トーゴ共和国のロベール・ドュセ外務大臣が来校し「サヘル地域の紛争調停と平和構築」について講演しました

ロベール・ドュセ トーゴ共和国外務大臣

8月22日、トーゴ共和国のロベール・ドュセ外務大臣による講演会「サヘル地域における紛争調停と平和構築」が開催されました。

永井学生総務担当副学長(左)と伊呂原学務担当副学長と懇談したドュセ大臣

ドュセ大臣は、8月24日から25日に東京で実施されたアフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合のために訪日。

分刻みのスケジュールの中で実施された本講演会は、アフリカ、特に西アフリカのサヘル地域の現状について紹介し、日本の若者たちと対話の場を持ちたいというドュセ大臣の想いから、駐日トーゴ共和国大使館の協力で実現しました。

ブルキナファソ、マリ、ニジェールを含む「サヘル地域」は、環境危機やテロの脅威による治安の悪化や政治体制の不安定化など、多くの問題を抱えています。トーゴはサヘル地域の南部に位置し、地域の治安安定・平和維持のための活動を行ってきました。

哲学の教授であり、平和構築・紛争解決の専門家でもあるドュセ大臣は、同国大統領の外交アドバイザー等を歴任し、2022年よりサヘル地域の軍事衝突解決に向けた調停役を務めています。その功績から、雑誌New Africa Magazineによる「アフリカ大陸で最も影響力のある100人」に選出されるなど、強いリーダーシップを発揮しています。

はじめにドュセ大臣は、東西南北と中央の5つの地域から成るアフリカの多様性と可能性について触れ、メディア等でアフリカが「惨禍にある大陸」として紹介されることが多い現状に対し、「アフリカは未来の大陸であり、無限の可能性を秘めている」と強調しました。

テロによる深刻な人道危機に際しては、各国が単独で対応するのではなく、連携して対処することが必要だと語り、周辺国と手を取り合って協力し、対話を諦めないことが肝要であると強調しました。

「国と国民を守ることが何よりも大切なことです。そのためには平和実現のためのビジョンを持ち、平和と安全を実現するという強い意志を持って各国が努力をしなければなりません」と述べ、講演を締めくくりました。

講演会には、駐日大使館の外交官や、アフリカ地域出身の留学生なども多数参加し、それぞれの立場から、現在の国際関係や対テロ対応の在り方など活発な質疑応答が行われました。

ドュセ大臣は「私は大臣ですが、大学教員でもあります。一緒に議論しましょう」と呼びかけ、それぞれの質問やコメントに、ユーモアを交えながら真摯に対応。参加者は、日本とアフリカの関係、そしてアフリカの現状と未来について深く考える機会となりました。

上智大学 Sophia University