理工学部機能創造理工学科の長嶋 利夫教授と理工学研究科理工学専攻機械工学領域博士後期課程3年の李 炎龍さんが一般社団法人日本計算工学会で2024年度論文賞を受賞しました。
この賞は、計算工学の発展に顕著な貢献をしたと認められる論文の著者である(一社)日本計算工学会の正会員、名誉会員、シニア会員、学生会員、研究室会員に授与される賞です。毎年1回、5月に実施される定時社員総会にて表彰されます。
今回の受賞は電力中央研究所と上智大学との共同研究の成果として日本計算工学論文集に2023年に公表した学術論文:Paper No.20230006に対して与えられたもので、李炎龍さん長嶋利夫教授、および共同研究者で電力中央研究所所属の永井政貴博士、信耕友樹博士、三浦直樹博士の5名に対して与えられたものです。
李さんは今回の受賞に際して「このたび、クラッド鋼材の疲労き裂進展解析に関する研究を論文としてまとめ、日本計算工学会2024年度論文賞を受賞いたしました。本研究では、実構造物に関わる課題を対象とした数値解析手法の有効性が認められ、大変嬉しく思っております。この受賞を励みに、今後は延性き裂進展評価に適用可能な数値解析手法の開発に一層注力し、金属構造物の耐久性および安全性の向上に貢献することを目指してまいります。」と語っています。
- 学会名:(一社)日本計算工学会
- 賞 名:(一社)日本計算工学会 2024年度論文賞
- 論文タイトル:XFEMによるクラッド付きCT試験片の疲労き裂進展解析
- 受賞者:李炎龍、長嶋利夫(上智大学)永井政貴、信耕友樹、三浦直樹(電力中央研究所)
- 受賞日:2025年5月30日
研究内容
本論文は、異種材界面を有するクラッド鋼材中のき裂進展挙動の再現を目的とし、ヘビサイト関数のみを拡充した3次元レベルセットXFEMによるき裂進展解析が提案されている。また、J積分と応力拡大係数の評価手法、疲労き裂進展解析手法などのXFEMき裂進展解析を実用的に重要なクラッド鋼材に適用する際に必要となる解析技術について丁寧に解説されている。解析例においては、CT試験を用いた基本的な問題を通じて実験結果との詳細な比較検証・考察により、提案手法の有効性が示されている。パリス則に基づいたき裂形状の更新と3次元ベジェ曲線の平滑化による、異種材料界面をまたぐき裂前縁形状への適用も可能であり、今後の発展性についても十分に期待できる。

