自分の言葉に想いを乗せて、私がひとつずつ積み上げる成長の証。

稲村 ほのか
外国語学部イスパニア語学科4年

「日常の出来事や社会問題を批判的な視点で見て、それを言葉にして発信することができるようになりました」と話す外国語学部イスパニア語学科4年の稲村ほのかさん。コロンビアへの留学、そして上智での学びや多彩な人たちとの交流を経て、彼女が今感じている自分自身の成長とは?

自分の中にある繊細な感情を伝えるためにイスパニア語を本格的に学びたい

消極的なタイプだった私を大きく変えたのは、中学1年生のときに故郷の宮城で経験した震災です。沿岸部にあった私の自宅はなくなりましたが、私が通っていた中学校は内陸部にあったので、周りには同じ境遇の友人はいませんでした。でも、それを理由に成長の機会を手放したくないと思い、積極的に行動を起こすようになりました。留学したいと思ったときも奨学金を探すなどして、やりたいことをどうにかして実現できるよう頑張ろうという考え方に変わりましたね。

実際に高校時代、ボリビアへの留学に挑戦しました。ある程度のイスパニア語(スペイン語)は話せるようになったのですが、きちんと文法から習得して語彙力を身につけないと、自分の心の中にある繊細な感情を的確に伝えることはできないと痛感したんです。それで、大学でイスパニア語を一から学ぶ決意をしました。上智大学を選んだのは、イスパニア語だけでなく、ずっと関心を持っていた国際協力の分野も同時に学べるという点に大きな魅力を感じたからです。

イスパニア語学科の勉強は決して楽ではありません。でも、努力を重ねた甲斐あって、自動翻訳ではできないような繊細な表現を交えながら外国人や留学生とコミュニケーションが取れるようになったのは本当に嬉しいですね。ジェンダーをはじめとする複雑な社会問題について、イスパニア語で議論する力もつきました。語学に加え、地域研究や国際協力など、さまざまな分野の授業を履修していると、日本とラテンアメリカに共通の課題があったり、ラテンアメリカでは進んでいるのに日本では遅れていることがあったりして、とても面白かったです。

コロンビアで感じた疑問をきっかけに、幸福度の研究をスタート

この4年間で一番印象に残っているのは、交換留学制度を使ってコロンビアの教皇庁立ハベリアナ大学に留学したこと。イスパニア語のレベルを上げて何としてでも現地のコミュニティに入り込み、街の人たちと仲良くなりたいという気持ちがあったので、大学からバスで2時間離れた小さな村にホームステイをしていました。

私が現地で知り合ったコロンビアの人たちは本当にあたたかい人ばかり。私のホストシスターは、近隣の人たちに声をかけて、コロナ禍で食事に困っている家庭へ食費を援助していました。また、私が迷子になった時に、現地の方々が助けてくれたこともありました。現地の人たちのやさしさに触れるこのような経験を重ねる中で、私の中に1つの疑問が生まれました。

それは「どうしてコロンビアの人たちは、こんなに幸せなんだろう」ということです。日本は経済的に発展していますが、金銭的な理由から学校に行けない人や、家庭内の問題で心に傷を負った人など少なからず存在している。困っている人を助ける文化は日本にもありますが、コロンビアほど深く根付いておらず、助けようとする行為自体が「お節介」として捉えられることも少なくない。それが自殺率の高さや、さまざまな社会問題に繋がってしまうのではないかいうことを考えるようになりました。

この疑問に対する答えを見つけるべく、現在はゼミで幸福度の研究を行い、コロンビアと日本の幸福度をテーマに論文を制作中です。両国の事例を比較する中で、幸福度には、やはり人と人の繋がりが大きく関わっているということが分かってきました。コロンビアの人々に他者との関係を聞くと、お店の人や近所の人の話が自然と出てくる。限られた地域の中でも日本より広い関係性を築いている人が多く、それが幸福度に影響しているのかもしれません。このような発見を通して、日本の幸福度を高めるための糸口を見つけていきたいと思っています。

あらゆる面で自分が成長していることに気づく喜び

入学する前と今の自分を比べて感じるのは、自分の視野が広がったこと。このキャンパスには、さまざまなことを熱心に学んで発信している学生も多いので、彼らと話すことで今まで知らなかった問題や関心のなかった問題に目を向ける機会が自然と増えていきました。社会問題や国際協力に関心を持つ学生も多いので、授業やサークルを通じて彼らと交流することがとてもよい刺激になりました。

そして自分が一番成長したと思うのは、ずっと気づかずにスルーしていたような日常の出来事や社会問題を批判的な視点で見て、それを自分の言葉にして発信していくということがスペイン語でも日本語でもできるようになったこと。入学前の私は、何かモヤッとすることがあっても周囲の人の意見に合わせてしまいがちでしたが、上智での学びを通して、自分の意見がしっかりと持てるようになりました。

私が東京に出てきたのは、たった4年前。それでも、キャンパスの内外で新しい考え方や価値観に触れたことで、私の世界は大きく広がりました。上智の好きなところは数え切れないほどありますが、やはり一番はポジティブな影響を与えてくれる仲間たちの存在です。私の周りには、環境問題を自分事と捉え、新たにサークルを立ち上げて頑張っている同級生もいれば、ジェンダーの問題に情熱を持って取り組み、学びの成果を積極的に発信している先輩もいる。彼らが私に多くを教えてくれたからこそ、今日の私は入学前よりずっと広い視野で社会を見ることができているのだと思います。

※この記事の内容は、2021年11月時点のものです

上智大学 Sophia University