会をきっかけに、次世代のリーダーである学生たちを始点として、ものづくりに関わる企業の方々との対話が続くことを願っています」と本展示会への期待を語りました。
続いて、ゼミ生らが本展示会におけるキービジュアル・ロゴ制作の背景、テーマに込めた想いなどを紹介し、来場者から感嘆の声が上がる場面もありました。
その後、チームごとに分かれてゼミ生が展示ガイドツアーを行い、作品や商品に込められた本気の想いと巧みな技を一つひとつ丁寧に説明しました。
さらに展示期間中には、実際に製作し、ものづくりの楽しさと技術を体感できるワークショップも行われました。12月19日には、つまみかんざし彩野による「つまみかんざし体験ワークショップ」を開催。新江戸染 丸久商店とのコラボレーション企画として、浴衣や手拭い等に使用される染め布を材料に、つまみ細工の技法の一つである「丸つまみ」を用いて梅の花のヘアピンを制作しました。参加者からは「布のハリに違いがあって面白い」「不器用なので不安だったが、完成していく花がきれいで本当に楽しかった」などの会話が飛び交い、ものづくりの面白さを再発見する機会となりました。
今までのゼミ活動で積み重ねてきた学びを生かし、実際に社会に向けてアウトプットする場を作れないかという思いが、ジョンズ教授ゼミ初めての試みである展示会開催に至った原点だそう。
展示会準備にあたり、最も苦労したのはテーマ設定。「ものづくりという共通点はあるものの、12もの企業をまとめる軸を見つけるのが大変でした。しかし、企業の方々と直接お会いして、ものづくりの現場を見ることで、それぞれの商品や作品の背後には作り手の本気の想いがあることに気づき、その情熱を軸としたテーマを設定することにしました」とゼミ生らは口を揃えて話しました。
ゼミ生全員4年生で就職活動や課外活動等で忙しいなか、授業外でも準備を重ね、大学生活の集大成でもある展示会を実現できたことに大きなやりがいと喜びを感じたそうです。渉外・PR・クリエイティブ・財務・全体統括の5つのセクションに分かれ、全員が初めての実務に苦労しながらも、互いに協働することで展示会を成功に導いていきました。
ゼミ生らは今回のゼミ活動を、「本展示会では、12の企業の作品を「『想』伝統を紡いで、想いを贈る」のテーマのもと作品に込められた想いや背景を伝える展示を行いました。多くの方に来場していただき、展示会を通して私たちの世代からものづくりの価値を提案できたことは大きな意味があると感じています。また、展示会を機に企業間の新しい交流も生まれており、この展示会が新しいものづくりのきっかけになれば嬉しく思います。今後後輩たちがこのプロジェクトをさらに発展させてくれることを願っています」と振り返りました。
参加学生
[経営学科]
大澤 理子
進藤 大陸
スミス ダニエル 太一ナターン
髙田 瑠菜
針ヶ谷 律
松﨑 ここ
[経済学科]
東城 有紗
Minh Le
展示内容
・注染手法で作られた手拭いなどの染め物(新江戸染 丸久商店)
・江戸の伝統模様が繊細に彫られた江戸切子(江戸切子の店 華硝)
・手作りの洋傘(小宮商店)
・着物の帯締めに代表される組紐(龍工房)
・自然素材にこだわった桐製品(厚川産業)
・贈り物として親しまれるタオル(日東タオル)
・金属加工技術から生まれた香るアクセサリー(石井精工)
・日本発祥と言われるゴム製ビーチサンダル(九十九)
・舞妓や七五三の髪飾りとして使用されるつまみかんざし(つまみかんざし彩野)
・手作業で作り上げた革製品(塩野)
・紙問屋厳選の紙(中庄)
・日本文化の入り口であるのれん(中むら)
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