2025年6月10日、2025年度「人間の安全保障と平和構築連続セミナー」の3回目として、田中明彦JICA理事長を講師としてお招きし、「JICAと人間の安全保障:理念と実践 ~国際機関との連携も含め~」が開催されました。
セミナーには対面で約200人、オンラインで約220人、合計で420人近くが参加しました。
本イベントは、2016年からグローバル教育センターの東 大作教授が企画と司会を務め実施している「人間の安全保障と平和構築」連続セミナーの一環でした。また2025年度の国連ウイークの企画の一つも兼ねる形で実施されました。冒頭にサリ・アガスティン上智学院理事長と池田 真学務担当副学長がそれぞれ開会の挨拶を行い、その後、JICA理事長の田中 明彦氏が登壇しました。
田中氏は開発協力大綱や日本国憲法の前文を引用しながら、「人間の安全保障」という概念が歴史の中でどのように形成されてきたかを丁寧に解説しました。国家による安全保障の限界として、1)国家間の戦争や、2)国家自身が圧制者となる可能性、3)脆弱国家など国家そのものが機能不全になる可能性などを指摘しました。
その上で、「人間の安全保障」の脅威として、戦争など「社会システムからの脅威」、地震など「物理システムからの脅威」、疫病など「生命システムからの脅威」があり、それらが複合的に脅威となっている中、人間の安全保障をどう守るか考えることの重要性を力説されました。
そうした複合的脅威を「減少」させたり、脅威から「保護」したり、脅威に対して「より強靭な社会」を作ることが重要で、そのためにJICAが具体的にどのような事業を展開しているか、多くの事例を紹介しながら、詳しく説明しました。
さらに田中氏は「平和構築の取り組みには多様なステークホルダーとの協働が不可欠」と述べ、各分野の専門家の協力が「人間の安全保障」を実現する鍵であることを強調しました。
後半のパネルディスカッションでは、参加者から積極的な質問が寄せられ、田中氏は一つひとつ丁寧に回答しました。最後に、「人間は期待によって生きている。平和を考えられるようになれば、平和は生まれる。平和の未来像を示し続けることが重要だ」と力強いメッセージを送り、参加者に深い印象を与えました。